3 / 24
03 職場見学
しおりを挟む
「ふむ、ここが君の職場か」
「そうだよ……本当はあんまり見せたらいけないんだけどな」
俺はアルクを連れて交番へとやってきた。ここが俺の仕事場である。
部外者を交番に連れてきてしまうなんて、これこそ悪いことなんじゃないか……と思うが、仕方がない。
「君はここでどんな仕事を担当しているんだい?」
「主に周辺の見回りと交通整理だな。あとは落とし物の管理をしたり……」
俺がそう答えると、アルクは不思議そうな顔をしている。
「犯罪者を捕まえるんじゃないのか?」
「まぁ、そういうこともあるけれど、俺は地域の安全を守ることが担当なんだ」
「へぇ、そうなんだ……」
アルクはあまり納得していない様子だ。異世界から来た人間にとっては想像しにくいのかもしれない。
彼は魔法で魔獣と派手に戦っていたし、同じように、俺も悪人と戦っていると思ったのだろう。
「人々が安全に暮らせることが、世界平和に繋がると俺は思っているよ」
「なるほど。それが君の考え方なのか」
「ああ。だから俺は警察官になったんだ。誰かを守れるような強い人になりたいからな」
「素晴らしい考えだね」
アルクはそう言って微笑む。やはり彼の笑顔を見ると、少しドキッとするな……。
「ありがとう。でも、君も自分の世界のために頑張っているんだろう?立派じゃないか」
世界を守るために異世界へやって来るなんて、かなりの正義感がなければできないことだろう。
「そうかな。そう言ってもらえると嬉しいよ」
照れくさそうに笑うアルクを見て、俺もつられて笑う。
「お互い頑張ろうぜ!」
すると、アルクは驚いたような表情を見せた。
「どうした?」
「いや、何でもない。そうだね……、頑張ろう」
「おう!」
何だか変なことになってしまったけれど、俺はできることをやるしかない。気持ちを切り替えて、いつも通り仕事に励むことにした。
「おまわりさーん!おっはよー!」
「おう、おはよう!気をつけて学校に行くんだぞ!」
小学生に元気良く挨拶され、俺もそれに応える。その様子を見て、アルクは驚いているようだった。
「へえ、君は随分慕われているんだな」
「そうか?まあ、なるべく明るく接するように心掛けてるからかもしれないな」
ここを通る子供達はみんな素直で良い子ばかりだ。彼らのためにも、安全な街づくりをしていきたいと思っている。
「おはよう」
「あ、おはようございます!」
ベテランの先輩が出勤してきた。彼はとても優しい人で、いつも丁寧に指導してくれる頼もしい先輩だ。
「大庄敷、昨日も遅くまで残業してただろ。疲れてるんじゃないか?」
「いえ、全然平気ですよ。先輩も無理しないでくださいね」
「ああ、ありがとう」
俺は本当に良い人たちに恵まれていると思う。この人達のおかげで、俺は毎日楽しく仕事をすることができているのだ。
アルクは、そんな俺の様子をじっと見つめていた。
***
「ふう……、今日の業務はこれで終わりだな」
書類を整理し終え、脱力して椅子にもたれかかる。業務に没頭しているうちに、あっという間に夜になっていた。
「お疲れ様」
「うお!?」
急に声をかけられて驚いてしまう。そうだった、アルクがいるのを忘れていた。
「集中していたみたいだね」
「ま、まあな……」
ずっと見られていたことに気付き、急に恥ずかしくなる。
そういえば何度かトイレにも行ったけれど、その時はアルクの姿は無かった気がする。完全に透明化もできるのだろうか。きっと見られていたんだろうな……。
「どうかしたかい?」
「い、いや、なんでもない!それよりどうだった?俺に怪しいところはあったか?」
「そうだなぁ……」
アルクは顎に手を当てながら考え込む。今日は真面目に仕事をしていただけだし、何も問題は起こっていないはずだ。
「特に問題はなかったよ。君はしっかりと職務を全うしているようだ」
「そっか、良かった……」
俺はホッと胸を撫で下ろす。
「じゃあ、そろそろ帰ろうと思うんだけど……」
「ああ、帰ろう!」
アルクは嬉しそうに言うと、俺の手を握った。そして、徐々に姿がはっきりと見えるようになる。どうやら魔法を解除しようとしているらしい。
「ちょ、ちょっと待って、まだ早いよ」
「え、どうしてだい?」
「だって、もし誰か来たら大変だろう?こんな所を見られたらまずいし」
俺は慌てて周囲を見回した。幸い誰もいなかったが、突然こんな美形な男がいたら騒ぎになってしまう。
「なるほど、そういうものなのか」
「そうだよ、まだ透明になって待っててくれ……」
「分かったよ」
アルクはまた姿を消してくれた。これで一安心だ……。
俺は急いで着替え、二人で交番を出る。念のため、家に着くまで姿は見えないままでいてもらうことにした。
「えっと……俺の家に来るんだよな?」
「もちろん、そうだよ」
「そうだよな……」
俺の狭い部屋に美男子を招き入れることになるとは。しかも、まだ疑われている身だ。
何か不手際でもあれば、魔法で消されてしまうかもしれない……。慎重に行動しなければ。
俺は色々不安になりながらも、アルクと共に自分の家へ向かったのだった。
「そうだよ……本当はあんまり見せたらいけないんだけどな」
俺はアルクを連れて交番へとやってきた。ここが俺の仕事場である。
部外者を交番に連れてきてしまうなんて、これこそ悪いことなんじゃないか……と思うが、仕方がない。
「君はここでどんな仕事を担当しているんだい?」
「主に周辺の見回りと交通整理だな。あとは落とし物の管理をしたり……」
俺がそう答えると、アルクは不思議そうな顔をしている。
「犯罪者を捕まえるんじゃないのか?」
「まぁ、そういうこともあるけれど、俺は地域の安全を守ることが担当なんだ」
「へぇ、そうなんだ……」
アルクはあまり納得していない様子だ。異世界から来た人間にとっては想像しにくいのかもしれない。
彼は魔法で魔獣と派手に戦っていたし、同じように、俺も悪人と戦っていると思ったのだろう。
「人々が安全に暮らせることが、世界平和に繋がると俺は思っているよ」
「なるほど。それが君の考え方なのか」
「ああ。だから俺は警察官になったんだ。誰かを守れるような強い人になりたいからな」
「素晴らしい考えだね」
アルクはそう言って微笑む。やはり彼の笑顔を見ると、少しドキッとするな……。
「ありがとう。でも、君も自分の世界のために頑張っているんだろう?立派じゃないか」
世界を守るために異世界へやって来るなんて、かなりの正義感がなければできないことだろう。
「そうかな。そう言ってもらえると嬉しいよ」
照れくさそうに笑うアルクを見て、俺もつられて笑う。
「お互い頑張ろうぜ!」
すると、アルクは驚いたような表情を見せた。
「どうした?」
「いや、何でもない。そうだね……、頑張ろう」
「おう!」
何だか変なことになってしまったけれど、俺はできることをやるしかない。気持ちを切り替えて、いつも通り仕事に励むことにした。
「おまわりさーん!おっはよー!」
「おう、おはよう!気をつけて学校に行くんだぞ!」
小学生に元気良く挨拶され、俺もそれに応える。その様子を見て、アルクは驚いているようだった。
「へえ、君は随分慕われているんだな」
「そうか?まあ、なるべく明るく接するように心掛けてるからかもしれないな」
ここを通る子供達はみんな素直で良い子ばかりだ。彼らのためにも、安全な街づくりをしていきたいと思っている。
「おはよう」
「あ、おはようございます!」
ベテランの先輩が出勤してきた。彼はとても優しい人で、いつも丁寧に指導してくれる頼もしい先輩だ。
「大庄敷、昨日も遅くまで残業してただろ。疲れてるんじゃないか?」
「いえ、全然平気ですよ。先輩も無理しないでくださいね」
「ああ、ありがとう」
俺は本当に良い人たちに恵まれていると思う。この人達のおかげで、俺は毎日楽しく仕事をすることができているのだ。
アルクは、そんな俺の様子をじっと見つめていた。
***
「ふう……、今日の業務はこれで終わりだな」
書類を整理し終え、脱力して椅子にもたれかかる。業務に没頭しているうちに、あっという間に夜になっていた。
「お疲れ様」
「うお!?」
急に声をかけられて驚いてしまう。そうだった、アルクがいるのを忘れていた。
「集中していたみたいだね」
「ま、まあな……」
ずっと見られていたことに気付き、急に恥ずかしくなる。
そういえば何度かトイレにも行ったけれど、その時はアルクの姿は無かった気がする。完全に透明化もできるのだろうか。きっと見られていたんだろうな……。
「どうかしたかい?」
「い、いや、なんでもない!それよりどうだった?俺に怪しいところはあったか?」
「そうだなぁ……」
アルクは顎に手を当てながら考え込む。今日は真面目に仕事をしていただけだし、何も問題は起こっていないはずだ。
「特に問題はなかったよ。君はしっかりと職務を全うしているようだ」
「そっか、良かった……」
俺はホッと胸を撫で下ろす。
「じゃあ、そろそろ帰ろうと思うんだけど……」
「ああ、帰ろう!」
アルクは嬉しそうに言うと、俺の手を握った。そして、徐々に姿がはっきりと見えるようになる。どうやら魔法を解除しようとしているらしい。
「ちょ、ちょっと待って、まだ早いよ」
「え、どうしてだい?」
「だって、もし誰か来たら大変だろう?こんな所を見られたらまずいし」
俺は慌てて周囲を見回した。幸い誰もいなかったが、突然こんな美形な男がいたら騒ぎになってしまう。
「なるほど、そういうものなのか」
「そうだよ、まだ透明になって待っててくれ……」
「分かったよ」
アルクはまた姿を消してくれた。これで一安心だ……。
俺は急いで着替え、二人で交番を出る。念のため、家に着くまで姿は見えないままでいてもらうことにした。
「えっと……俺の家に来るんだよな?」
「もちろん、そうだよ」
「そうだよな……」
俺の狭い部屋に美男子を招き入れることになるとは。しかも、まだ疑われている身だ。
何か不手際でもあれば、魔法で消されてしまうかもしれない……。慎重に行動しなければ。
俺は色々不安になりながらも、アルクと共に自分の家へ向かったのだった。
11
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺
福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。
目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。
でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい…
……あれ…?
…やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ…
前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。
1万2000字前後です。
攻めのキャラがブレるし若干変態です。
無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形)
おまけ完結済み
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
転生エルフの天才エンジニア、静かに暮らしたいのに騎士団長に捕まる〜俺の鉄壁理論は彼の溺愛パッチでバグだらけです〜
たら昆布
BL
転生したらエルフだった社畜エンジニアがのんびり森で暮らす話
騎士団長とのじれったい不器用BL
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる