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2.5章

2.5 死者の国

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「いや、アレは"命の石"だ」

 命の石。
 昔から命の石と言うと賢者の石と言われている、錬金術の最高の術の1つであると言われる幻の品だ。
 そして某国民的ロールプレイングゲームでつい先日最新版が出た、ドが最初について最後にトと数字が入るモノだとシリーズによって効果が違う様だが、この世界だと有名な某イギリスの長期に渡ったシリーズ物のファンタジー小説の最終話に出てくる、甦りの石と同じ効果を持つ。

【死者の魂を呼び戻す】

 この命の石の中の核がその石だと言う。
 その石がアルケニーの心臓の中に埋め込まれて居た。

「兄貴、他にも居る聖獣達の中には全員この石があるのか?」

「否だな。この世界に1つ、女神が【大神】から賜った貴重品だった筈だ」

「ん!?大神!?」

「………」

 フローが今迄聞いた事が無い《言葉》が出て驚いて竜王を見ると、竜王はシマッタ!といった顔をしかめる。

「あにぃ?」

 フローが小さい頃、よく竜王に対して甘えた様に言う「あにぃ」と言う言葉と、拗ねた様な顔をして睨んで来る様に竜王は肩を竦める。
 昔から竜王は弟同然のフローの拗ねた顔に弱い。
 本来なら下に数人居る筈の兄弟達は、火の精霊と土の精霊以外数百年か数千年も会っておらず、兄弟の実感があるのは女神を除いてミトラとこのフロー位(今の土の精霊は生まれたての為除外)。そのフローとてかなり年下の弟として、竜王なりに可愛がっているのだ。

「今から言うことは他の者達には言わぬ様に」

「ミトラ姉貴とマルティンは知ってるのか?」

 ミトラは太古の第二番目にして竜王の姉、そしてマルティンは竜王がこの世界に産まれて直ぐ従者として生まれた者。
 その分どの人よりも竜王との絆は厚い。
 こくりと頷かれ、フローは上昇して行く最中、竜王が語る内容に黙って耳を傾ける事にした。




 ***




「つまり大神っつーのが居て、この世界だと神ってか女神が一人で象徴として居るけど(邪神は別)、違う次元ってか異次元?てのか?には沢山の神が居て、んでその頂点に大神っつー最高神が居るってことか」

 フローが竜王の説明からかなり要約して喋る。
 その内容に竜王は足を止めずに頷く。
 今は急な坂道をフローとベルと共に息切れも無く疾走している。
 道は別れ道も無い代わりに、ワームが掘ったと思われる通りに沢山のモンスター達の足跡が付いている。恐らくこの洞窟のある程度戦力になるモンスター達はほぼ全員、先頭集団に着いていったのであろう。
 そして恐らく、その先頭集団には元古城に勤めて居たエルフの執事も混ざって居る事だろう。そうでなければこの城の地下からモンスターを駆使し、城に襲撃を駆ける等考えなかっただろう。

「女神ザアファラーンが元居た場所は私には解らないがな、ただ私は冥界から番相手である彼女と共に連れて来られている。しかも説明して居ないにも関わらず、私達の関係を知っていた。これは推測でしか無いが、女神は元は冥界に居た神ではないかと私は思って居る。無論確認を取れたワケでも無いし、聞いたワケでも無いがな」

「冥界って死者の国か?」

「そうだ。私は冥界で女神ザアファラーンに会っている」


***

□書くのを忘れていた説明□
*竜王が小さいのにアルケニーが驚かなかったワケ
アルケニー達聖獣は姿ではなく、その者が放つ魔力や気で"誰か"を判断する為。

□本分説明の補足□

ザアファラーン女神の裏設定
女神は地球での冥界の女神の一人
日本の第二次世界大戦後、核により余りにも恐慌状態や精神状態に重大な負荷が掛かって居る魂が多く、一刻も早く魂を復興させる必要があり、異世界を産み出し、その世界にて魂の浄化や正常化をさせる為に異世界を作った。その為、異世界では二千年程経過しているが、地球では戦後70数年目。時間の経過が異なっている。
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