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1章 兎波を走る

私は餌…ごめんなさい

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□■□注意□■□

最後の方下ネタ有。
苦手な方はごめんなさい

□■□■□■


 ぁううう…

 あの、何故なんでしょ…

 竜は時々襲い掛かって来る大鷲とか、名前の知らない大きな鶏?の襲来から悉く撃退していって、後は知らんふり。
 足元に落ちた竜のごはんかと思われる物達は、時々現れる他の肉食獣が嬉々としてかっ拐って行くけど、見て見ぬふり。
 囮かと思っていた私は混乱中。

 あ、大きな鶏の首から出て来た魔石は飲み込んでた。
 もしかして、それが竜のごはんなの?
 チラッと足元を見てみたら、また落ちて来た大きな鶏の首は歯で砕き、それから魔石を取りだして飲み込んでた。

 やっぱり魔石が竜のごはんなのかしら?
 それにしては効率が悪い気がするけど。
 だってこの竜、とても身体が大きいのよ?
 それなのに小さな魔石を少しずつ飲み込むだけ。

 ん~?
 もしかして、狩りの効率が悪いから私を囮にしているのかしら?
 だとしたら私、竜に食べられない?
 餌じゃない?
 囮はちょっと怖いけど、少しは生き長らえる事が出来る?


 ………よしっ!
 何とか生き残ってやろうじゃないのっ!
 そして、そして!
 兄弟の名前何としても聞き出すんだから!
 人間、じゃなかった!ウサギだって目標持たないと生きていけないよね。だから私の今後の目標は、生き残ってテイムされた兄弟の名前を知ること。
 よし、決めた!
 出来たらあの子が幸せそうに笑って居る所が見たいけど、もう違う世界に入ってしまったのだもの、贅沢は言わない。
 名前だけでいい。
 それにはちょっと、この竜の隙を見て逃げ出すしかないわよね。

 と、思った途端、


 ぱっと変わる風景。

 え?
 何?

 私の胴体に茶色の腕???


「ギャギャギャギャッ」


 今迄に見たことが無い、猿みたいなモンスターが私を確りと抱えて威嚇の声を上げる。
 途端に集まる数十匹の猿の仲間。
 皆一様にギラギラと肉食獣の獰猛な鋭く光る目と、食欲に貪欲なのかダラダラと唾液を垂らしている。

 …うん。
 無理………

 竜の背中から拉致されちゃったのね。
 私本当に食物連鎖の最弱なのね……
 いや、他の肉食獣に勝てる気は一切しないけどぉ!

 兄弟の名前知りたかったよぉぉっ
 うわーんっと鳴き声を上げたくて、でも私はウサギだから人間みたいな声はしなくて。
 上げた声は「ピキュ」だったけど。

 でも神は見棄て無かった。
 神ではなく竜だったけど。

 …えと?

 木々に逃げ惑う猿みたいなモンスターは、かなり頑張ったんだと思う。
 でも何か物凄く怒った?ような竜の気配のが凄くて………

 私に薄い膜?みたいなものが付いたらと思ったら、周囲に地響きが鳴り響き、大量な落雷が落ちてーーー………

 猿みたいなモンスターは全滅した。







 な、な…何が起こったの?

 これは何?
 竜の怒りなの?
 こ、怖いっ

 猿みたいなモンスターの頭を先程と同じ用に処理し、魔石を飲み込むと竜は此方に近付いて来る。

 やだぁ…

 ぶるぶる震えて居たら、竜は何も無かった様に私を背中に乗せ……




 ごめんなさい。
 乙女として失格です。
 恥ずかしくて死にそうです。
 でも、でも、でもぉ………
 怖かったんだょぉおおおっ


 何が起こったのかと言うと、竜の背中が私の乙女の温かい何かで濡れました。


 何かとか聞くな。
 聞くな。
 聞くなってばぁぁああああっ!!


 ………ごめんなさい。
 不可抵抗なのぉ!
 怒らないでぇぇっ!
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