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13☆にわか雨
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しかし、その後にまた新たな炎上が起きてしまう。
十夜と僕が付き合っているというのは嘘ではないかと、噂が流れ始めたのだ。
女優と噂が立ったことで、やっぱり十夜は女性の方が好きなのでは……という流れになったらしい。
「なんだよこれ……ひどいな……」
壮太がSNSを見ながら呟いていた。
「はぁ!?BL営業!?」
翔もスマホを見ながらキレている。
売れるために付き合っているフリをしているとか、彼女がいることをカモフラージュしているだけとか、様々な憶測が飛び交っていた。
「なあ、十夜はどう思ってるんだよ?」
翔の問い詰めるような口調に、十夜は困った顔をしている。
「どうって言われても……」
「お前と光輝のことだろ?言いたいこととか、何かないのか?」
「別にないよ。……こういう風に言われたって、仕方ないことだろ」
その十夜の言葉に、僕は冷水を浴びせられたような気持ちになった。
(そうか……そうだよな……)
確かにそうだ。別に十夜は僕のことを好きなわけじゃない。僕がうっかり言ってしまったことに合わせてくれていただけだ。世間の噂は的を射ている。付き合っているフリをしていると言われて、当然なのだ。
(やっぱり僕、馬鹿みたい……)
「光輝、大丈夫か?」
呆然としている僕に壮太が気付いて、心配そうに声をかけてくれる。
「う、うん、平気……」
笑って答えようとした瞬間、涙がポロリと零れ落ちた。
「えっ……光輝、どうした!?」
壮太が慌てている声が聞こえる。
「うわっ!ごめん!そうだよな、デリカシーがなかったな、悪い!」
翔も焦っているようで、オロオロとしている。
「ち、違う!ごめん、なんか分からないけど涙が出てきただけで……」
(ああ、本当にダメだ……)
これ以上ここにいたら、もっと泣いてしまうかもしれない。
「ちょっと出てくる……!」
それだけ言って、逃げるように飛び出した。
一瞬目に入った十夜は、驚いたような顔でこちらを見ていたが、すぐに目を逸らす。
その態度に、さらに胸が苦しくなった。
外はにわか雨が降っていて、まるで今の自分の心を表しているようだった。
「はぁ……」
大きな溜息が出る。
(何やってるんだろう……)
雨の音を聞きながら、ぼんやりと考える。
このままではいけないと思うのだが、どうしたらいいのかわからない。
そもそも、僕はどうしたいのだろうか……。
そんなことを考えていると、ポンッと肩を叩かれる。十夜かと思って焦って振り返ると、そこにはマネージャーが立っていた。
(アイツが追いかけてくるわけないか……)
そう思うと、また大きな溜息が出てしまう。
「光輝くん、今日はもう帰って休んでください」
「あ……はい、すみません」
そのまま事務所の人に送ってもらい、家に帰った。
「あら、こんにちは~」
マンションの部屋の前で、中年の女性に声をかけられる。
お隣に住んでいる夫婦の奥さんだ。上品な雰囲気で、旦那さんは大きな会社の役員らしい。
「あ……こんにちは」
「今日は彼氏さんは一緒じゃないのね」
「はい、彼は仕事で……」
僕達は有名になってきたので、アイドルに興味なさそうな人達にも、事情を知られている。お隣さんには特に説明していなかったけど、僕達が恋人同士だと分かっているのだ。
「こんな広い家だと、一人の時寂しいわよねぇ」
「ああ、確かに……」
十夜と二人でいる時は全く気にならないのに、一人になるとこの広さが気になって、急激に寂しくなる。
「それにしても、このマンション広くて住み心地も良くていいわよねぇ。頑張って契約してくれた旦那に、感謝しないと……」
「そうですね……僕も……彼に感謝しています……」
十夜のことを思い浮かべながら、ポツリと答えた。
「あら、彼氏さんが契約してくれたのね。愛されているわねぇ」
「そんな……こと……っ……」
奥さんの言葉を聞いて、十夜と過ごした日々を思い出してしまう。涙が出そうになって、慌てて俯いた。
しかし、次の奥さんの言葉に、僕は心臓が止まりそうになる。
