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10.ピンクのニンジンはアレでした
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その後は、また2人で畑仕事を手伝った。
大抵のことは魔法でできる世界だが、できない部分を人の手で作業していく。
畑仕事では、種まき、雑草取り、収穫が手動で行う部分だ。
魔法を使うと根こそぎ収穫してしまうので、魔法は使わずに作物の状況を見ながら丁寧に収穫していく。
土には常にベストな状態を保つ魔法がかけられているらしく、水やりは必要ない。
そして、収穫した野菜を村に運んだりした。昨日のパン屋さんのおばさんにも、とれたての野菜を届ける。
日が落ちる頃には今日の作業が終わり、家へと帰った。
「ひゃ~汗だくだ~。風呂風呂!」
家に着いて、まずは風呂で汗を流す。
着ていた服は洗濯もの用の魔法の桶に入れた。そこに入れるだけで一瞬で汚れが取れる便利なものだ。
これで汚れは取れるが、お天気の良い日に干すとさらにフワフワになるらしい。
干していたせいで飛んできたアテナのワンピースを汚してしまったことを思い出して、申し訳ない気持ちになった。いや、これはもう忘れよう……。
風呂から上がり、さっぱりとした気分で、陽平と一緒に夕食の準備をする。
「そういえば、この野菜なんなんだろう?」
アテナから、ピンクのニンジンのような野菜を渡されたのだ。
他の野菜はだいたい何だか分かるが、これだけは良く分からない。
「ちょっと切ってみよう」
包丁を取り出して、少しだけ切り取ってみる。
すると、中からはトロリとした液体が出てきた。
恐る恐る舐めてみる。
味の方は…………
「んっ、美味しい!」
甘くて濃厚な味わいだ。
「これは、サラダに入れて食べようか」
「いいね」
こうやって2人でメニューを考えるのも楽しい。
「さぁ、メインは何を作ろうか」
「そうだねぇ」
今日収穫した野菜のラインナップを見ながら考える。
「よし!決めた!」
作るメニューが決まったようだ。
「今日は肉じゃがを作ろうと思います!」
「おおーっ!」
俺はパチパチと拍手をする。
「じゃあ早速始めよう!」
「了解!」
2人で台所に立った。
まずは材料を切るところから始める。
「えっと……ジャガイモはこのくらいの大きさだったよね」
「うん、そうだよ」
陽平に確認しながら、俺はジャガイモを切り始めた。
トントンという音が部屋に響く。
「次は玉ねぎ……」
陽平は慣れた様子で玉ねぎを刻んでいった。目がツーンとする。俺たちの世界の玉ねぎと全く同じようだ。
「あとはニンジンも切って……」
普通にオレンジ色をしたニンジンもちゃんとある。
「これを軽く炒めて……」
油を引いた鍋の中に肉と切った野菜を入れ、陽平が手早く炒めた。
「あとは煮込むだけだね」
煮汁を入れると、グツグツといい音を立てながら具材たちが踊っているように見える。
「なんか……楽しいね」
陽平が言った。
「確かに、こういう共同作業は楽しいな」
俺も同意する。
しばらくすると、辺りには良い香りが立ち込めてきた。
「ああ……お腹空いてきた」
「もうすぐ出来るよ」
そう言う陽平の顔は、とても幸せそうに見える。
「できた!」
しばらくして、肉じゃがが完成した。
サラダと肉じゃがを皿に盛り付ける。
「いただきまーす!」
俺はまずサラダを口に運んだ。
口の中に広がる新鮮な野菜の風味がとても心地よい。
謎のピンクのニンジンも甘みがあって良いアクセントになっていた。
続いて肉じゃがに手をつける。
口に含むと、ホクホクとした食感と共に甘じょっぱさが広がってきた。
「うまい!」
思わず声に出てしまうほど美味しい。
「よかったぁ……」
味付けの分量は陽平が担当していたから、ホッとした表情を浮かべている。
「本当にすごいよこれ!めっちゃ美味しい!」
俺が絶賛すると、陽平の顔がパァッと明るくなった。
「ありがとう!」
陽平は嬉しそうにしている。それを見て俺も嬉しくなった。
美味しくて箸が進む。
「んっ……ふぅ……うまかったぁ」
あっという間に平らげてしまった。
夕食を食べ終え、二人で食器の後片付けをしている時に、それは起こった。
ドクンっと心臓が大きく跳ねたかと思うと、身体の奥底から熱くなっていく感覚を覚える。そして徐々に呼吸が荒くなり始めた。
「あ、あれ?なんか急に体が熱くなって……」
「太一、どうした!?」
陽平が心配そうな顔で声をかける。
「なんか変なんだ……体の中から熱いものが湧き上がってくるような……」
体がおかしい。心臓が激しく脈打ち、全身に血流を送っているのを感じる。
それに、なぜか下半身に血液が集中していく感覚がある。
「うぐっ……」
すると、陽平も苦しそうにして胸を押さえる。
「陽平も……?」
「な、なんかすごいムラムラする……」
見ると陽平の股間はズボン越しでも分かるくらい盛り上がっていた。
2人そろって発情している。一体なぜこんなことに……。
ふと、ピンクのニンジンが頭をよぎった。
そういえば、アテナに毎日夕飯の時に食べるようにと言われたのを思い出す。
最初に聞いた時に、秘密です♡と誤魔化していたこともあった。
「もしかしてあのピンクのニンジン……」
「僕もそう思った。あれ、催淫作用かなにかがあるんじゃないかな……」
なんということだ……。
このままでは理性を失ってしまいそうになる。
視線を下ろすと、興奮してビンビンになっている自分のモノが見えた。
早くなんとかしないと……。
「はぁ……ねえ太一……」
「な、何?」
陽平が頬を赤く染めながら話しかけてくる。
「そろそろ始めようよ……」
何を?とは聞くまでもない。もう、お互い我慢の限界だ。
「ああ……」
俺達は寝室へと向かった。
大抵のことは魔法でできる世界だが、できない部分を人の手で作業していく。
畑仕事では、種まき、雑草取り、収穫が手動で行う部分だ。
魔法を使うと根こそぎ収穫してしまうので、魔法は使わずに作物の状況を見ながら丁寧に収穫していく。
土には常にベストな状態を保つ魔法がかけられているらしく、水やりは必要ない。
そして、収穫した野菜を村に運んだりした。昨日のパン屋さんのおばさんにも、とれたての野菜を届ける。
日が落ちる頃には今日の作業が終わり、家へと帰った。
「ひゃ~汗だくだ~。風呂風呂!」
家に着いて、まずは風呂で汗を流す。
着ていた服は洗濯もの用の魔法の桶に入れた。そこに入れるだけで一瞬で汚れが取れる便利なものだ。
これで汚れは取れるが、お天気の良い日に干すとさらにフワフワになるらしい。
干していたせいで飛んできたアテナのワンピースを汚してしまったことを思い出して、申し訳ない気持ちになった。いや、これはもう忘れよう……。
風呂から上がり、さっぱりとした気分で、陽平と一緒に夕食の準備をする。
「そういえば、この野菜なんなんだろう?」
アテナから、ピンクのニンジンのような野菜を渡されたのだ。
他の野菜はだいたい何だか分かるが、これだけは良く分からない。
「ちょっと切ってみよう」
包丁を取り出して、少しだけ切り取ってみる。
すると、中からはトロリとした液体が出てきた。
恐る恐る舐めてみる。
味の方は…………
「んっ、美味しい!」
甘くて濃厚な味わいだ。
「これは、サラダに入れて食べようか」
「いいね」
こうやって2人でメニューを考えるのも楽しい。
「さぁ、メインは何を作ろうか」
「そうだねぇ」
今日収穫した野菜のラインナップを見ながら考える。
「よし!決めた!」
作るメニューが決まったようだ。
