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第21話 ダンジョン攻略へ
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「ワン、ワン、ワオウン!」
「もふもふっ!」
雑種らしい、柔らかい白の毛をまとった大型犬が、疲れ切った俺の顔をベロンベロンと舐め回す。
俺は、生死を賭けた試練を終えた直後の異様に昂った精神を落ち着かせるため、もふもふと戯れながら、正一爺の家、日本古来らしい和室で休んでいた。
イグサの爽やかな香りがする、畳の床。ていねいに和紙の貼られた、風情ある壁。陶器の黒い花瓶に、寒桜が一朶、飾られている。
ガラガラガラ。庭に面した襖を一気に開け放つ。
梅や松の咲いた、よく手入れのされた庭。その向こう側には、のびのびとした田園風景が広がっている。
さらに奥には、緑生い茂る山々が、巨大な城みたく連なって見えた。先まで俺が眠っていた、木の小屋がある正一爺特製の訓練場も、あれら山の中にあった。
朝陽に温められた土の香りが、ほんのりと俺の頬を撫でる。思わず大きく息を吸って深呼吸したくなるような、そんな非常に心地いい景色だった。
「あ、そういえば」
ここで俺は、ふと、ある重要なことを思い出した。
死に瀕するような、壮絶な経験をして、果たしてステータスは、どれほど上昇しているのだろうか。
俺は期待を込めて、大きな声で唱えた。
「ステータスオープン」
ーーーー
神田陽介
種族:精霊
レベル:17
攻撃力:42
防御力:36
素早さ:34
固有スキル<状態:発動>
精霊遣い
<効果>
ただよう精霊の姿を見ることができ、彼らの持つ特殊効果の恩恵を受けることができる。精霊のエネルギーを浴びることによって、常に幸運を引き寄せることができる。
特殊スキル一覧
なし
ーーーー
視界に浮かび上がった青白い文字をじっくり読もうとしたとき、
「レベルは成長していたか?」
正一爺が、なにやら巨大な剣を担いで、縁側から和室へ入ってきた。
ダイヤの散りばめられた、煌びやかな鞘。 ━━勇者の大剣だ。
「はい。ごくわずかですが、たしかにレベルは上がっていました」
「……そうか。それはよかったぞい」
ドスンと勇者の大剣を畳に置く。畳が怯えたみたいにビクビクふるえた。
「ところで……次の試練の準備はできたか?」
「え?」
もふもふが、俺の隣で『ワウン?』と首を傾げる。
「ついに……これらを使う時が来たのだ」
正一爺は今度は、背後から大きな品物を取り出した。ギラギラと朝陽を反射させる、鋼鉄の衣服たち。
正一爺のお古。胃酸地獄と爆風地獄を奇跡的に耐え抜き、汗水垂らす壮絶な努力の末に俺の手元に帰ってきた、愛着ある超超レアアイテム……。
すると、大きく息を吸い込んで、
「次の試練は……装備をした状態で、ダンジョンを攻略してもらう。それも、たった一人でだっ!」
和室が数ミリ浮くかと思うほどに、割れんばかりの大声で、正一爺はそう告げた。
梅の木にとまっていた小鳥が、羽を広げて飛び去って行った。
「もふもふっ!」
雑種らしい、柔らかい白の毛をまとった大型犬が、疲れ切った俺の顔をベロンベロンと舐め回す。
俺は、生死を賭けた試練を終えた直後の異様に昂った精神を落ち着かせるため、もふもふと戯れながら、正一爺の家、日本古来らしい和室で休んでいた。
イグサの爽やかな香りがする、畳の床。ていねいに和紙の貼られた、風情ある壁。陶器の黒い花瓶に、寒桜が一朶、飾られている。
ガラガラガラ。庭に面した襖を一気に開け放つ。
梅や松の咲いた、よく手入れのされた庭。その向こう側には、のびのびとした田園風景が広がっている。
さらに奥には、緑生い茂る山々が、巨大な城みたく連なって見えた。先まで俺が眠っていた、木の小屋がある正一爺特製の訓練場も、あれら山の中にあった。
朝陽に温められた土の香りが、ほんのりと俺の頬を撫でる。思わず大きく息を吸って深呼吸したくなるような、そんな非常に心地いい景色だった。
「あ、そういえば」
ここで俺は、ふと、ある重要なことを思い出した。
死に瀕するような、壮絶な経験をして、果たしてステータスは、どれほど上昇しているのだろうか。
俺は期待を込めて、大きな声で唱えた。
「ステータスオープン」
ーーーー
神田陽介
種族:精霊
レベル:17
攻撃力:42
防御力:36
素早さ:34
固有スキル<状態:発動>
精霊遣い
<効果>
ただよう精霊の姿を見ることができ、彼らの持つ特殊効果の恩恵を受けることができる。精霊のエネルギーを浴びることによって、常に幸運を引き寄せることができる。
特殊スキル一覧
なし
ーーーー
視界に浮かび上がった青白い文字をじっくり読もうとしたとき、
「レベルは成長していたか?」
正一爺が、なにやら巨大な剣を担いで、縁側から和室へ入ってきた。
ダイヤの散りばめられた、煌びやかな鞘。 ━━勇者の大剣だ。
「はい。ごくわずかですが、たしかにレベルは上がっていました」
「……そうか。それはよかったぞい」
ドスンと勇者の大剣を畳に置く。畳が怯えたみたいにビクビクふるえた。
「ところで……次の試練の準備はできたか?」
「え?」
もふもふが、俺の隣で『ワウン?』と首を傾げる。
「ついに……これらを使う時が来たのだ」
正一爺は今度は、背後から大きな品物を取り出した。ギラギラと朝陽を反射させる、鋼鉄の衣服たち。
正一爺のお古。胃酸地獄と爆風地獄を奇跡的に耐え抜き、汗水垂らす壮絶な努力の末に俺の手元に帰ってきた、愛着ある超超レアアイテム……。
すると、大きく息を吸い込んで、
「次の試練は……装備をした状態で、ダンジョンを攻略してもらう。それも、たった一人でだっ!」
和室が数ミリ浮くかと思うほどに、割れんばかりの大声で、正一爺はそう告げた。
梅の木にとまっていた小鳥が、羽を広げて飛び去って行った。
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