133 / 138
130 それが萌えだよ
しおりを挟むside.嵯峨憲真
「うう~憲真」
「はい、眞宮」
うんうん、愛されているなぁ。
ニヤニヤしていたら、「締まりのない顔」って眞宮に言われたけど、ごめんこればっかりは収まらない。何せ眞宮に嫉妬され、愛されているってしみじみと感じることが出来て居るのだ!
「眞宮が好きで、好きで堪らないなぁって」
「何だよそれ!」
再度ポカポカと軽く、ほんと~に軽くノックしているぐらいの力加減で小刻みに叩かれる。
あー可愛い!痛くない様に軽く叩いているって言うのもわかるし、あ、ああ可愛い!
とか何とかつい口から漏れたら「可愛くねーもん」と拗ねた声。
エ、ナンデスカ。
俺の眞宮が可愛くてツライ。
拗ねた顔が可愛い、つらい。
「それが萌えだよ、嵯峨君」
ドアの方から延司さんの妙に頷いている姿が見えるのですが。
延司さん、先程まで俺に眞宮を取られたって悔しがっていませんでした?
「悔しいけど、ほんっとーに悔しいけど、俺にはお母さんが居るし、眞宮がこのままずっと誰とも結婚せずにいられる訳もない。それを考えたら、息子が選んだ人のが良いだろうし、愛息子が幸せになるならもう…」
最後に小さな声で萌えって呟いているよ、この人。
ついでとばかりに「孫が産まれたら箱推し出来る自信があるし」って。箱推しってアイドルグループで例えると、グループ全体を応援したいってことだろ?そうなると、俺と眞宮の夫夫一家(予定だけど!)の応援をするって言うことだろうか。
孫が産まれたらと限定しているけど。
(と言うことは、孫が産まれることを期待されているってことかな)
「嵯峨君、いや憲真君」
「あ、はい」
「眞宮をよ…「あ!いえ、此方こそ先に言わせて下さい!」」
「お、おお」
驚いて妙な返事をしている延司さん。彼の前で胸の中に居る眞宮を「少しだけ離れていい?」と許可を取り、その場で土下座。
「え」と小さな呟きが眞宮の口から漏れたが、理解したのかそのまま黙って俺の隣に正座をしてくれた。
「延司さん、いえ、お義父さん」
ここで「まだお義父さんじゃない」と拒否されたらどうしようかと思ったが、場の空気を読んでくれたのか、はたまた何かしら理由があるのか。黙して語らず、沈黙してくれている延司さんに頭を下げたまま告げる。
「息子さんの眞宮さんを私に下さい」
「…」
「父さん、俺からもお願いします」
横に居る眞宮からも願う声が聞こえる。
「本当は俺の横にお母さんが一緒に居る時が良いんだろうが、な」
ふっと真向いに居る延司さんから苦笑する声が聞こえる。
「父さん、背後」
「あー…聞いていた?お母さん」
すると延司さんの背後、ドアからひょっこりと顔を出す眞宮の母親、蕗さん。その顔はニッコリととても良い笑顔だった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
455
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる