ゲームの世界に転移したら美形王子に溺愛されてるんですが!?

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31.勇者パーティにされたんですが!?

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そして、俺達は魔王討伐の旅に出発することになった。

……ええ、なぜかなんです。

「どうしてこうなった……」
「なんだよ~。ミノルは俺と一緒に旅をするのは嫌なのか?」
ソウタがふざけた調子で言ってくる。
「別に嫌ってわけじゃないけど……」
「大丈夫だ、ミノル。私が守ってやるぞ」
王子が爽やかに微笑んだ。
くそっ、美形スマイルが眩しすぎて何も言えなくなってしまうじゃないか……!

――こうなった原因は、1時間前に遡る。

「ところで、アルベール王子とミノルはどうして俺を探していたんだ?」
「実は、俺、前に魔王軍にさらわれたことがあって……」
「なんだって!?」
ソウタが驚いた声を上げた。
俺は、ドラゴンにさらわれて閉じ込められていた時のことを説明する。
ソウタと姫はそれを真剣に聞いていた。
「なるほどなぁ。もしかすると、ミノルは魔王軍にとっての重要人物な可能性があるな……」
「えっ、俺が!?」
「まあ、あくまでも可能性の話だけどね」
「うーむ……」
俺がさらわれることでストーリーが大きく変わっていることは事実だ。まぁ、この世界にいないはずの人物がいたらそりゃ影響はあるか……。
俺は王子と幸せに暮らせればそれでいいんだけど……。

「ところで、ミノルは戦えるのか?」
ソウタが質問してくる。
「うーん……。回復専門だから戦闘はあんまりかな……」
「おお!回復魔法が使えるのか!それは心強い!」
「え?心強いって……まさか……」
「もちろん、一緒に来てくれるよな?」
「やっぱり、そういうことか……」
すると、王子が話に入ってきた。
「ミノルが行くなら私も一緒に行こう」
「え!?アルベール王子も一緒に!?」
ソウタが驚いている。
「当たり前だろう。ミノルは私の大切な恋人なのだから」
「でも、王族に一緒に来てもらうわけには……」
「私が守りたいのはミノルだけだ。それに、ミノルが危険な目に遭うくらいなら、私は国を捨てる覚悟がある」
「いや、それはダメだよ!」
俺は思わずツッコミを入れた。さすがにそこまでされるのは気が引ける。
でも、それほど俺のことを大切に思ってくれていると分かって嬉しかった。
「そうか?だが、ミノルがさらわれた時、私の気持ちは固まったのだ」
「うう……、分かったよ。でも、絶対に無理はしないでね」
「もちろんだ。ミノルがそう言ってくれるだけで嬉しい」
王子は幸せそうな顔をしている。
「凄い愛されてるんだねぇ……」
ソウタが羨ましそうな目をしてこちらを見てきた。
「いや、そんなんじゃないって……」
「あはは、照れなくてもいいのに」
「うう……」
俺が居たたまれなくなっていると、姫がすくっと立ち上がる。
「では、私も一緒にお供いたしますわ」
「リュネット姫まで!?いや、危険ですから……」
「大丈夫ですよ。こう見えても武術の腕には自信がありますから。それに、強化魔法も使えます。お役に立てますよ」
え、姫凄くない?見た目からは全然想像できなかった……。
「いえ、そういう問題ではなくてですね……」
「お願い致しますわ!」
「うーん……」
ソウタは悩んでいるようだ。
この世界の王族ってみんなこんな感じなのだろうか……?自由だな……。
「まぁいいか。じゃあよろしく頼みます!」
結局あっさり承諾する。いいんだ……。
「祝!勇者パーティ結成だな!」
こうして、俺達4人で魔王討伐の旅に出ることになったのだった……。

「まずは、王都から西に行ったところにある街に行きましょう」
姫の提案で、とりあえず一番近くの街に向かうことになった。
街に着く頃には夜になってしまいそうだったが、少しでも早く進むために出発したのだ。
移動には馬車を使う。途中に魔物が出る可能性があり危険なため、御者は雇わずに、王子が手綱をとることになった。
「王子様にこんなことをさせるなんて申し訳ありません……」
ソウタが謝っている。俺も本当にそう思う……。
最初は馬で移動しようとしたのだが、なんとソウタは馬に乗ったことがなかったのだ。
姫は馬に乗れるが、さすがに2人乗りは厳しいということで、馬車になったのだった。
「馬車も上手いなんて、王子は本当に何でもできるね……」
「ふふ。惚れ直したかい?」
「何言ってるんだよ、まったく……」
俺が呆れたように言うと、ソウタが感心したような顔で俺達を見ている。
「凄いなぁ、よく飽きないなぁ……」
恥ずかしいので、俺は話題を変えることにした。
「ソウタは馬に乗ったことないって言ってたけど、フラン国まではどうやって来たんだ?」
「途中までは乗り合い馬車に乗って来たんだよ。まだ魔物がいなかったからね」
「へぇ~、なるほど」
「魔物が出るようになってからは徒歩で移動したよ」
「それは大変だったねぇ」
「そんなに強い魔物も出なかったから、平気だったよ」
「まぁ、さすが勇者様ですわ」
姫が感心している。
「いやぁ、それほどでもないですよ」
ソウタは照れて頭を掻いていた。

そして、俺は一番気になっていたことを質問する。
「ところで……ソウタはどこから来たんだい?」
ゲーム通りであれば、レヴェイユ村出身のはずだ。
「えっと……、俺はレヴェイユ村の近くで倒れているところを助けてもらったんだ」
「え?倒れていた……?」
「うん。気が付いたら、村の近くで……」
「え!?」
俺は驚く。なんだか俺が転移した時と似ているのだ。まさか、ソウタも転移者なのか!?
「あー……、その、実は、それまでの記憶が無くて分からなかったんだ。唯一覚えていたのが自分の名前でね……」
「ええ!?」
記憶喪失……。となると、俺とは違うようだ。転移者ではないのかもしれない。
「それって、かなり大変な状況じゃないか?」
「うん、大変だった……。リオンという青年に助けてもらって、何とか生きていくことができたんだけど……」
「え!?」
リオンといえば、ゲームでの勇者の名前だ。本来勇者のはずのリオンはこの世界に存在しているのに、ソウタが勇者となっているということか……?やばい、複雑で、もうよく分からなくなってきたぞ……。
「どうかした?」
「ああ、いや、何でもないよ……。そうか……大変だったね」
今の俺には、そう言うことしかできなかった……。
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