15 / 52
ダンジョンは地下深く
当分の間困らないだけのごはん!
しおりを挟む
「昨日渡したモノだけだと足りないと思って色々持って来たんだ。俺の時も生まれた当初はワケ分からなくてキツクテな。んで、当時の事を思い出しつつ此処まで来たら、ダンジョンに入る地上にある扉が開いて居て、中を覗き見しつつ注意して入って来たら途中で魔物達が必死の形相で逃げようとして居たんだ。けど床とか壁もか?が蟻地獄みたいに滑るもんだからドンドン滑り落ちて壁に激突したり、中には体長が大きいせいでミッチリと詰まって居たりしててなぁ。詰まって居たのは全員切り裂いたり、蹴り出して連れて来た」
「えーと、あ、有難う?」
地上にある入口の扉、少し知能がある魔物なら入って来れるのか。
そう思って転がっている魔物を見ると比較的知能がありそうなモノが居て、それと共に猪突猛進しそうな…
「ああ、ボア(猪型の魔物)は恐らく扉が開いて居たんで入って来たんだろうな。此奴らは見境なく突進するだけで知能はあまり無いから。ただ肉はとても美味いぞ」
そう言ってサクサクと魔王の間の手前の部屋で首を狩り、血抜きをし始めるアデル。
「血…」
ボタボタと血だまりが出来て行くのを見詰め、どうしようこれと思った直後、思ったより不快感がない事に気付く。幾ら前世の記憶があるとは言え、不快感が無いのは『魔王』としてダンジョンに生まれたからだろうか。
もしくは相手が魔物だから?
それとも―――真っ先にごはんと思ったからかも知れない。
食生活大事。
何より美味しい物が頂きたいのです。少なくとも私は昨夜口にした硬いパン以外この世界に生まれてからまだ食べて居ないのです!!
ごはん大事なのですよ!
「血はダンジョンの内部だからな。ダンジョン内ならほっとけば数十分でダンジョンに吸収されるぞ。おっと、死んでる魔獣で食えるのは血抜きしてからさっさとアイテムボックスへ入れて置け。捌くのに時間が掛かりそうならそのままアイテムボックスに入れて置いても良い。後で血抜きすればいいからな。そうしないと放置しとくとダンジョンに全て吸収されてしまうぞ。まぁポイントとか経験値とかダンジョンに吸収すると変換するからそうしたいなら別だけどな」
そう言われてはイケマセン。
御残しは駄目なのです、と言うかごはんです、ごはん大事。
私はアデルに聞いて『美味しいごはん』を全てアイテムボックスへ入れて置きました。
ちなみにボアはアデルが少し分けて欲しいとの事で半分こにしようと言ったら、
「いや三分の一で良い。肉も欲しいけど皮を貰っていいか?これ、鞣すから」
との事で全ての魔獣の皮を渡しました。私には今必要ではないし、色々貰ってしまったアデルに少しでも恩を返して置きたい。これぐらいじゃ還元した事には為らないだろうけど。
かなり遠慮されたけど、こうしてごはんが得られたし何より!
当分の間困らないだけのごはん!
ふふふふふ…
因みに他の素材である角やら爪やらは一部はアイテムボックスへ入れ、後はダンジョンに吸収して貰いました。
現在のレベルは此方。
名前:レーベルブリュームヒェン(前世:小見千夏)
種族:エルフ
職種:魔王
レベル:14
HP:220
MP:480
筋力:14
耐久:520
機敏:350
魔力:100000
器用:1001
幸運:666
ユニークスキル:森の乙女
スキル:アイテムボックス・鑑定Lv2
称号:元深窓の乙女・偽りのエルフ・深淵の森の大古の(エンシェント)魔王求愛拒絶中
ポイント:725(728)
ふむふむ、ちょびっと経験値とかポイントとかゲットです。
* * *
ごっはーーんっっ!
すっかりご機嫌な私。只今やわらかーい美味しい匂いを部屋中に醸し出してくれているボアのお肉。そのお肉を使い終わった竹筒の水筒を半分にアデルに割って貰って御皿にし、火に炙って塩を掛けて美味しく頂いております。ちなみにフォークとかスプーンで頂くのかと思ったら(昨晩は素手でしたがナニカ?)、更に竹の水筒を裂いて竹同士を擦り合わせて簡単に箸を作って手渡されました。
やばいアデル、生活力ある。
尚私にはそんな発想無かった。昨夜同様素手で挑むつもりだったよ、火傷一直線で危険なのに。
そして更になんと!
