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04☆生放送事故
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「どうしてこんなことになってるんだろう……」
「いや、それ、こっちのセリフだからな!」
楽屋でぼんやりと呟くと、翔と壮太から声を揃えてツッコミを入れられた。いつもクールな蓮までもが、呆れきった顔をしている。
先日、僕達は正式に付き合っていることを発表し、記者会見を行った。
世間の反応は様々だったが、概ね好意的に受け止められた。特に、僕のファンからの受けが良く、十夜となら許せるという声が多く聞かれた。十夜の人気の高さ故のことだろう。
逆に十夜ファンからは妬まれてしまうのではないかと心配していたが、なぜか「やっぱりね」「予想通り」などのコメントが多かった。寛容なファンが多くて助かった……。
今日は記者会見後、初のテレビ出演だ。生放送だから、とても緊張する。
歌番組だがトークコーナーもあるので、間違いなく僕達の関係について質問されるだろう。慎重に発言しなければいけない。
「まあ、とりあえずはいつも通りにやっていこう」
翔の言葉で、気持ちを切り替えることができた。悩んでいても仕方がない。
そして、とうとう本番が始まった。
「本日のゲストは『Colorful Stars』の五人です!」
「こんにちは!『Colorful Stars』です!」
元気よく挨拶をして、今回の新譜についての説明を始める。新曲の説明が終わると、早速司会者から、僕らの関係についての質問が来た。
「お二人はお付き合いされていると発表がありましたが、本当なんですか?」
「はい!本当です。真剣交際しています」
十夜が堂々と答えて、会場がざわついた。今日はファンも観客席にいるのだ。僕は心臓がバクバクしている。ファンの前でこんなことを言って大丈夫だろうか。
「元々幼馴染だそうですが、付き合ったきっかけは何だったんですか?」
「きっかけは……そうですね……ちょっとケンカした時に、勢いで、ですかね」
十夜が苦笑いしながら言った。何だその設定、と思ったが、確かにケンカした勢いで付き合い始めたといえばそうかもしれない……。
すると、またもや観客席がざわつき始めた。
見ると、突然鼻血を出して倒れた女の子がスタッフに運ばれている。運ばれながら近くを通った時に「薄い本が厚くなるぅ……」と呟いているのが聞こえた。意味は分からないが、とりあえず心配だ……。
その後は他のメンバーにも話が振られていき、順調にインタビューをこなしていった。
最後に新曲を披露する。生放送なのでいつもより緊張するが、ミスもなく終わってホッとした。
「ありがとうございました!これからも応援よろしくお願いします!」
歌い終わり、五人で頭を下げてから、カメラに向かって微笑む。
よし、無事に終わったぞ、と思ったその時。
「わぁっ!?」
十夜に突然腕を掴まれ引き寄せられた――と思った次の瞬間、そのまま唇を奪われた。
「んっ!?んんーっ!!」
慌てて離れようとするけど、十夜の力が強くてビクともしない。
しかも、角度を変えて何度も口づけてくるものだから、段々頭がボーッとしてきて、抵抗する気も失せてしまう。
「ん……んむ……ふぅ……」
ようやく解放された時には、僕は腰砕けになっていた。
「コラー!公開イチャイチャ禁止ぃ!」
「これは放送事故だろ……」
「十夜、やるじゃん」
翔、壮太、蓮、メンバー三人それぞれの声と、観客席の悲鳴のような歓声を聞いて我に返る。
「な、ななな、何するんだよ!?」
動揺しまくりの僕とは対照的に、十夜は何食わぬ顔で答えた。
「こういう関係だってことを印象付けないとダメだろ?」
「だからって……いきなり……こんな……」
恥ずかしくて顔が熱い。きっと真っ赤になっているはずだ。
こうして、僕らの公開熱愛生放送事故が幕を閉じたのであった。何を言っているのか自分でも良く分からないぜ!