「だって、このマンション、一年前から予約でいっぱいだったんですもの」
「……え?」
十夜と僕が付き合っているというのは嘘ではないかと、噂が流れ始めたのだ。
女優と噂が立ったことで、やっぱり十夜は女性の方が好きなのでは……という流れになったらしい。
「なんだよこれ……ひどいな……」
壮太がSNSを見ながら呟いていた。
「はぁ!?BL営業!?」
翔もスマホを見ながらキレている。
売れるために付き合っているフリをしているとか、彼女がいることをカモフラージュしているだけとか、様々な憶測が飛び交っていた。
「なあ、十夜はどう思ってるんだよ?」
翔の問い詰めるような口調に、十夜は困った顔をしている。
「どうって言われても……」
「お前と光輝のことだろ?言いたいこととか、何かないのか?」
「別にないよ。……こういう風に言われたって、仕方ないことだろ」
その十夜の言葉に、僕は冷水を浴びせられたような気持ちになった。
(そうか……そうだよな……)
確かにそうだ。別に十夜は僕のことを好きなわけじゃない。僕がうっかり言ってしまったことに合わせてくれていただけだ。世間の噂は的を射ている。付き合っているフリをしていると言われて、当然なのだ。
(やっぱり僕、馬鹿みたい……)
「光輝、大丈夫か?」
呆然としている僕に壮太が気付いて、心配そうに声をかけてくれる。
「う、うん、平気……」
笑って答えようとした瞬間、涙がポロリと零れ落ちた。
「えっ……光輝、どうした!?」
壮太が慌てている声が聞こえる。
「うわっ!ごめん!そうだよな、デリカシーがなかったな、悪い!」
翔も焦っているようで、オロオロとしている。
「ち、違う!ごめん、なんか分からないけど涙が出てきただけで……」
(ああ、本当にダメだ……)
これ以上ここにいたら、もっと泣いてしまうかもしれない。
「ちょっと出てくる……!」
それだけ言って、逃げるように飛び出した。
一瞬目に入った十夜は、驚いたような顔でこちらを見ていたが、すぐに目を逸らす。
その態度に、さらに胸が苦しくなった。
外はにわか雨が降っていて、まるで今の自分の心を表しているようだった。
「はぁ……」
大きな溜息が出る。
(何やってるんだろう……)
雨の音を聞きながら、ぼんやりと考える。
このままではいけないと思うのだが、どうしたらいいのかわからない。
そもそも、僕はどうしたいのだろうか……。
そんなことを考えていると、ポンッと肩を叩かれる。十夜かと思って焦って振り返ると、そこにはマネージャーが立っていた。
(アイツが追いかけてくるわけないか……)
そう思うと、また大きな溜息が出てしまう。
「光輝くん、今日はもう帰って休んでください」
「あ……はい、すみません」
そのまま事務所の人に送ってもらい、家に帰った。
「あら、こんにちは~」
マンションの部屋の前で、中年の女性に声をかけられる。
お隣に住んでいる夫婦の奥さんだ。上品な雰囲気で、旦那さんは大きな会社の役員らしい。
「あ……こんにちは」
「今日は彼氏さんは一緒じゃないのね」
「はい、彼は仕事で……」
僕達は有名になってきたので、アイドルに興味なさそうな人達にも、事情を知られている。お隣さんには特に説明していなかったけど、僕達が恋人同士だと分かっているのだ。
「こんな広い家だと、一人の時寂しいわよねぇ」
「ああ、確かに……」
十夜と二人でいる時は全く気にならないのに、一人になるとこの広さが気になって、急激に寂しくなる。
「それにしても、このマンション広くて住み心地も良くていいわよねぇ。頑張って契約してくれた旦那に、感謝しないと……」
「そうですね……僕も……彼に感謝しています……」
十夜のことを思い浮かべながら、ポツリと答えた。
「あら、彼氏さんが契約してくれたのね。愛されているわねぇ」
「そんな……こと……っ……」
奥さんの言葉を聞いて、十夜と過ごした日々を思い出してしまう。涙が出そうになって、慌てて俯いた。
しかし、次の奥さんの言葉に、僕は心臓が止まりそうになる。
「だって、このマンション、一年前から予約でいっぱいだったんですもの」
「……え?」
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