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17.さらわれるのは姫のはずなんですが!?
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「邪魔してすみません……」
声をかけてきた兵士が申し訳なさそうにしている。
「いえ!こちらこそすみません……!」
俺達は慌てて離れた。
「とりあえず、周辺を確認しましょう。まだ強い魔物が潜んでいるかもしれませんし……」
「そうだな」
兵士達とともに周囲を調べる。すると、ブラックベアよりは弱い下級の魔物が何匹か潜んでいた。
王子は剣を振るい、次々と魔物を倒していく。
「凄いなぁ……。流石は王子様だよ……」
俺は感心しながら回復魔法をかける。王子は俺を守りながら戦ってくれていた。
「ミノル、大丈夫か?」
「俺は平気だけど……。王子こそ怪我してない?」
「私は大丈夫だ。ミノルのおかげでな……」
王子は微笑みながら俺を見つめる。
「でも……そうだな、そろそろ少し休憩にしようか」
「そうだね。休んでおこう」
「それでは、私達は向こうで休憩します!」
兵士達は気を遣って、離れたところに移動してくれた。
王子と2人きりになったので、2人で休めそうな場所を探す。ちょうどいい木陰があったので、座った。
俺の隣に座ってきた王子は、俺の肩に頭を乗せる。俺はその頭を優しく撫でた。
「ふぅ……。やっぱり戦いはキツいな……。ミノルがいるから頑張れるけど……」
「無理しないでね……。もし怪我したら俺がすぐに回復するからね」
「ありがとう……。頼りにしている……」
王子はそう言うと、俺の手を握ってくる。俺は握り返すと、そのまま指を絡めて恋人繋ぎにした。
「それにしても、大変なことになっちゃったねぇ……」
「そうだな……。まさか、魔王が現れるなんて……」
王子は深刻そうな表情をしている。
「魔王か……。どんな奴なんだろう……」
「分からないが、きっと恐ろしい存在に違いない……」
王子も不安になっているようだ。
「まあ、悩んでいても仕方ないし……。とにかく今できることをやろう!」
「その通りだな」
俺の言葉に王子は同意し、繋いだ手をギュッと握ってくる。
「こうやって、ずっと王子と手を繋いでいられたらいいのに……」
「そうだな……私も同じ気持ちだ……」
それからしばらく俺達は寄り添いながら、お互いの温もりを感じていた。
「さて、そろそろ行こうか」
「うん!」
俺達が立ち上がろうとした時、突然地面が大きく揺れ始めた。
「うわっ!」
「何だ!?」
突然、地響きのような音が聞こえてきたかと思うと、目の前に巨大な黒い影が現れた。
「グアアァッ!!」
「あれは……、まさか……」
俺は驚いて目を見開く。そこには、かつてゲームで戦ったことのある魔物がいた。
「あいつは……、ブラックドラゴン……?」
「どうしてこんな所にブラックドラゴンがいるんだ!?」
王子は動揺している。確かにおかしい。ゲームでは終盤の魔王城の周辺にしか出現しなかったはずだ。なぜこんなところにいるのだろうか。
「グゥオオオッ!!」
ドラゴンは大きな声で吠えたかと思うと、こちらに向かって急降下してきた。ドラゴンの咆哮により、身動きが取れない。
「う、うわぁー!!」
ドラゴンは俺を鷲掴みにして持ち上げる。そして、そのまま上空へと飛んでいった。
「はっ、離せー!」
俺は必死に抵抗するが、全く歯が立たない。
「ミノル!!ミノルー!!!」
王子の悲痛な声がどんどん遠ざかる。俺は恐怖で体が震えていた。
そのままかなり高所まで上がっていく。
「くっ……。ここまでか……」
俺は諦めて抵抗をやめた。このまま殺されてしまうのだろうか。俺は覚悟を決めて目を閉じる。
だが、いくら待っても攻撃される気配がない。
不思議に思って恐る恐る目を開けると、なぜか空を飛んでいた。
「えっ?どういうことだ……?」
俺は戸惑っていた。どういう状況か理解ができない。
「もしかして、どこかに俺を連れていこうとしているのか?」
俺は疑問を抱きながらも、抵抗せずに身を任せることにした。そして、ブラックドラゴンはどこに向かっているのだろうかと考える。
そういえば、ゲームではお姫様がドラゴンにさらわれていた。そのドラゴンは、たしかブラックドラゴンだったと思い出す。
まさか、俺がお姫様に間違えられたということか?いや、さすがにあり得なさそうだ。だって、俺は男だし……。
でも、王子の恋人だからという理由で狙われた可能性はあるかもしれない。まだお試しの恋人だっていうのに……。
そんなことを考えながらブラックドラゴンに運ばれていたが、急激に眠気が襲ってきた。
疲れが出てしまったのだろうか。もしくは、なにか眠くなる魔法をかけられているのかもしれない。
