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2.5章
不機嫌なウサギ10
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授業が終わって少し休憩となり、折角だからとそのままお庭で御茶会、と言うよりミトラさん曰く女子会をする事になりました。あ、ちなみにザジ先生は自室(ザジ先生は私の先生をしている間は古城に住み込む事になりました。四階の空き間に荷物を持って来たばかりだから、片付けしないとならないそうです)に帰るそうです。何でもあまり御嬢様と長く居ると、某誰がさんが激しく嫉妬するから気を付けろとマルティンさんに念を押されたからだそうで。
…竜王様後で叱ろうかなぁ、全くもう。
もう少し魔法に関してお話したかったのにと愚痴を漏らしたら、ミトラさんが『妾で良ければ答えるぞ?』と言って貰ったので、少し質問する事にしました。
色々と知識はあった方がいいと思うし、人とウサギでは考え方が違うから、出来るだけ沢山疑問に思った事とか聞いておかないとね。
「竜王様って水の精霊さんですよね、何故氷とか雷とか使えるのですか?」
『む?見せたのかの?』
「はい、雷はグリンウッドで。氷は先日と先程」
コップの水を凍らせた事を伝えると、『あ~…』とミトラさんが言い出しました。
『普通はの、覚醒せぬと他の属性は使えぬのじゃ』
何でも第二番目であるミトラさんは、覚醒しないと他の属性の魔法と強い魔法は使えなかったらしいです。
『妾の場合ハク、御主の弟の主人じゃな。そのハクが気に入って名付けて貰って覚醒したのじゃ。それで他属性を使う事も、以前より強い魔法も使う事が出来る様になった。魔力も威力も桁違いに増えたのじゃ』
そこで一口御茶を飲み、
『だがの、同時にしがらみも増えたのじゃ。妾の場合元々あったのじゃが…む、これは余計じゃったの。まぁ、竜王の場合は覚醒しなくても使えるのは才能かの』
「才能ですか?」
『ふむ。妾達は今は一・三・四と七・八・九・十とほぼ全員じゃが欠落しとるからの、全員の情報は無いので何とも言えんのじゃが、竜王の場合はそうとしか言えぬのじゃ。ま、後は当人に聞くのが一番じゃな』
妾はこれ以上は知らぬのじゃと言われ、成る程才能なのかと納得する。それでは私はどうしたら良いのだろう?この先、私に隠して居る様だけど徐々に不穏な情勢なのは何となくだが理解している。
この先に広がる光景でさえ、以前には無かった青々としていた筈のグリンウッドの木々が全て枯れて居るのだから。
「草木の作用…」
私は攻撃系の魔法は向かない。出せても威力は微々たる物らしい。例えで言うならば、小さな御子様がチビッ子パンチを放つのと、プロの戦士が放つ一撃との差だと言う。
ザジ先生が言って居たけど、それでも何か竜王様の役に立てないだろうか?
驚かす位は出来るらしぃけど~…出来るなら使える魔法のがいいよね?
『うさちゃんの場合、草木の成長促進じゃの。主なのは自身の魔力を使うか、周囲から魔力を貰って植物の成長を早めることかの』
「早める…」
『思うんじゃかの、以前住んでたグリンウッドの周囲には常に草木が生い茂ってたかの?どうもおかしいのじゃ』
「え?」
『今まで土の精霊であるアニタが亡くなったから、グリンウッドの木々が枯れ始めたと思って居ったのじゃ、でもの、それにしては【土】で木々が枯れるには何か違う様な気がしての』
ふ~むむむ…とミトラさんは唸って空中に飛び、
『勿論グリンウッドが枯れ始めたのは何かしらの原因があるとは思うがの、ふーむ…うさちゃんすまんのじゃが、ちーと妾に付きおうてはくれんかの?』
「付き合うですか?」
何処かに移動するのかな?