さらにこの後、視聴者が同時に大量に気絶したことでニュースになってしまうのだが、この時の僕は知る由もなかった。
「いや、それ、こっちのセリフだからな!」
楽屋でぼんやりと呟くと、翔と壮太から声を揃えてツッコミを入れられた。いつもクールな蓮までもが、呆れきった顔をしている。
先日、僕達は正式に付き合っていることを発表し、記者会見を行った。
世間の反応は様々だったが、概ね好意的に受け止められた。特に、僕のファンからの受けが良く、十夜となら許せるという声が多く聞かれた。十夜の人気の高さ故のことだろう。
逆に十夜ファンからは妬まれてしまうのではないかと心配していたが、なぜか「やっぱりね」「予想通り」などのコメントが多かった。寛容なファンが多くて助かった……。
今日は記者会見後、初のテレビ出演だ。生放送だから、とても緊張する。
歌番組だがトークコーナーもあるので、間違いなく僕達の関係について質問されるだろう。慎重に発言しなければいけない。
「まあ、とりあえずはいつも通りにやっていこう」
翔の言葉で、気持ちを切り替えることができた。悩んでいても仕方がない。
そして、とうとう本番が始まった。
「本日のゲストは『Colorful Stars』の五人です!」
「こんにちは!『Colorful Stars』です!」
元気よく挨拶をして、今回の新譜についての説明を始める。新曲の説明が終わると、早速司会者から、僕らの関係についての質問が来た。
「お二人はお付き合いされていると発表がありましたが、本当なんですか?」
「はい!本当です。真剣交際しています」
十夜が堂々と答えて、会場がざわついた。今日はファンも観客席にいるのだ。僕は心臓がバクバクしている。ファンの前でこんなことを言って大丈夫だろうか。
「元々幼馴染だそうですが、付き合ったきっかけは何だったんですか?」
「きっかけは……そうですね……ちょっとケンカした時に、勢いで、ですかね」
十夜が苦笑いしながら言った。何だその設定、と思ったが、確かにケンカした勢いで付き合い始めたといえばそうかもしれない……。
すると、またもや観客席がざわつき始めた。
見ると、突然鼻血を出して倒れた女の子がスタッフに運ばれている。運ばれながら近くを通った時に「薄い本が厚くなるぅ……」と呟いているのが聞こえた。意味は分からないが、とりあえず心配だ……。
その後は他のメンバーにも話が振られていき、順調にインタビューをこなしていった。
最後に新曲を披露する。生放送なのでいつもより緊張するが、ミスもなく終わってホッとした。
「ありがとうございました!これからも応援よろしくお願いします!」
歌い終わり、五人で頭を下げてから、カメラに向かって微笑む。
よし、無事に終わったぞ、と思ったその時。
「わぁっ!?」
十夜に突然腕を掴まれ引き寄せられた――と思った次の瞬間、そのまま唇を奪われた。
「んっ!?んんーっ!!」
慌てて離れようとするけど、十夜の力が強くてビクともしない。
しかも、角度を変えて何度も口づけてくるものだから、段々頭がボーッとしてきて、抵抗する気も失せてしまう。
「ん……んむ……ふぅ……」
ようやく解放された時には、僕は腰砕けになっていた。
「コラー!公開イチャイチャ禁止ぃ!」
「これは放送事故だろ……」
「十夜、やるじゃん」
翔、壮太、蓮、メンバー三人それぞれの声と、観客席の悲鳴のような歓声を聞いて我に返る。
「な、ななな、何するんだよ!?」
動揺しまくりの僕とは対照的に、十夜は何食わぬ顔で答えた。
「こういう関係だってことを印象付けないとダメだろ?」
「だからって……いきなり……こんな……」
恥ずかしくて顔が熱い。きっと真っ赤になっているはずだ。
こうして、僕らの公開熱愛生放送事故が幕を閉じたのであった。何を言っているのか自分でも良く分からないぜ!
さらにこの後、視聴者が同時に大量に気絶したことでニュースになってしまうのだが、この時の僕は知る由もなかった。
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