猛烈な眠気に抗うことができず、俺はいつの間にか眠りに落ちていった。
声をかけてきた兵士が申し訳なさそうにしている。
「いえ!こちらこそすみません……!」
俺達は慌てて離れた。
「とりあえず、周辺を確認しましょう。まだ強い魔物が潜んでいるかもしれませんし……」
「そうだな」
兵士達とともに周囲を調べる。すると、ブラックベアよりは弱い下級の魔物が何匹か潜んでいた。
王子は剣を振るい、次々と魔物を倒していく。
「凄いなぁ……。流石は王子様だよ……」
俺は感心しながら回復魔法をかける。王子は俺を守りながら戦ってくれていた。
「ミノル、大丈夫か?」
「俺は平気だけど……。王子こそ怪我してない?」
「私は大丈夫だ。ミノルのおかげでな……」
王子は微笑みながら俺を見つめる。
「でも……そうだな、そろそろ少し休憩にしようか」
「そうだね。休んでおこう」
「それでは、私達は向こうで休憩します!」
兵士達は気を遣って、離れたところに移動してくれた。
王子と2人きりになったので、2人で休めそうな場所を探す。ちょうどいい木陰があったので、座った。
俺の隣に座ってきた王子は、俺の肩に頭を乗せる。俺はその頭を優しく撫でた。
「ふぅ……。やっぱり戦いはキツいな……。ミノルがいるから頑張れるけど……」
「無理しないでね……。もし怪我したら俺がすぐに回復するからね」
「ありがとう……。頼りにしている……」
王子はそう言うと、俺の手を握ってくる。俺は握り返すと、そのまま指を絡めて恋人繋ぎにした。
「それにしても、大変なことになっちゃったねぇ……」
「そうだな……。まさか、魔王が現れるなんて……」
王子は深刻そうな表情をしている。
「魔王か……。どんな奴なんだろう……」
「分からないが、きっと恐ろしい存在に違いない……」
王子も不安になっているようだ。
「まあ、悩んでいても仕方ないし……。とにかく今できることをやろう!」
「その通りだな」
俺の言葉に王子は同意し、繋いだ手をギュッと握ってくる。
「こうやって、ずっと王子と手を繋いでいられたらいいのに……」
「そうだな……私も同じ気持ちだ……」
それからしばらく俺達は寄り添いながら、お互いの温もりを感じていた。
「さて、そろそろ行こうか」
「うん!」
俺達が立ち上がろうとした時、突然地面が大きく揺れ始めた。
「うわっ!」
「何だ!?」
突然、地響きのような音が聞こえてきたかと思うと、目の前に巨大な黒い影が現れた。
「グアアァッ!!」
「あれは……、まさか……」
俺は驚いて目を見開く。そこには、かつてゲームで戦ったことのある魔物がいた。
「あいつは……、ブラックドラゴン……?」
「どうしてこんな所にブラックドラゴンがいるんだ!?」
王子は動揺している。確かにおかしい。ゲームでは終盤の魔王城の周辺にしか出現しなかったはずだ。なぜこんなところにいるのだろうか。
「グゥオオオッ!!」
ドラゴンは大きな声で吠えたかと思うと、こちらに向かって急降下してきた。ドラゴンの咆哮により、身動きが取れない。
「う、うわぁー!!」
ドラゴンは俺を鷲掴みにして持ち上げる。そして、そのまま上空へと飛んでいった。
「はっ、離せー!」
俺は必死に抵抗するが、全く歯が立たない。
「ミノル!!ミノルー!!!」
王子の悲痛な声がどんどん遠ざかる。俺は恐怖で体が震えていた。
そのままかなり高所まで上がっていく。
「くっ……。ここまでか……」
俺は諦めて抵抗をやめた。このまま殺されてしまうのだろうか。俺は覚悟を決めて目を閉じる。
だが、いくら待っても攻撃される気配がない。
不思議に思って恐る恐る目を開けると、なぜか空を飛んでいた。
「えっ?どういうことだ……?」
俺は戸惑っていた。どういう状況か理解ができない。
「もしかして、どこかに俺を連れていこうとしているのか?」
俺は疑問を抱きながらも、抵抗せずに身を任せることにした。そして、ブラックドラゴンはどこに向かっているのだろうかと考える。
そういえば、ゲームではお姫様がドラゴンにさらわれていた。そのドラゴンは、たしかブラックドラゴンだったと思い出す。
まさか、俺がお姫様に間違えられたということか?いや、さすがにあり得なさそうだ。だって、俺は男だし……。
でも、王子の恋人だからという理由で狙われた可能性はあるかもしれない。まだお試しの恋人だっていうのに……。
そんなことを考えながらブラックドラゴンに運ばれていたが、急激に眠気が襲ってきた。
疲れが出てしまったのだろうか。もしくは、なにか眠くなる魔法をかけられているのかもしれない。
猛烈な眠気に抗うことができず、俺はいつの間にか眠りに落ちていった。
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