「今日は肉じゃがを作ろうと思います!」
「おおーっ!」
俺はパチパチと拍手をする。
「じゃあ早速始めよう!」
「了解!」
2人で台所に立った。
まずは材料を切るところから始める。
「えっと……ジャガイモはこのくらいの大きさだったよね」
「うん、そうだよ」
陽平に確認しながら、俺はジャガイモを切り始めた。
トントンという音が部屋に響く。
「次は玉ねぎ……」
陽平は慣れた様子で玉ねぎを刻んでいった。目がツーンとする。俺たちの世界の玉ねぎと全く同じようだ。
「あとはニンジンも切って……」
普通にオレンジ色をしたニンジンもちゃんとある。
「これを軽く炒めて……」
油を引いた鍋の中に肉と切った野菜を入れ、陽平が手早く炒めた。
「あとは煮込むだけだね」
煮汁を入れると、グツグツといい音を立てながら具材たちが踊っているように見える。
「なんか……楽しいね」
陽平が言った。
「確かに、こういう共同作業は楽しいな」
俺も同意する。
しばらくすると、辺りには良い香りが立ち込めてきた。
「ああ……お腹空いてきた」
「もうすぐ出来るよ」
そう言う陽平の顔は、とても幸せそうに見える。
「できた!」
しばらくして、肉じゃがが完成した。
サラダと肉じゃがを皿に盛り付ける。
「いただきまーす!」
俺はまずサラダを口に運んだ。
口の中に広がる新鮮な野菜の風味がとても心地よい。
謎のピンクのニンジンも甘みがあって良いアクセントになっていた。
続いて肉じゃがに手をつける。
口に含むと、ホクホクとした食感と共に甘じょっぱさが広がってきた。
「うまい!」
思わず声に出てしまうほど美味しい。
「よかったぁ……」
味付けの分量は陽平が担当していたから、ホッとした表情を浮かべている。
「本当にすごいよこれ!めっちゃ美味しい!」
俺が絶賛すると、陽平の顔がパァッと明るくなった。
「ありがとう!」
陽平は嬉しそうにしている。それを見て俺も嬉しくなった。
美味しくて箸が進む。
「んっ……ふぅ……うまかったぁ」
あっという間に平らげてしまった。
夕食を食べ終え、二人で食器の後片付けをしている時に、それは起こった。
ドクンっと心臓が大きく跳ねたかと思うと、身体の奥底から熱くなっていく感覚を覚える。そして徐々に呼吸が荒くなり始めた。
「あ、あれ?なんか急に体が熱くなって……」
「太一、どうした!?」
陽平が心配そうな顔で声をかける。
「なんか変なんだ……体の中から熱いものが湧き上がってくるような……」
体がおかしい。心臓が激しく脈打ち、全身に血流を送っているのを感じる。
それに、なぜか下半身に血液が集中していく感覚がある。
「うぐっ……」
すると、陽平も苦しそうにして胸を押さえる。
「陽平も……?」
「な、なんかすごいムラムラする……」
見ると陽平の股間はズボン越しでも分かるくらい盛り上がっていた。
2人そろって発情している。一体なぜこんなことに……。
ふと、ピンクのニンジンが頭をよぎった。
そういえば、アテナに毎日夕飯の時に食べるようにと言われたのを思い出す。
最初に聞いた時に、秘密です♡と誤魔化していたこともあった。
「もしかしてあのピンクのニンジン……」
「僕もそう思った。あれ、催淫作用かなにかがあるんじゃないかな……」
なんということだ……。
このままでは理性を失ってしまいそうになる。
視線を下ろすと、興奮してビンビンになっている自分のモノが見えた。
早くなんとかしないと……。
「はぁ……ねえ太一……」
「な、何?」
陽平が頬を赤く染めながら話しかけてくる。
「そろそろ始めようよ……」
何を?とは聞くまでもない。もう、お互い我慢の限界だ。
「ああ……」
俺達は寝室へと向かった。
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