でも移動と言っても私の場合、基本敷地内の一部のみしか行けないのだけど。他の場所だとマルティンさんとか竜王様とか反対するだろうなぁって思って居たら、
『そう言うてもの、この場所でなのじゃ』
成る程と頷くと、ピピピピッと言う音が上空からして何だろ?と思って居たら、先程の警備していた精霊達が何人か一ヶ所に集まり、キョロキョロと世話しなく周囲を見詰めたり遠くを見ている。
『む?何か来たのかの?』
と、上空の精霊達にミトラさんが声を掛けると、
「ミトラ様ー!面会したがってる精霊が居ますー!」
『むう?誰じゃ』
「名無しの精霊ですーっミトラ様の腹心の~一緒にオリアナと名乗る人も居ますー!門前、結界前で待ってます」
え、オリアナさん?最近姿が見えなくて、先日マミュウさんに聞いたら「お仕事ですよ」で、後は教えて貰えなかったんだよね。
お陰で「お仕事です」で言葉を濁す時は大抵【エルフ】絡みか【グリンウッド】か【邪神】絡みだと解るようになったのだけど。
ちなみにマミュウさんは街についてとか、街絡みの流行りとかは隠さない。と言うよりよく教えてくれる。多分街を知らない私が、何時行っても困らない様に教えてくれているのだと思う。お陰で流行りの靴とかお洋服とか、アクセサリーとかちょっと可愛い小物類とか、女の子っぽい物は解るようになったのだけど。マミュウさん、普段あんなに体術とか凄いのに女子力高い。お仕事も急いだろうに尊敬しちゃう!
でも出来れば、年頃の女の子とかがどんなお話をしているのかとかが知りたかった。ウサギの時みたいに木の下で出逢った男の子とは仲良くなるとか、ドングリを食べると少し良いことがあるとか。
雨上がりは空気が湿ってて地面が湿って敵に臭いで気が付かれ難いから、こっそりご飯を食べに行きやすいとか。
蜘蛛の巣に水滴がついていたら明日は晴れとか。
…あれ?最後は生活の知恵になってない?
『ぬぅ…妾では許可は出せんのじゃ、仕方無いマミュウ、すまんのじゃがマルティンか愚弟に言うて許可を頼めるかの』
「はい」と返事をし、マミュウさんが城へ向かおうとすると、
「許可をします、オリアナを此処へ。精霊はミトラ様に御報告でしょうから皆様室内に入りましょう」
マルティンさんが珍しくレンズ部分に色が入った眼鏡を掛け、玄関の扉を開けて立っていた。
「ああ、日の光は苦手ですねぇ」と小さく漏らしていたのが、とても印象的であった。
…竜王様後で叱ろうかなぁ、全くもう。
もう少し魔法に関してお話したかったのにと愚痴を漏らしたら、ミトラさんが『妾で良ければ答えるぞ?』と言って貰ったので、少し質問する事にしました。
色々と知識はあった方がいいと思うし、人とウサギでは考え方が違うから、出来るだけ沢山疑問に思った事とか聞いておかないとね。
「竜王様って水の精霊さんですよね、何故氷とか雷とか使えるのですか?」
『む?見せたのかの?』
「はい、雷はグリンウッドで。氷は先日と先程」
コップの水を凍らせた事を伝えると、『あ~…』とミトラさんが言い出しました。
『普通はの、覚醒せぬと他の属性は使えぬのじゃ』
何でも第二番目であるミトラさんは、覚醒しないと他の属性の魔法と強い魔法は使えなかったらしいです。
『妾の場合ハク、御主の弟の主人じゃな。そのハクが気に入って名付けて貰って覚醒したのじゃ。それで他属性を使う事も、以前より強い魔法も使う事が出来る様になった。魔力も威力も桁違いに増えたのじゃ』
そこで一口御茶を飲み、
『だがの、同時にしがらみも増えたのじゃ。妾の場合元々あったのじゃが…む、これは余計じゃったの。まぁ、竜王の場合は覚醒しなくても使えるのは才能かの』
「才能ですか?」
『ふむ。妾達は今は一・三・四と七・八・九・十とほぼ全員じゃが欠落しとるからの、全員の情報は無いので何とも言えんのじゃが、竜王の場合はそうとしか言えぬのじゃ。ま、後は当人に聞くのが一番じゃな』
妾はこれ以上は知らぬのじゃと言われ、成る程才能なのかと納得する。それでは私はどうしたら良いのだろう?この先、私に隠して居る様だけど徐々に不穏な情勢なのは何となくだが理解している。
この先に広がる光景でさえ、以前には無かった青々としていた筈のグリンウッドの木々が全て枯れて居るのだから。
「草木の作用…」
私は攻撃系の魔法は向かない。出せても威力は微々たる物らしい。例えで言うならば、小さな御子様がチビッ子パンチを放つのと、プロの戦士が放つ一撃との差だと言う。
ザジ先生が言って居たけど、それでも何か竜王様の役に立てないだろうか?
驚かす位は出来るらしぃけど~…出来るなら使える魔法のがいいよね?
『うさちゃんの場合、草木の成長促進じゃの。主なのは自身の魔力を使うか、周囲から魔力を貰って植物の成長を早めることかの』
「早める…」
『思うんじゃかの、以前住んでたグリンウッドの周囲には常に草木が生い茂ってたかの?どうもおかしいのじゃ』
「え?」
『今まで土の精霊であるアニタが亡くなったから、グリンウッドの木々が枯れ始めたと思って居ったのじゃ、でもの、それにしては【土】で木々が枯れるには何か違う様な気がしての』
ふ~むむむ…とミトラさんは唸って空中に飛び、
『勿論グリンウッドが枯れ始めたのは何かしらの原因があるとは思うがの、ふーむ…うさちゃんすまんのじゃが、ちーと妾に付きおうてはくれんかの?』
「付き合うですか?」
何処かに移動するのかな?
でも移動と言っても私の場合、基本敷地内の一部のみしか行けないのだけど。他の場所だとマルティンさんとか竜王様とか反対するだろうなぁって思って居たら、
『そう言うてもの、この場所でなのじゃ』
成る程と頷くと、ピピピピッと言う音が上空からして何だろ?と思って居たら、先程の警備していた精霊達が何人か一ヶ所に集まり、キョロキョロと世話しなく周囲を見詰めたり遠くを見ている。
『む?何か来たのかの?』
と、上空の精霊達にミトラさんが声を掛けると、
「ミトラ様ー!面会したがってる精霊が居ますー!」
『むう?誰じゃ』
「名無しの精霊ですーっミトラ様の腹心の~一緒にオリアナと名乗る人も居ますー!門前、結界前で待ってます」
え、オリアナさん?最近姿が見えなくて、先日マミュウさんに聞いたら「お仕事ですよ」で、後は教えて貰えなかったんだよね。
お陰で「お仕事です」で言葉を濁す時は大抵【エルフ】絡みか【グリンウッド】か【邪神】絡みだと解るようになったのだけど。
ちなみにマミュウさんは街についてとか、街絡みの流行りとかは隠さない。と言うよりよく教えてくれる。多分街を知らない私が、何時行っても困らない様に教えてくれているのだと思う。お陰で流行りの靴とかお洋服とか、アクセサリーとかちょっと可愛い小物類とか、女の子っぽい物は解るようになったのだけど。マミュウさん、普段あんなに体術とか凄いのに女子力高い。お仕事も急いだろうに尊敬しちゃう!
でも出来れば、年頃の女の子とかがどんなお話をしているのかとかが知りたかった。ウサギの時みたいに木の下で出逢った男の子とは仲良くなるとか、ドングリを食べると少し良いことがあるとか。
雨上がりは空気が湿ってて地面が湿って敵に臭いで気が付かれ難いから、こっそりご飯を食べに行きやすいとか。
蜘蛛の巣に水滴がついていたら明日は晴れとか。
…あれ?最後は生活の知恵になってない?
『ぬぅ…妾では許可は出せんのじゃ、仕方無いマミュウ、すまんのじゃがマルティンか愚弟に言うて許可を頼めるかの』
「はい」と返事をし、マミュウさんが城へ向かおうとすると、
「許可をします、オリアナを此処へ。精霊はミトラ様に御報告でしょうから皆様室内に入りましょう」
マルティンさんが珍しくレンズ部分に色が入った眼鏡を掛け、玄関の扉を開けて立っていた。
「ああ、日の光は苦手ですねぇ」と小さく漏らしていたのが、とても印象的であった。
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