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14 二人の絆
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「真尋、ごめん。僕のせいでこんなことになってしまって……」
祠を出ると、アルクは申し訳なさそうに謝ってきた。
「アルクは何も悪くないだろ」
「でも、僕と一緒にいるせいで君の日常が壊されてしまったんだ」
「そんなこと……!アルクと出会えて良かったと思ってるぞ」
それは本心だった。アルクと一緒に過ごすようになってから毎日楽しいし、何より幸せを感じることができる。
「真尋……ありがとう」
アルクは微笑みを浮かべるが、その笑顔はまだどこか寂しそうだった。
「それと……手錠はもう必要なくなったから外すよ。今まで悪かったね」
「あ、ああ、そうか……」
確かに、疑いが晴れたので、これはもう必要ない。でも、アルクとの繋がりが消えてしまうみたいで少し寂しい気がする。
「じゃあ、外すよ」
アルクはそう言って、呪文を唱えた。次の瞬間、カチャリと音が鳴って鍵が外れる。そして、跡形もなく魔法の手錠は消滅した。
「これで自由の身だね」
笑顔を浮かべているアルクに対して、俺は複雑な表情になってしまう。
「うん……」
「どうしたんだい?浮かない顔をしているようだけれど」
不思議そうな顔で尋ねてくるアルクに、俺は正直に伝えることにした。
「その……手錠が無くなったら、俺達の関係も終わってしまうような感じがするなって思ってさ……」
俺がそう言うと、アルクが目を見開く。
「真尋……!まさか、君がそんなことを言うなんて……」
「え?」
予想外の反応だ。アルクらしからぬにやけた顔をしている。
「ふふ……そうか……これは嬉しいものだな……僕のことをそこまで……ふふふ……」
こんなアルクを見るのは初めてかもしれない。いったいどうしてしまったのか。
「えっと……?」
「そんな心配いらないよ。だって、これからは直接身体を繋げることになるんだからね」
「なっ……!?」
アルクの言葉を聞いて、顔が熱くなるのを感じた。そうだ、これからは毎日毎晩のように……することになるんだよな……。
「だから、これからもずっと一緒にいられる。それが嬉しくて、つい笑ってしまったんだ」
「うう……そ、そうなのか……」
アルクの満面の笑みを見て、心臓の鼓動が激しくなる。やっぱりこの顔好き過ぎる……。
「じゃあ、早く帰って……早速しようか」
「えっ!し、しようって……そ、そうだ、家族や友達に会っていかなくていいのか?」
アルクの言葉にどぎまぎしながら、俺は慌てて話を逸らした。
せっかくこっちに帰って来たのだから、みんなに挨拶をしていった方がいいんじゃないかと思ったからだ。
「ああ、君には言っていなかったね。僕には家族がいないんだ」
「えっ……?」
アルクがさらりと衝撃的なことを言った。
「勇者とはそういうものなんだ。ある日突然この世界に生まれ落ちて、王国で育てられ、成人になったら旅に出る。そして、世界平和のために戦う宿命なんだよ」
「そんな……そうだったのか……」
それはあまりにも過酷な運命だ。この世界の平和のためだけに生きるようなものじゃないか。まさかアルクがそんな人生を送ってきたとは思わなかった。
「だから、僕は君に逢えて本当に幸せなんだ。初めてできた大切な友人であり、相棒でもある。君は僕にとってかけがえのない存在だよ」
「アルク……」
彼の言葉が胸に染みる。俺もアルクと一緒にいるのは楽しい。彼が俺のことを大切に想ってくれていることも分かっていた。でも、こんなに深い感情を抱えていたとは、まったく気づいていなかった。
「俺もお前に出逢えたことは幸せだと思ってるよ。これからは、もっと仲良くなろう」
「真尋……!」
アルクが感動に震えながら俺を抱き締めた。こんなに喜ばれると照れくさくてしょうがない。俺もそっとアルクを抱き返した。
「ありがとう……」
しばらく抱擁を交わしたのち、身体を離した。お互いの顔を見ると、自然と笑みがこぼれた。
「よし、じゃあ帰ろう」
アルクに手を差し出され、俺は迷わずその手を握り返す。しっかりと手を繋いで、歩き始めた。
祠を出ると、アルクは申し訳なさそうに謝ってきた。
「アルクは何も悪くないだろ」
「でも、僕と一緒にいるせいで君の日常が壊されてしまったんだ」
「そんなこと……!アルクと出会えて良かったと思ってるぞ」
それは本心だった。アルクと一緒に過ごすようになってから毎日楽しいし、何より幸せを感じることができる。
「真尋……ありがとう」
アルクは微笑みを浮かべるが、その笑顔はまだどこか寂しそうだった。
「それと……手錠はもう必要なくなったから外すよ。今まで悪かったね」
「あ、ああ、そうか……」
確かに、疑いが晴れたので、これはもう必要ない。でも、アルクとの繋がりが消えてしまうみたいで少し寂しい気がする。
「じゃあ、外すよ」
アルクはそう言って、呪文を唱えた。次の瞬間、カチャリと音が鳴って鍵が外れる。そして、跡形もなく魔法の手錠は消滅した。
「これで自由の身だね」
笑顔を浮かべているアルクに対して、俺は複雑な表情になってしまう。
「うん……」
「どうしたんだい?浮かない顔をしているようだけれど」
不思議そうな顔で尋ねてくるアルクに、俺は正直に伝えることにした。
「その……手錠が無くなったら、俺達の関係も終わってしまうような感じがするなって思ってさ……」
俺がそう言うと、アルクが目を見開く。
「真尋……!まさか、君がそんなことを言うなんて……」
「え?」
予想外の反応だ。アルクらしからぬにやけた顔をしている。
「ふふ……そうか……これは嬉しいものだな……僕のことをそこまで……ふふふ……」
こんなアルクを見るのは初めてかもしれない。いったいどうしてしまったのか。
「えっと……?」
「そんな心配いらないよ。だって、これからは直接身体を繋げることになるんだからね」
「なっ……!?」
アルクの言葉を聞いて、顔が熱くなるのを感じた。そうだ、これからは毎日毎晩のように……することになるんだよな……。
「だから、これからもずっと一緒にいられる。それが嬉しくて、つい笑ってしまったんだ」
「うう……そ、そうなのか……」
アルクの満面の笑みを見て、心臓の鼓動が激しくなる。やっぱりこの顔好き過ぎる……。
「じゃあ、早く帰って……早速しようか」
「えっ!し、しようって……そ、そうだ、家族や友達に会っていかなくていいのか?」
アルクの言葉にどぎまぎしながら、俺は慌てて話を逸らした。
せっかくこっちに帰って来たのだから、みんなに挨拶をしていった方がいいんじゃないかと思ったからだ。
「ああ、君には言っていなかったね。僕には家族がいないんだ」
「えっ……?」
アルクがさらりと衝撃的なことを言った。
「勇者とはそういうものなんだ。ある日突然この世界に生まれ落ちて、王国で育てられ、成人になったら旅に出る。そして、世界平和のために戦う宿命なんだよ」
「そんな……そうだったのか……」
それはあまりにも過酷な運命だ。この世界の平和のためだけに生きるようなものじゃないか。まさかアルクがそんな人生を送ってきたとは思わなかった。
「だから、僕は君に逢えて本当に幸せなんだ。初めてできた大切な友人であり、相棒でもある。君は僕にとってかけがえのない存在だよ」
「アルク……」
彼の言葉が胸に染みる。俺もアルクと一緒にいるのは楽しい。彼が俺のことを大切に想ってくれていることも分かっていた。でも、こんなに深い感情を抱えていたとは、まったく気づいていなかった。
「俺もお前に出逢えたことは幸せだと思ってるよ。これからは、もっと仲良くなろう」
「真尋……!」
アルクが感動に震えながら俺を抱き締めた。こんなに喜ばれると照れくさくてしょうがない。俺もそっとアルクを抱き返した。
「ありがとう……」
しばらく抱擁を交わしたのち、身体を離した。お互いの顔を見ると、自然と笑みがこぼれた。
「よし、じゃあ帰ろう」
アルクに手を差し出され、俺は迷わずその手を握り返す。しっかりと手を繋いで、歩き始めた。
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