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【16】覚悟!?国王との作戦会議
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翌朝、早くに目を覚ました俺は、王子がまだ眠っているのを確認し、静かにベッドを抜け出した。彼に知らせずに行動するのは心苦しかったが、知られたら絶対に止められてしまう。だから、俺は一人で行動することに決めたのだ。
昨夜のことを思い出すと、頬が熱くなる。王子と何度も何度もたくさんキスをしてしまった。しかも、あんなに激しく濃厚な……。思い出すだけで体がゾクゾクとしてしまう。
――いけない、今はそんなことを考えてる場合じゃない。俺は自分の手のひらを見つめ、ぎゅっと握りしめた。
たくさんのキスを交わしたおかげで、魔力が高まっているのを感じる。これならきっと、万が一のことがあっても聖女としての力を発揮できるだろう。
俺はそっと部屋を抜け出し、王宮の奥にある国王の執務室に向かった。扉の前で深呼吸を一つし、ノックする。
「入れ」
国王の声が聞こえ、扉を開けて中に入った。朝早い時間にもかかわらず、国王はすでにデスクの前で書類を整理していた。その姿を見ると、彼が日々どれだけの努力を重ねているかがひしひしと伝わり、心から尊敬の念が湧いてくる。俺の姿を見た国王は、顔を上げ、穏やかな瞳でこちらを見つめた。
「ルセルか。こんな朝早くにどうした?」
俺は一歩前に進み、国王の前で頭を下げる。
「陛下、どうか俺に囮の役をやらせてください」
すると、国王は少し微笑んだように見えた。
「ふむ、やはりな。君の決意が揺るぎないことは分かっていたよ。昨日話をした時から、君がこの選択をするだろうと思っていた」
驚きとともに、俺は一瞬言葉を失ったが、すぐに気を取り直した。
「はい、王子をこれ以上危険にさらすわけにはいきません。どうか、この作戦を実行させてください」
国王はしばらくの間、俺をじっと見つめていた。その視線は鋭く、俺の覚悟を見極めようとしているように感じる。
「君の覚悟は立派だ。しかし、これは非常に危険な作戦だ。君が囮になることで、アルティスがどれだけ心を痛めるか……それを考えているのか?」
「……はい、考えています。でも、王子を守るためにはこれしか方法がないんです」
国王は一息つき、机に手を置いて立ち上がった。
「分かった。君の覚悟を認めよう。魔力も昨日よりずっと高まっているね」
その言葉に、俺は目を見開いた。顔が一気に真っ赤になり、言葉が出てこない。まさか、魔力が高まっていることが他人にも分かってしまうなんて。――つまり、王子とたくさんキスをしたことが国王にバレているということになる。そう思うと、恥ずかしさでどうにかなりそうだった。
「え、えっと……」
「心配しないでいい。君たちが一緒に過ごすことは必要なことだ。聖女の力をうまく使うために、君たちの絆は重要だからね」
国王の言葉に、俺はますます頬が熱くなり、顔を手で覆う。
ダメだ、今はそんなこと考えてる場合じゃない。俺は深呼吸をして気持ちを落ち着けると、改めて口を開いた。
「……はい」
なんとかそれだけ答えることができたものの、声が震えてしまう。恥ずかしさで死にそうだ……。
国王は微笑んでうなずき、俺の肩に手を置く。
「君の決意に感謝しているよ。さあ、それでは作戦を話し合おう」
国王と作戦を練り、細かい手順を確認した。襲撃者をおびき出すための準備はすでに整いつつあったことを知る。王宮の兵士たちは、この間の襲撃後、綿密な調査と対策を進めていたのだ。
前回刺客が入り込んできたルートも判明しているため、警備をあえて手薄にし、そこから侵入してくるように敵を誘導する作戦を立てる。
「ルセル、君の魔力が高まっていることも大きな武器となる。作戦を成功させよう」
その言葉に、俺は深く息を吸い込み、うなずいた。
「はい、ありがとうございます、陛下。全力を尽くします」
作戦の詳細が決まり、俺は再び頭を下げて執務室を出た。廊下を戻りながら、心の中で決意を固める。
このことを王子が知ったら心配するだろう。それを考えると胸が締め付けられるような気持ちになるが、この選択が正しいと信じている。これが、聖女としての、俺の使命なのだ。
昨夜のことを思い出すと、頬が熱くなる。王子と何度も何度もたくさんキスをしてしまった。しかも、あんなに激しく濃厚な……。思い出すだけで体がゾクゾクとしてしまう。
――いけない、今はそんなことを考えてる場合じゃない。俺は自分の手のひらを見つめ、ぎゅっと握りしめた。
たくさんのキスを交わしたおかげで、魔力が高まっているのを感じる。これならきっと、万が一のことがあっても聖女としての力を発揮できるだろう。
俺はそっと部屋を抜け出し、王宮の奥にある国王の執務室に向かった。扉の前で深呼吸を一つし、ノックする。
「入れ」
国王の声が聞こえ、扉を開けて中に入った。朝早い時間にもかかわらず、国王はすでにデスクの前で書類を整理していた。その姿を見ると、彼が日々どれだけの努力を重ねているかがひしひしと伝わり、心から尊敬の念が湧いてくる。俺の姿を見た国王は、顔を上げ、穏やかな瞳でこちらを見つめた。
「ルセルか。こんな朝早くにどうした?」
俺は一歩前に進み、国王の前で頭を下げる。
「陛下、どうか俺に囮の役をやらせてください」
すると、国王は少し微笑んだように見えた。
「ふむ、やはりな。君の決意が揺るぎないことは分かっていたよ。昨日話をした時から、君がこの選択をするだろうと思っていた」
驚きとともに、俺は一瞬言葉を失ったが、すぐに気を取り直した。
「はい、王子をこれ以上危険にさらすわけにはいきません。どうか、この作戦を実行させてください」
国王はしばらくの間、俺をじっと見つめていた。その視線は鋭く、俺の覚悟を見極めようとしているように感じる。
「君の覚悟は立派だ。しかし、これは非常に危険な作戦だ。君が囮になることで、アルティスがどれだけ心を痛めるか……それを考えているのか?」
「……はい、考えています。でも、王子を守るためにはこれしか方法がないんです」
国王は一息つき、机に手を置いて立ち上がった。
「分かった。君の覚悟を認めよう。魔力も昨日よりずっと高まっているね」
その言葉に、俺は目を見開いた。顔が一気に真っ赤になり、言葉が出てこない。まさか、魔力が高まっていることが他人にも分かってしまうなんて。――つまり、王子とたくさんキスをしたことが国王にバレているということになる。そう思うと、恥ずかしさでどうにかなりそうだった。
「え、えっと……」
「心配しないでいい。君たちが一緒に過ごすことは必要なことだ。聖女の力をうまく使うために、君たちの絆は重要だからね」
国王の言葉に、俺はますます頬が熱くなり、顔を手で覆う。
ダメだ、今はそんなこと考えてる場合じゃない。俺は深呼吸をして気持ちを落ち着けると、改めて口を開いた。
「……はい」
なんとかそれだけ答えることができたものの、声が震えてしまう。恥ずかしさで死にそうだ……。
国王は微笑んでうなずき、俺の肩に手を置く。
「君の決意に感謝しているよ。さあ、それでは作戦を話し合おう」
国王と作戦を練り、細かい手順を確認した。襲撃者をおびき出すための準備はすでに整いつつあったことを知る。王宮の兵士たちは、この間の襲撃後、綿密な調査と対策を進めていたのだ。
前回刺客が入り込んできたルートも判明しているため、警備をあえて手薄にし、そこから侵入してくるように敵を誘導する作戦を立てる。
「ルセル、君の魔力が高まっていることも大きな武器となる。作戦を成功させよう」
その言葉に、俺は深く息を吸い込み、うなずいた。
「はい、ありがとうございます、陛下。全力を尽くします」
作戦の詳細が決まり、俺は再び頭を下げて執務室を出た。廊下を戻りながら、心の中で決意を固める。
このことを王子が知ったら心配するだろう。それを考えると胸が締め付けられるような気持ちになるが、この選択が正しいと信じている。これが、聖女としての、俺の使命なのだ。
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