商店街のお茶屋さん~運命の番にスルーされたので、心機一転都会の下町で店を経営する!~

柚ノ木 碧/柚木 彗

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60 知り合いたくはないな

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「此処に居たー!!」

「は、い?」


 何だ、何だ??
 此処に居たって、誰が?と言うかコッチを向いて言っているのかな?それとも…?


「なんだ、あのおん、人」


 あ、末明さんが女って言おうとして言葉を直した。
 最近子供を産んだからと、『汚い言葉』を直そうと努力をしているらしい。
 当人曰く、「態度とか口調とか、本当はガラが悪いからなぁ」だそうで。
 確かに初めてみた時は驚いた。儚い見た目なのにガラの悪い口調だわ、足癖は悪いわ、旦那さんの不破さんに飛び蹴りをするわ(不破さん難なく技を受けていたよ。凄い)、言い出したらキリが無い。
 それだけ見知った仲になれたという事だけど、今でも末明さんの運動神経?いいや蹴り技?体術?には、かなり驚いて居る。

 双子を産んだから体力減ったと言うけれど、体力を取り戻すために毎日ご近所を夫夫で二人仲良く子連れで散歩をしている姿は仲睦まじくほっこりする。
 可愛い双子ちゃん達もご機嫌で微笑ましい。

 とか何とか考え込んで居たら、先程叫んだ女性がズンズンと言う擬音が聞こえて来そうな勢いで店内に入って来た。

 え。
 俺、この人と知り合いだっけ?見たこと無い人だけど。
 もしくは末明さんとか。

 チラリと末明さんを見ると、知らないと首を振っている。


「あんたーっ!!」


 おおお?物凄い大絶叫だ。
 うわぁ、耳がキーンとする。鼓膜破れて居ないよな?
 店内に入って来た女性…天元突破、ええと音声の限界を突破した様な大声を出して末明さんに詰め寄る。
 末明さんが何かしたとはとても思えない。
 知り合いでも無さそうだし、この女性の勘違いでは無いだろうか。

「耳が痛い!」と不快な顔付きで文句を言う末明さん。
 それ以外は全く物怖じしない。中々の強者だ。

 俺だったら速攻ビビっちゃう。
 今でもちょっと怖いし…営業妨害っぽいから通報出来るようにしておいた方が良いか。

 ふと、店内の外から数名の驚いた様な顔付きで此方を伺う数名の人達。あー…一人何処かへ走っていった。警察呼んでくれたか?それとも末明さんの旦那である不破さんを呼んでくれた?


「あたしの男を取ったねーー!!」

「は?」


 末明さんの男って、旦那さんである不破晃洋さんの事?
 それは幾ら何でも違うって断言出来る。だって不破さん、末明さんにべた惚れだ。他の人には見向きもしていないし、もしそんな気があるのならクラウディオさんが何かしらしそうだ。彼ずっと不破さんを狙っていたし。初対面の時なんてクラウディオさん思いっきり俺に「不破のケツを狙っているから」と牽制されたし。(その後不破さんに蹴飛ばされていたけど)
 それより何より……この女性、目が血走って居て語尾も伸ばすし、何より目がギョロギョロ彼方此方向いている。ちょっと見ただけでも正常な状態では無いことが分かる。


「(末明さん)」

「(ああ、あの症状恐らく薬じゃないかな)」


 落ち着きが無いし、目が血走っている。
 額の血管もやけにくっきりと浮き出ているのは、何かの症状の一つだろうか?


「(一応聞くけど、知り合いでは無い?)」

「(むしろ知り合いたくは無いな)」
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