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魔王が何故か、主神?の乗り物を召喚した件
長物に好かれる設定しやがった奴をぶん殴りたい
しおりを挟む私にも見せて欲しいとアガーテに手持ちの商品を見せて貰うことにした。
勿論お詫びの品として幾つか寄越せと強奪する気満々のアデルは何とか宥め、アイテムを入れていた袋に戻して貰う。
ちょっとビクビク状態のアガーテは恐れているのはアデルでは無いんだろうなって思う。だって仕切りと相方と呼んでいる黒豹さんをチラリと何度も見ているから。
黒豹さんは黒豹さんで…今、登場した時の驚きな状態とか諸々な状態は全て吹っ飛んでいます。何せルクレツィアやアルフォンソに撫でられ捲っていて、あれって黒豹だよね?猫じゃないよね?って状態です。
床に転がっていて、ゴロゴロゴロと機嫌よく鳴いて居てとっても可愛い。
「く、にゃーの相方が…にゃあも撫でたい…」
「混ざって撫でてくれば?」
そんなプルプルと身震いする程我慢しているなら撫でれば良いのに。と思っていたら、
「にゃーが撫でると、酷い目にあうにゃ。だから出来ないにゃ」
「酷い目って?」
「首筋噛みつかれて影に隠れて鳴かされるにゃ」
「それって」
「にゃーの尻尾持って、グルグル回されるにゃ…目が回るのにゃ…遊ばれるにゃ…いやにゃ…」
それで旦那予定で良いのだろうか。
一瞬18禁的何かなのかと思ったけど、どうやら違うらしい。
一先ず良かった。アダルティなのはウチの配下のチビーズ達には見せたくないのですよ。
「今にゃーは黒猫にゃから。これが人間の姿だと危険にゃー」
「何で危険なの?」
「ん?ああ、知らにゃいにゃ?今の時期は獣人の発情期にゃ」
発情期。そして獣人。
アガーテの相方さんは獣人さんなのか。
納得していたら、ん?と首を傾げるアガーテ。
「ん~…アーデルベルトの旦那、この別嬪さんは旦那の召喚した配下じゃにゃいん?」
「違う」
アデルは配下の蜘蛛達が持って来た商品…アガーテと交換する品を幾つか床に山と積み上げている。あ、あの反物の織物が素敵。真っ白な生地なんだけど、その生地をよく見ると白一色なのにも関わらず模様が織られている。いいなぁ…私の所も何かと何時か交換出来ないかな。でもあの反物とっても高価そう。
今は無理だろうなぁ~…
「んー?ふむふむ、だからアーデルベルトの旦那は手を出せないんにゃね。成程にゃ。にゃーはてっきりアーデルベルトの旦那が召喚した嫁候補だと思っていたにゃぁ」
アーデルベルトの旦那は魔王だからそうだと思っていたにゃぁ。
と言われて困惑。
「嫁を召喚って…」
それだけ切羽詰まって居たのかアデルって。
こんな顔だけは相当な美人さんなのに。ついでに言うと性別が男性だって、服着てたら絶対に分からない位に性別不明な顔付きなのに。
綺麗に整いすぎて中性的過ぎるんだよね、アデルって。
「いや、俺召喚しても元が魔物のせいか、魔物か蜘蛛ばっかり出るから」
それってつまり、一度は召喚しようとしたのだろうな。
うん、きっとそうだ。もしくは癒やし相手が欲しかったとかだろうか。こんなに沢山の配下(蜘蛛)が居るのに。何だかすっかり私の足元で布に文字書いて私の配下と交流して和気藹々としている様子を見ていると、可愛く思えて来るから不思議だ。
昆虫は苦手だったのになぁ~…
でもまだ本能的な何かがあって、まだ触れないんだけどね。
「蜘蛛の嫁がでるのかにゃー」
なんかそれ、やだ。とアデルが言ってるけど。そして此方を見て、「レーベルがいい…」ってボソっと呟かんでくれ。スルーするの結構シンドイんだから。
「ほうほう、アーデルベルトの旦那には今の所靡いてにゃい~と」
その言葉にガクーッと項垂れるアデル。
一々態度に出さなくても良いのに律儀に出して居る辺り分かりやすい。
でも、ねぇ…私まだ此方の事よく分かって居ないのに、いきなり押し掛けられても何とも思えないよ。それ所じゃないんだから。
と言うかその話題もういらん。
「何処からか来た子かにゃ?迷子になって飲まず喰わずで行き倒れ、ヤバイ所にアーデルベルトの旦那が拾ったって感じかにゃ?」
確かに何も知らなかった、この世界に産まれたばかりの私のダンジョンに来て色々助かっては居るけど、でも拾われたってワケじゃないと思う。似たような状況な気がしないでもないですけど。寧ろ押し掛けて来たってのが正解だと思うんだけど。いや、助かってますけどね?
…求婚さえなければ。
そして私の配下達を見て何とも思わないのだろうか?
それともアデルの配下だと思っている?
「レーベルは…」
と言って此方を見てチョイチョイと手招きするアデル。
うん?何だろうと思っていると、
「(正直に話していいか?コイツは根っからの商人だから、商売の不利になることは言わないしバラさない。恐らくレーベルの事はバラさないだろうし、今後の事を考えると教えても大丈夫だろう。勿論アガーテの相方も同じだ。ただ基本無口だがな)」
そう言えば先程から口を開いて居ない気がする、黒豹さん。
声はちょこっとだけ聞けてるけど、全てゴロゴロと喉を鳴らしているのでこれが声かと言うと怪しい。
「(良いんじゃない?別に困らないし)」
確かに困らない。今は、だけど。
うっかり知られても数ヶ月は大丈夫だろう。
…数ヶ月は、だけど。
何せこの世界のダンジョンの魔王の有り様を聞かされた身としては思う所はある。けど、現状はそれだけ。ただ数カ月後には何かしらアクションが人間側からありそうだし、それに付いては何らかの対策を急ピッチで考えて居る。
今の所はダンジョンの強化と拡張に、配下と自身のLv上げ、それと『魔王の間』に入られない様にする対策位しか無いのだけど。
ダンジョンのコアの破壊阻止。
奪われるのを阻止するのが目的だけど、コアを破壊されて『私』が亡くなり破壊されたコアを資源にされるってのは御免被りたい。何で態々殺され、それをたかが【資源】として使われなくては為らないのか。不遇過ぎでしょダンジョンの魔王。
そして何故そんな世界にしたの神ってやらは。
創造神って奴が居るなら断固抗議して、その横っ面を木っ端微塵に蹴り飛ばしてやりたいわ。
「あ、それ俺も」
アデルが賛成するってのは余程…
「長物に好かれる設定しやがった奴をぶん殴りたい」
それが理由か、アデル…。
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