俺が聖女なわけがない!

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【15】濃厚!?溶け合う二人の魔力

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その夜、俺たちはいつものように王子の部屋のベッドに一緒に横になっていた。
「王子……」
俺は王子の服の裾をぎゅっと掴みながら、彼の目を見つめる。王子は少し驚いたような表情をしたが、すぐに柔らかな表情に戻った。
「ルセル……どうしたの?」
王子の声はとても優しい。その声を聞いていると安心すると同時に、胸が高鳴っていく。
「あの……」
意を決して口を開き、そのまま言葉を絞り出した。
「その……少しでも魔力を高めておきたくて……キスをして欲しいんです」
そう言うと、王子の目が驚きに見開かれる。そして、すぐに真剣な表情になり、俺の顔をじっと見つめた。まるで、俺の考えを見透かしているように。俺が囮になる決意をしていることまで感じ取られているようで、心が揺らぐ。
しかし、王子はその後すぐにいつものようなふわっとした笑みを浮かべ、俺の手を取って優しく引き寄せた。
「ルセル、君が望むなら」
王子の顔が近づくにつれて、心臓が早鐘を打つ。唇が触れ合うと、温かい魔力が流れ込むのを感じた。
「んっ……」
王子の唇は柔らかく、温かい。その感触に身を委ねながら、俺は自分の魔力を高めることだけを考えた。キスをするたびに、魔力が互いに溶け合い、高められていくのを感じる。
「ルセル……」
王子が俺の名前を呼ぶたびに、胸が締め付けられるようだった。彼の優しさがじんわりと染み渡り、次第に不安も和らいでいく。
「んぅ……」
さらに深いキスに変わり、彼の舌がそっと俺の口内に侵入してきた。甘い味が口の中に広がる。王子の舌が俺の舌に絡みつき、唾液を交換し合うような激しい口づけを交わしていくうちに、頭がぼうっとしてくるような感覚に襲われていた。まるで媚薬を飲まされたかのように全身が火照ってくる。もしかすると、魔力にはそんな効果もあるのだろうか。
「んっ……ふっ……」
気づけば俺の腕は王子の首に回り、さらに深いキスを求めてしまっていた。お互いの唇を貪るように、何度も角度を変えては重ね合う。その快感に包まれ、頭の中が真っ白になっていった。

やがて息苦しくなって唇を離すと、二人の間に銀色の糸が伸びていた。
「ルセル……もっと君を感じたい……」
王子は耳元で囁くように言い、俺の首筋に舌を這わせた。その感触に背筋がゾクッとし、思わず息を呑む。
もっとして欲しいという気持ちが高まり、俺は無意識のうちに自分から舌を伸ばしていた。それに気づいた王子がクスッと笑い、再び唇を重ねてくる。
「んっ……!」
今度のキスはさらに激しく、俺の口内を舐め尽くすかのようなものだった。舌が絡み合い、互いの唾液を交換する度に、また頭がぼうっとしてくる。体が火照り、理性が溶け出していくような気がした。
「はぁ……っ」
王子は息継ぎのように一度唇を離し、そして再び奥深くまで侵入してくる。舌を絡ませ合い唾液を交換し合ううちにどんどん興奮が高まっていくのを感じた。お互いの体温が混ざり合うほど密着し、激しく求め合う。
「ん……ふぅ……」
長いキスが終わる頃、再び銀色の糸がかかったのが見えた。それがとても卑猥で、思わず目を奪われる。
「ルセル、ごめんね……君の魔力はすごく気持ち良くて……」
王子は切なそうな表情を浮かべていた。俺を見つめる眼差しから、熱がこもっていることが伝わってきて、それがとても嬉しく思える。
「俺も……同じ気持ちです」
思わず王子を抱きしめると、彼も強く抱き返してくれた。互いの体温を感じながら、俺たちはその後も何度も唇を重ね、言葉にできない想いを伝え合った。
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