54 / 138
52 コメディは突然に2
しおりを挟むなんてこったい!
ううう、やっちまったー!
店のカウンター、厨房内部で顔を隠して小さくなって蹲る。
きっと今の俺の顔面は火を吹くが如く、真っ赤になって居るだろう。なんなら耳や首まで赤いかも知れない。いや、確実だろう。
何せ、
「ちょ、店長ちゃん顔どころか耳まで真っ赤だった!?」
「ぐあぁぁーマジかああー」
「首まで赤かったぞ」
と言う声が聞こえて来るからだ。
しかもこの声、ほぼほぼ常連客の声です。嵯峨さんからの声は上がって居ないけど、聞かれてしまったよな!?恥ずかしい!!
なんてうわぁーと内心叫んでいる所に聞こえて来た声。
「ん?おろ?店は開いているようだけど、店長は不在?」
「いや、居るには居るのだけどな」
「ちょいっと来るタイミングが悪かったな、不破」
「クラウディオも一緒か、朝食を食いに来たのかい?」
うわ、商店街の喫茶店の店長不破さん、その不破さんのお店の常連で最近此処小林茶坊の常連にも成りつつあるクラウディオさんが来店して来てくれた。
カウンターでしゃがんで赤らんだ顔を隠している場合ではないぞ、確りしろ!俺!
パンパンと気合を入れる為に両頬を叩いてから立ち上がる。
「小林さん顔が赤いけど大丈夫?」
不破さん達は夫々で来ていたのか。
不破さんの奥さんである末明さんが此方を心配そうに見詰めている。
「あ、ハイ。気合入れましたので」
「凄い音がしたけど、もしかして頬を叩いた?」
「あはは、バレました?」
まだまだ十代の美少年…いや、青年の年齢だろうか?そんな儚げな顔付きの末明さんが心配そうに此方の様子を伺っている。その背後には同じく心配そうなこの店の常連のオジサマ達。
あれ?何この店α率高!
俺と末明さん意外、ほぼほぼ常連客がαな件。
これが田舎(実家)と都会の違いか…αどころかΩでさえ出会えるのがほぼ無いとまで言われていた田舎出身の俺は、妙な気分になって戦慄してしまった。
と言うか、田舎で男Ωは俺一人だった。
αだってヒムカさん一人しか居なかったけれど。
女Ωも一人しか居なかったけどさ(ヒムカさんの元嫁)。
もしかして田舎ってβばかりが多いって言うけど、αやΩには生きづらいのだろうか。
Ωにはヒートがあるから抑制剤で抑えるのに病院へ通う為、病院が無い地域には居辛いし病院がある地域に移動してしまう。そうしてαはΩが居る場所へと【運命の番】相手を探しにと言うのはよく聞く話(出会えるかどうかは運次第だけど)。
確実にΩは人が居て病院や身が守れやすい地域に移動するよね。
そうして…うん、過疎化はそうしたケースが多少なりとも影響して居たりして。何せ社会的にも地位が高いαが大企業等の御曹司や政治的な地位も高い人が多数居る。逆に田舎には居ない。
居たとしても、何かしらの地位が高い傾向が多い。
少なくとも俺が居た田舎のとあるリゾート地等には有名観光地ホテルがあり、其処の社長はαだって有名だし。とは言え其処の社長はその地に住んでは居ないので、結果的に田舎にはαはほぼ居ないのだけど。
チラリと嵯峨さんの方を向くと、何故かカウンターで数名のおじさん達に絡まれて居る。
頭をグリグリされたり、「テメェ上手いことやりやがって」「このこのぉ」「くっそ~代われや」と、強めに横腹に肘を当てたり。
弄られている?
※ ※ ※
・小林茶坊に朝食を食べに来るα達が多いのは、「独身Ωちゃんの朝食が食える!」「朝から贅沢!」「ほかほかの美味しいご飯!」と言う独身αが多いせいです。なお別作品ですが、高峰さんも偶に此方に来ます。
11
お気に入りに追加
468
あなたにおすすめの小説
平凡な俺、何故かイケメンヤンキーのお気に入りです?!
彩ノ華
BL
ある事がきっかけでヤンキー(イケメン)に目をつけられた俺。
何をしても平凡な俺は、きっとパシリとして使われるのだろうと思っていたけど…!?
俺どうなっちゃうの~~ッ?!
イケメンヤンキー×平凡
【完結・BL】DT騎士団員は、騎士団長様に告白したい!【騎士団員×騎士団長】
彩華
BL
とある平和な国。「ある日」を境に、この国を守る騎士団へ入団することを夢見ていたトーマは、無事にその夢を叶えた。それもこれも、あの日の初恋。騎士団長・アランに一目惚れしたため。年若いトーマの恋心は、日々募っていくばかり。自身の気持ちを、アランに伝えるべきか? そんな悶々とする騎士団員の話。
「好きだって言えるなら、言いたい。いや、でもやっぱ、言わなくても良いな……。ああ゛―!でも、アラン様が好きだって言いてぇよー!!」
光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。
みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。
生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。
何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。
【再掲】オメガバースの世界のΩが異世界召喚でオメガバースではない世界へ行って溺愛されてます
緒沢 利乃
BL
突然、異世界に召喚されたΩ(オメガ)の帯刀瑠偉。
運命の番は信じていないけれど、愛している人と結ばれたいとは思っていたのに、ある日、親に騙されてα(アルファ)とのお見合いをすることになってしまう。
独身の俺を心配しているのはわかるけど、騙されたことに腹を立てた俺は、無理矢理のお見合いに反発してホテルの二階からダーイブ!
そして、神子召喚として異世界へこんにちは。
ここは女性が極端に少ない世界。妊娠できる女性が貴ばれる世界。
およそ百年に一人、鷹の痣を体に持つ選ばれた男を聖痕者とし、その者が世界の中心の聖地にて祈ると伴侶が現れるという神子召喚。そのチャンスは一年に一度、生涯で四回のみ。
今代の聖痕者は西国の王太子、最後のチャンス四回目の祈りで見事召喚に成功したのだが……俺?
「……今代の神子は……男性です」
神子召喚された神子は聖痕者の伴侶になり、聖痕者の住む国を繁栄に導くと言われているが……。
でも、俺、男……。
Ωなので妊娠できるんだけどなー、と思ったけど黙っておこう。
望んで来た世界じゃないのに、聖痕者の異母弟はムカつくし、聖痕者の元婚約者は意地悪だし、そんでもって聖痕者は溺愛してくるって、なんなんだーっ。
αとのお見合いが嫌で逃げた異世界で、なんだが不憫なイケメンに絆されて愛し合ってしまうかも?
以前、別名義で掲載した作品の再掲載となります。
目が覚めたらαのアイドルだった
アシタカ
BL
高校教師だった。
三十路も半ば、彼女はいなかったが平凡で良い人生を送っていた。
ある真夏の日、倒れてから俺の人生は平凡なんかじゃなくなった__
オメガバースの世界?!
俺がアイドル?!
しかもメンバーからめちゃくちゃ構われるんだけど、
俺ら全員αだよな?!
「大好きだよ♡」
「お前のコーディネートは、俺が一生してやるよ。」
「ずっと俺が守ってあげるよ。リーダーだもん。」
____
(※以下の内容は本編に関係あったりなかったり)
____
ドラマCD化もされた今話題のBL漫画!
『トップアイドル目指してます!』
主人公の成宮麟太郎(β)が所属するグループ"SCREAM(スクリーム)"。
そんな俺らの(社長が勝手に決めた)ライバルは、"2人組"のトップアイドルユニット"Opera(オペラ)"。
持ち前のポジティブで乗り切る麟太郎の前に、そんなトップアイドルの1人がレギュラーを務める番組に出させてもらい……?
「面白いね。本当にトップアイドルになれると思ってるの?」
憧れのトップアイドルからの厳しい言葉と現実……
だけどたまに優しくて?
「そんなに危なっかしくて…怪我でもしたらどうする。全く、ほっとけないな…」
先輩、その笑顔を俺に見せていいんですか?!
____
『続!トップアイドル目指してます!』
憧れの人との仲が深まり、最近仕事も増えてきた!
言葉にはしてないけど、俺たち恋人ってことなのかな?
なんて幸せ真っ只中!暗雲が立ち込める?!
「何で何で何で???何でお前らは笑ってられるの?あいつのこと忘れて?過去の話にして終わりってか?ふざけんじゃねぇぞ!!!こんなβなんかとつるんでるから!!」
誰?!え?先輩のグループの元メンバー?
いやいやいや変わり過ぎでしょ!!
ーーーーーーーーーー
亀更新中、頑張ります。
俺を助けてくれたのは、怖くて優しい変わり者
くるむ
BL
枇々木尚哉は母子家庭で育ったが、母親は男がいないと生きていけない体質で、常に誰かを連れ込んでいた。
そんな母親が借金まみれの男に溺れたせいで、尚哉はウリ専として働かされることになってしまっていたのだが……。
尚哉の家族背景は酷く、辛い日々を送っていました。ですが、昼夜問わずサングラスを外そうとしない妙な男、画家の灰咲龍(はいざきりゅう)と出会ったおかげで彼の生活は一変しちゃいます。
人に心配してもらえる幸せ、自分を思って叱ってもらえる幸せ、そして何より自分が誰かを好きだと思える幸せ。
そんな幸せがあるという事を、龍と出会って初めて尚哉は知ることになります。
ほのぼの、そしてじれったい。
そんな二人のお話です♪
※R15指定に変更しました。指定される部分はほんの一部です。それに相応するページにはタイトルに表記します。話はちゃんとつながるようになっていますので、苦手な方、また15歳未満の方は回避してください。
【完結】運命さんこんにちは、さようなら
ハリネズミ
BL
Ωである神楽 咲(かぐら さき)は『運命』と出会ったが、知らない間に番になっていたのは別の人物、影山 燐(かげやま りん)だった。
とある誤解から思うように優しくできない燐と、番=家族だと考え、家族が欲しかったことから簡単に受け入れてしまったマイペースな咲とのちぐはぐでピュアなラブストーリー。
==========
完結しました。ありがとうございました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる