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番外編
【番外編】共鳴!?三日三晩の愛の試練②
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ついに、儀式に挑む時がやってきた。
重臣たちの厳粛な視線に見守られながら、俺と王子は神聖な洞窟へと足を踏み入れる。これから三日三晩、この場所で愛を誓い続ける――そう思うと、自然と胸がドキドキする。
洞窟の奥は薄暗く、ひんやりとした空気が漂っていた。神聖な儀式の場らしく、壁面には古代の紋様が刻まれ、薄明かりが揺らめいている。俺と王子は、案内された通りに儀式の中央にある台座へと進み、そっと腰を下ろした。意外にも台座は柔らかく、適度に沈み込み、心地よさが伝わってくる。この台座で長時間過ごすことを考えると、その快適さにわずかだが安心感が生まれた。
「ここでしばらく過ごすんだね……」
王子が周囲を見渡しながら、少し緊張したように呟く。その声が広がり、ひんやりとした洞窟内に響くのを聞いて、俺も自然と息を飲んだ。
「……三日三晩、ここで愛を誓い続けるなんて、なんだか現実味がないですね」
照れ隠しのつもりで笑ってみせたが、王子は真剣な表情のまま、そっと俺の手を握った。その温かい手と眼差しが、俺の胸に静かな安らぎを与える。
「ルセル、僕たちの絆が王国の未来を照らしている。だからこそ、僕は君と共にこの儀式を成功させたい」
王子の声は、穏やかでありながらも揺るぎない強さを帯びていて、俺の胸の奥に小さな灯火をともした。静かに目を閉じ、王子への想いを胸の奥で確かめながら、深く息を整える。
すると、洞窟の壁に刻まれた紋様がふわっと淡い光を放ち始めた。その光は柔らかく俺たちを包み込み、洞窟全体が神秘的な輝きに満たされる。
「……アルティス、この光……」
「うん……なんだか妙に暖かいね」
柔らかい光に包まれると同時に、ほんのりと心が和む感覚が広がる。俺は自然と王子のほうに身を寄せた。その瞬間、胸の奥から不思議な熱が沸き上がるのを感じる。普段抱いている王子への気持ちが、そのまま何か力に変わり、体の内側から溢れ出していくような感覚だ。
「これが……儀式の力?」
王子も驚いた表情で俺を見つめている。俺たちの間に特別な波動が生まれ、それが洞窟全体に広がっていくような――そんな感覚だった。心と心が直接繋がっていくようで、言葉では表せないほどの温かさと安心感に包まれていく。
だが、直後。
「……うっ……」
急に顔が熱くなり、思わず視線を王子から外したくなるほどの恥ずかしさがこみ上げてきた。ただ穏やかに見つめ合っていただけなのに、胸の鼓動が激しく響き、洞窟内の静寂を破るかのように大きく感じる。
「ルセル、これは……」
王子も俺と同じように呼吸が乱れている様子で、額に手を当てながら、少し苦しげに口を開いた。
「この光が何か……僕たちの心を引き出しているようだね……君への想いが、直接伝わるような……」
その言葉を聞いて、俺の胸はさらに高鳴る。王子の手がそっと俺の肩に触れると、互いの存在をより近く感じて、熱が全身を巡るようだった。
「これが……愛の力、なんでしょうか……?」
俺は絞り出すように言葉を紡ぐ。すると、洞窟を照らす光が一層強くなり、壁に刻まれた古代の紋様が鮮やかに輝きを増した。
「どうやら、これからが本番みたいだね……ルセル、一緒に乗り越えよう」
王子の声は震えつつも、確かな決意を帯びていた。その瞳に映る不安と勇気を感じながら、俺も頷く。
互いの視線が交わり、自然と微笑みがこぼれた。胸の奥から湧き上がる信頼が、二人を繋いでいるのを感じる。
そのうちに、洞窟全体が眩い光に包まれ、空間の温度がさらに上がったようだった。まるで、この場所そのものが俺たちの心に呼応しているかのように。
今まさに、儀式の本当の試練が幕を開けようとしていた――。
重臣たちの厳粛な視線に見守られながら、俺と王子は神聖な洞窟へと足を踏み入れる。これから三日三晩、この場所で愛を誓い続ける――そう思うと、自然と胸がドキドキする。
洞窟の奥は薄暗く、ひんやりとした空気が漂っていた。神聖な儀式の場らしく、壁面には古代の紋様が刻まれ、薄明かりが揺らめいている。俺と王子は、案内された通りに儀式の中央にある台座へと進み、そっと腰を下ろした。意外にも台座は柔らかく、適度に沈み込み、心地よさが伝わってくる。この台座で長時間過ごすことを考えると、その快適さにわずかだが安心感が生まれた。
「ここでしばらく過ごすんだね……」
王子が周囲を見渡しながら、少し緊張したように呟く。その声が広がり、ひんやりとした洞窟内に響くのを聞いて、俺も自然と息を飲んだ。
「……三日三晩、ここで愛を誓い続けるなんて、なんだか現実味がないですね」
照れ隠しのつもりで笑ってみせたが、王子は真剣な表情のまま、そっと俺の手を握った。その温かい手と眼差しが、俺の胸に静かな安らぎを与える。
「ルセル、僕たちの絆が王国の未来を照らしている。だからこそ、僕は君と共にこの儀式を成功させたい」
王子の声は、穏やかでありながらも揺るぎない強さを帯びていて、俺の胸の奥に小さな灯火をともした。静かに目を閉じ、王子への想いを胸の奥で確かめながら、深く息を整える。
すると、洞窟の壁に刻まれた紋様がふわっと淡い光を放ち始めた。その光は柔らかく俺たちを包み込み、洞窟全体が神秘的な輝きに満たされる。
「……アルティス、この光……」
「うん……なんだか妙に暖かいね」
柔らかい光に包まれると同時に、ほんのりと心が和む感覚が広がる。俺は自然と王子のほうに身を寄せた。その瞬間、胸の奥から不思議な熱が沸き上がるのを感じる。普段抱いている王子への気持ちが、そのまま何か力に変わり、体の内側から溢れ出していくような感覚だ。
「これが……儀式の力?」
王子も驚いた表情で俺を見つめている。俺たちの間に特別な波動が生まれ、それが洞窟全体に広がっていくような――そんな感覚だった。心と心が直接繋がっていくようで、言葉では表せないほどの温かさと安心感に包まれていく。
だが、直後。
「……うっ……」
急に顔が熱くなり、思わず視線を王子から外したくなるほどの恥ずかしさがこみ上げてきた。ただ穏やかに見つめ合っていただけなのに、胸の鼓動が激しく響き、洞窟内の静寂を破るかのように大きく感じる。
「ルセル、これは……」
王子も俺と同じように呼吸が乱れている様子で、額に手を当てながら、少し苦しげに口を開いた。
「この光が何か……僕たちの心を引き出しているようだね……君への想いが、直接伝わるような……」
その言葉を聞いて、俺の胸はさらに高鳴る。王子の手がそっと俺の肩に触れると、互いの存在をより近く感じて、熱が全身を巡るようだった。
「これが……愛の力、なんでしょうか……?」
俺は絞り出すように言葉を紡ぐ。すると、洞窟を照らす光が一層強くなり、壁に刻まれた古代の紋様が鮮やかに輝きを増した。
「どうやら、これからが本番みたいだね……ルセル、一緒に乗り越えよう」
王子の声は震えつつも、確かな決意を帯びていた。その瞳に映る不安と勇気を感じながら、俺も頷く。
互いの視線が交わり、自然と微笑みがこぼれた。胸の奥から湧き上がる信頼が、二人を繋いでいるのを感じる。
そのうちに、洞窟全体が眩い光に包まれ、空間の温度がさらに上がったようだった。まるで、この場所そのものが俺たちの心に呼応しているかのように。
今まさに、儀式の本当の試練が幕を開けようとしていた――。
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