『魔王の間』の隣に「生活用の部屋を作れば良い」と助言を受けて作っちゃいました、台所(予定)。ただ部屋があるだけで現在は何も無いんですけど、「煮炊き用の換気~換気が出来る部屋~」とうんうん唸って考えていたら『魔王の間』にドアが出来上がり、部屋の上層部に換気口が出来て…あれ、何処に繋がっているんだろう。
謎だ。
ちょっと怖いんだけど。
アデルがスタスタと台所予定の部屋の壁をスパイダー○ン宜しく蜘蛛の足だけでよじ登り、何処に繋がっているのか確認し、次に滑り台がある通路に歩いて行って、
「コッチと繋がっている」
と教えてくれた。
よくよく考えたらそうだよね、あはは……
と言うか考えて作ろうよ私。
因みにアデル曰く、滑り台がある部屋(?)は換気が確り出来ているらしく、一定の個所に澱まない様に空気の動きが微弱ながらも出来て居るらしい。意図して作って居ないのだけど、上手い事出来ている様ですダンジョンって。
素晴らしい。
製作者はへっぽこなのにね……何かごめん、ダンジョン。これから頑張って快適な空間にするからね。って、快適な空間にしちゃうと魔物とか諸々がダンジョンに来た時に対処出来ないか。
台所のある部屋にアデルが自身のアイテムボックスから岩を取り出して竈を作り、落ち葉や枯れ枝等で火を起こし、昨夜私がポイントで交換した鍋を使ってじっくり時間を掛けて水炊きを作ってくれた。
ちなみに私、「おぉ~」と言いながらもちゃんと手伝いましたよ?だって、次回から私がやらないといけないんですから。ボアを捌くのは初めてだったので拙い手付きに為ってしまったのはご愛敬。その内数こなせば慣れるとアデルに言われたので素直に頷く。
所でアデル。
何故そこで「新妻に指導してるようだ…」とプルプルしてるんですか。
妻じゃありません。
だからソコでカサカサする音を出さないで下さい。足、見えない様に布地で隠して居る隙間から蜘蛛の足が微かに見えて怖いんですから。
「えーと、あ、有難う?」
地上にある入口の扉、少し知能がある魔物なら入って来れるのか。
そう思って転がっている魔物を見ると比較的知能がありそうなモノが居て、それと共に猪突猛進しそうな…
「ああ、ボア(猪型の魔物)は恐らく扉が開いて居たんで入って来たんだろうな。此奴らは見境なく突進するだけで知能はあまり無いから。ただ肉はとても美味いぞ」
そう言ってサクサクと魔王の間の手前の部屋で首を狩り、血抜きをし始めるアデル。
「血…」
ボタボタと血だまりが出来て行くのを見詰め、どうしようこれと思った直後、思ったより不快感がない事に気付く。幾ら前世の記憶があるとは言え、不快感が無いのは『魔王』としてダンジョンに生まれたからだろうか。
もしくは相手が魔物だから?
それとも―――真っ先にごはんと思ったからかも知れない。
食生活大事。
何より美味しい物が頂きたいのです。少なくとも私は昨夜口にした硬いパン以外この世界に生まれてからまだ食べて居ないのです!!
ごはん大事なのですよ!
「血はダンジョンの内部だからな。ダンジョン内ならほっとけば数十分でダンジョンに吸収されるぞ。おっと、死んでる魔獣で食えるのは血抜きしてからさっさとアイテムボックスへ入れて置け。捌くのに時間が掛かりそうならそのままアイテムボックスに入れて置いても良い。後で血抜きすればいいからな。そうしないと放置しとくとダンジョンに全て吸収されてしまうぞ。まぁポイントとか経験値とかダンジョンに吸収すると変換するからそうしたいなら別だけどな」
そう言われてはイケマセン。
御残しは駄目なのです、と言うかごはんです、ごはん大事。
私はアデルに聞いて『美味しいごはん』を全てアイテムボックスへ入れて置きました。
ちなみにボアはアデルが少し分けて欲しいとの事で半分こにしようと言ったら、
「いや三分の一で良い。肉も欲しいけど皮を貰っていいか?これ、鞣すから」
との事で全ての魔獣の皮を渡しました。私には今必要ではないし、色々貰ってしまったアデルに少しでも恩を返して置きたい。これぐらいじゃ還元した事には為らないだろうけど。
かなり遠慮されたけど、こうしてごはんが得られたし何より!
当分の間困らないだけのごはん!
ふふふふふ…
因みに他の素材である角やら爪やらは一部はアイテムボックスへ入れ、後はダンジョンに吸収して貰いました。
現在のレベルは此方。
名前:レーベルブリュームヒェン(前世:小見千夏)
種族:エルフ
職種:魔王
レベル:14
HP:220
MP:480
筋力:14
耐久:520
機敏:350
魔力:100000
器用:1001
幸運:666
ユニークスキル:森の乙女
スキル:アイテムボックス・鑑定Lv2
称号:元深窓の乙女・偽りのエルフ・深淵の森の大古の(エンシェント)魔王求愛拒絶中
ポイント:725(728)
ふむふむ、ちょびっと経験値とかポイントとかゲットです。
* * *
ごっはーーんっっ!
すっかりご機嫌な私。只今やわらかーい美味しい匂いを部屋中に醸し出してくれているボアのお肉。そのお肉を使い終わった竹筒の水筒を半分にアデルに割って貰って御皿にし、火に炙って塩を掛けて美味しく頂いております。ちなみにフォークとかスプーンで頂くのかと思ったら(昨晩は素手でしたがナニカ?)、更に竹の水筒を裂いて竹同士を擦り合わせて簡単に箸を作って手渡されました。
やばいアデル、生活力ある。
尚私にはそんな発想無かった。昨夜同様素手で挑むつもりだったよ、火傷一直線で危険なのに。
そして更になんと!
『魔王の間』の隣に「生活用の部屋を作れば良い」と助言を受けて作っちゃいました、台所(予定)。ただ部屋があるだけで現在は何も無いんですけど、「煮炊き用の換気~換気が出来る部屋~」とうんうん唸って考えていたら『魔王の間』にドアが出来上がり、部屋の上層部に換気口が出来て…あれ、何処に繋がっているんだろう。
謎だ。
ちょっと怖いんだけど。
アデルがスタスタと台所予定の部屋の壁をスパイダー○ン宜しく蜘蛛の足だけでよじ登り、何処に繋がっているのか確認し、次に滑り台がある通路に歩いて行って、
「コッチと繋がっている」
と教えてくれた。
よくよく考えたらそうだよね、あはは……
と言うか考えて作ろうよ私。
因みにアデル曰く、滑り台がある部屋(?)は換気が確り出来ているらしく、一定の個所に澱まない様に空気の動きが微弱ながらも出来て居るらしい。意図して作って居ないのだけど、上手い事出来ている様ですダンジョンって。
素晴らしい。
製作者はへっぽこなのにね……何かごめん、ダンジョン。これから頑張って快適な空間にするからね。って、快適な空間にしちゃうと魔物とか諸々がダンジョンに来た時に対処出来ないか。
台所のある部屋にアデルが自身のアイテムボックスから岩を取り出して竈を作り、落ち葉や枯れ枝等で火を起こし、昨夜私がポイントで交換した鍋を使ってじっくり時間を掛けて水炊きを作ってくれた。
ちなみに私、「おぉ~」と言いながらもちゃんと手伝いましたよ?だって、次回から私がやらないといけないんですから。ボアを捌くのは初めてだったので拙い手付きに為ってしまったのはご愛敬。その内数こなせば慣れるとアデルに言われたので素直に頷く。
所でアデル。
何故そこで「新妻に指導してるようだ…」とプルプルしてるんですか。
妻じゃありません。
だからソコでカサカサする音を出さないで下さい。足、見えない様に布地で隠して居る隙間から蜘蛛の足が微かに見えて怖いんですから。
0
あなたにおすすめの小説
完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました
らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。
そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。
しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような…
完結決定済み
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
猫なので、もう働きません。
具なっしー
恋愛
不老不死が実現した日本。600歳まで社畜として働き続けた私、佐々木ひまり。
やっと安楽死できると思ったら――普通に苦しいし、目が覚めたら猫になっていた!?
しかもここは女性が極端に少ない世界。
イケオジ貴族に拾われ、猫幼女として溺愛される日々が始まる。
「もう頑張らない」って決めたのに、また頑張っちゃう私……。
これは、社畜上がりの猫幼女が“だらだらしながら溺愛される”物語。
※表紙はAI画像です
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
私と母のサバイバル
だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。
しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。
希望を諦めず森を進もう。
そう決意するシェリーに異変が起きた。
「私、別世界の前世があるみたい」
前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?
無能妃候補は辞退したい
水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。
しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。
帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。
誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。
果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか?
誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる