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魔王が何故か、主神?の乗り物を召喚した件
「パ」とは言わせねえ!
しおりを挟むさて出発するよーと掛け声を掛けていると、ヴァルヘルムが地面にあるダンジョンへ続く入り口のドアに土を掛けて隠蔽していた。
やばい、ヴァルヘルム格好いい。馬の蹄の裏側って初めてみた。
ただやり終わった後、「どや!」ってどや顔するのは勘弁して欲しい。
そして、
「扉開ける時、土が入り込みそうですね」
って、ミンさん突っ込まないであげて。
ヴァルヘルムが凹んでるから。
凹んでいるヴァルヘルムの背中に幾つかの袋を括り付け、荷物運び手伝ってね!と言えば『役立つ』と思ったのか、ヴァルヘルムの気分は戻ってきた。
ただちょっと鼻息が荒いような気がする。
…威圧感があるのでちょっと分かりにくいけど。
そんなヴァルヘルムの背にはルクレツィアとアルフォンソが乗っている。アルフォンソは兎も角、ゴブリンの姫のルクレツィアには長時間歩くのは無理だろうと乗せてもらったのだけど、一人で乗っているとグラグラとかなり揺れるのでアルフォンソを乗せて支えて貰ったら、ルクレツィアが始終悶ている。
あれかね。
リア充爆発しろ。
「リア充爆発しろ」
…今誰言った。
何故配下諸君、此方を向くかな?
私は何も言ってないよ?心では呟いたけど。
…犯人はセンギョクでした。私の背後に居るな、紛らわしい。
「僕だって可愛い恋人欲しいです。マスター何とか為りませんか?」
いや、ミンが居るだろ。
ジョカは恐らく無理だろうけど。何せ伏儀…じゃなかった、フッギにピッタリ寄り添っている。あれはもう夫婦の領域だろう。お蔭でオークの特に男衆の空気がツンデレ地帯状態で寒気がする。
「これはアレか、ミンを毎日拝めと…」
何か色々ヤメロ。
そしてミンに拝み倒そうとするな。
何だろう、我がダンジョンは婚活会場だろうか?圧倒的に女性陣が少なくて、男性陣があぶれているけど。そしてゴブリン勢はあまり気にして居ないらしいようだが、本音は?
「マスターの負担に為るようなことはしなくても、そのうちダンジョンで湧いてくるでしょうし」
「ですね~」
ガルヴィーノとバイアルドは結構淡白だったらしい。
もしかしたらルクレツィアとアルフォンソの、”小さな恋の物語”を応援していてソレ所じゃないのかも知れない。
オークと違ってゴブリン達はほのぼのと縁側のお爺ちゃん宜しく、まったりと見守って居るからなぁ。
「これは野生のオーク雌をナンパするしか!」
「この辺り探索してるけど、雌は見掛けたこと無いけどな~」
「確かに、蜘蛛が多いよな」
「それって黎明の森が近いからだろ?アデル様の」
「あ、俺人族でもOK」
「お前顔見てから言え」
「…喧嘩売ってる?」
オーク達がワイワイガヤガヤと会話しつつ(若干喧嘩っぽくはなったが、戯れている様にしか見えない)、そう言えば私の配下には「アデル様」と呼ばれても容認しているみたいだなぁ。ドラゴンさんの時は嫌がっていたけど、アデル気にしてないのかな?と思いつつ探索していく。
「ます、た、ヴァルヘルム、水、匂いするって」
「え?本当?」
「此方だそうです、マスター」
ヴァルヘルムが匂いを辿って一時間ほど。視界の先には大草原が広がり、其処にある腰まである草をかき分け。途中獣道らしきものを見つけてからは道中が楽になり、其処を更に三十分程歩いていくと…
「お~」
目の前の草原の向こうに広がる、透明に透き通った水。
少し向こうには池?湖?に繋がる川が流れており、岩場が広がっている。
「ちょっと遠いけど、これで少しはマシになるかな」
うんうんと頷くルクレツィアにアルフォンソ。
「飲めるかどうかが問題ですね」
と言ったのはガルヴィーノ。
「洗濯が出来ればもうそれだけで…!」
と言ったのは、世話焼きのミン。
そう言えばミンの背中には袋が括り付けられていて、どうやらその中には幾つもの洗濯物が入っているらしい。
「マスター川の方には何匹か魚が居ますよ」
ごはーん!
つい見に行ってみたら、岩場の影に幾つかのお魚がっ!
「鮎に似てるー!あっちは鮭?ってでか!」
元々鮭は大きいけど、鮎がまたデカイ。かるーく…私の身長超えてるんだけど!
【化け大鮎】
身が絞まっていてとても美味い。大きい身体だが警戒心が強く、透明度の高い清らかな水辺にしか居ない。
「おーやったね!清らかな水にしか居ない化け大鮎だって」
「だとしたら水飲めそうですね」
ミンは早速洗濯をしたいらしく、さっさと比較的大人しかったゴウジュンとゴウキンの二名を引き連れて洗濯出来そうな岩場を探している。
洗濯のお手伝いをしたいのか、ルクレツィアがアルフォンソを引き連れてミンの背後をウロチョロとしている。
一見すると親子の様だ。種族は全く違うけども。
「僕たちは探索と周囲の警戒、それと食料確保します」
と言って、カルヴィーノとバイアルド、ゴウジョンにゴウゴウの四名は焚き火用の枝を幾つか拾って袋に詰め、少し離れた所へ出掛けていった。
「私達はどうしようか」
残った私達、シユウにコウテイ、センギョクにヴァルヘルムをぐるっと見詰め、
「ナン…」
バキッとセンギョクがヴァルヘルムにドツカレタ。
ヴァルヘルムのその顔は、「パ」とは言わせねえ!と睨んでいた。
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・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
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