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65 オムライス。デミグラスソースで

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「来てくれて良かった~!」


 末明さんが喫茶ロインへ顔を出した俺に対し、ぎゅっと抱き着いて来る。
 おおお、熱烈歓迎?それだけ心配を掛けてしまったのだろう。
 って、ええええ!?

 不破さん、不破さん、怖いから睨まないで欲しいのだけど!
 Ωの俺はαの威圧に抵抗する術は無いのだから、止めて欲しい。解っていても身体が硬直してしまう。身体が震え出しそうになるのは何とか抵抗したけど、不破さんの威圧は気が弱い人が喰らったらガタガタ震えてしまうだろう。
 …末明さんなら蹴りいれてそうだけど。

 一瞬睨んだ後に何か思い当たったのか、それとも我に返ったのか。はっとした顔をした後で「御免つい無意識で!」と一言。後頭部をガリガリと掻きながら頭を下げ、


「あ~御免、店長ちゃんを睨むだなんて俺もまだまだだなぁ」


 嫉妬してしまったと苦笑しながら言う間に案の定末明さんが不破さんを蹴飛ばしている。
 相変わらず容赦がない。

 でも末明さんのその顔、ちょっぴり嬉しそう。
 旦那さんに嫉妬して貰って嬉しいのですね、わかります。こんないいオトコに嫉妬されたら奥方としては嬉しいものね。
 勿論俺にとっては嵯峨さんの方がイイ男です。
 うう、早いところ告白したいと思っていたのだけど、今日の所は無理そうだ。警官達とアパートに行ってしまったし。

 …いや、夕方の買い物へ今日も来てくれる約束をしたわけではないし、それより今日は自宅へと戻るのは無理そう。変な人が俺の店の周辺で彷徨いているみたいだし。
 明日店を開けることも出来ないかも知れない。
 それどころか当分…?

 ううう、嫌過ぎる。
 早い所解決して欲しい。お巡りさん、早期解決お願い致します!


「罰として晃洋は俺と小林さんのおやつを作ること!」

「へい。プリンアラモードでいい?」

「OK!晩はオムライス。デミグラスソースで」

「了解~店長ちゃんはオムライスの上に掛けるの、デミグラスソース?それともケチャップ?カレーもあるよ~」

「え、あの、ええ?」

「小林さん、晃洋が作るデミグラスソース美味しいよ。以前はしょっぱくて駄目だったけど、最近は味に深みが出て来て腕が上がったよ。良かったら食べて、俺のオススメ!」


 今なら無料だよ!と、末明さんからウィンク1つ。
 ぐぉぉぉ…なんて言う色気&愛らしさ。横にいる不破さんがガン見しているよ、って不破さんの顔が蕩けている~!きっと俺の嫁さん可愛い色っぽい世界一とか思っているのだろうなぁ。
 よし、現実に戻してやろう。


「それじゃあデミグラスソースで」


 カレーは流石に量が多いことになりそうだし。
 以前クラウディオさんが喜んで食べていたのを思い出す。…滅茶苦茶欠食男子向けだったよ、大皿で出ていたし。もしかしたら大皿メニューなのはクラウディオさん向けだったのかも知れないけど。


「ほいさ、18時過ぎになったら持って行くから~。末明、店長ちゃんを部屋に案内してあげて」

「ほーい、小林さんこっち~」


 そんな訳で今日は不破さん夫妻の家にお泊りになってしまった。
 双子ちゃん達もとっても可愛いし、すっかり首が座っていて安心出来たので抱っこさせて貰ったのだった。

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