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第3章
孤児院での密会
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「まずは・・・君たちに謝らなければいけないことがある。」
私たちが孤児院の中にある使われていない部屋に通されて楽にしたところを見計らって、リィーネさんはそう話を切り出した。
「謝りたいこと・・・ですか?」
「そうだ。」
リィーネさんはそう言うと、非常に言いにくそうな苦々しい表情になり、一瞬口ごもる。
ただ、それは本当に一瞬の事で、すぐに元のキリッとした表情に戻して口を開いた。
「君たちに送ったあの手紙には、重要なことをほとんど書かなかったね。それは、詳細を書いてしまえば、君たちが来ない可能性があると考えて、あえて書かなかったのだ。」
「・・・それは、つまり王族であるディランや貴族のポートたちには頼みにくいこと。そういうことですか?」
「端的に言えばそうなる。」
リィーネさんはヴァンの瞳をまっすぐ見据え、ヴァンもリィーネさんから目をそらさない。まるでお互いの腹の内を探るような、そんな時間がしばし流れた。
「駆け引き無しで要点を言おう。今この国の子供たちがレゼシア王国の貴族連中に狙われている。いや、もう手を出されている。」
リィーネさんの言葉に、ディランは目を細め、レナとルーナは驚きの表情になる。ポートは何かを察していたのかあまり表情は変わらなかった。
「そうか。だから孤児院の周りがこんなにもピリピリしてたんだな。」
ポートは部屋にある唯一の窓からちらりと外を見る。
「やはりわかるか。まだまだ訓練が足りないな。」
「いや。かすかにそんな感じがするってだけで、どこにどれだけいるのかはわからねえけどな。よっぽどの精鋭をつけてるみたいだな。」
ポートは少し表情を緩めてそう言うと、しかし単なる孤児院にこれだけの精鋭をつけられるということに舌を巻く。
「この孤児院は特に街から離れているからな。外から来た連中が狙うには都合がいい。だからこの孤児院に一番腕の立つ者たちを何人かひそませているんだ。」
リィーネさんは正直にそのことを告げる。ポートもその言葉から嘘は感じなかったらしく、むしろ正直に言ってしまっていいのかと心配になるほどだった。
「君たちの事は信用しているからな。国防面での情報漏洩はないと思っているよ。」
「・・・それで。レゼシア王国の貴族が子供の誘拐を引き起こしているという根拠は?」
ヴァンが話を戻すと、リィーネもまた真剣な表情でそれに合わせる。
「捕らえた複数の侵入者から話を聞いた。事が大きいためにある程度の薬品や魔法を行使した尋問だったため、彼ら自身が嘘を言っているわけではないだろう。」
ヴァンはこのリィーネの返答を聞いて、何かに感づいたかのように納得の表情になる。
「なるほど。あなたが何を依頼したいのかはおおよそ理解しました。」
「話が早くて助かるよ。」
ヴァンはそう言うと、しばらく目を伏せて考え込み、1分くらいたつ頃には考えをまとめてしまった。
「条件がいくつかあります。それを飲んでくださるならば、この話の続きを聞きましょう。」
リィーネは無言で話の続きを促すと、ヴァンではなくディランとしてとでもいうかのように、おもむろにメガネと帽子を目の前の机の上に置く。
「まず一つ目。俺がこの件に関わっているということをどうか内密にしていただきたい。」
「それもうしているのでは?」
「再度、この場で。そしてエルフ王の名にかけて誓っていただきたい。これは下手をすれば内政干渉とも反逆行為ともとれるとても危険な内容だ。どちらに傾いてもこちらの被害は計り知れないだろう。」
「・・・わかった。王には私が後で話をつけるとしよう。」
「では次に、私たちにも捕らえた者たちと話をさせてもらいたい。」
「こちらの尋問結果を信用できないと?」
「そうではないが、もしかしたら私たちが気付けることもあるかもしれないからな。」
「ならば明日尋問官に話をつけて侵入者に会えるようにしよう。」
「最後に・・・リィーネはどう動くつもりなんだ?」
「この話がどう転ぶとしても、私は動くつもりでいる。真偽はともかくとして、すぐにでも動かねばならぬ事態であるからな。」
「そうか・・・リィーネ。最後の条件・・・というよりも、これは願いだな。どうか、ライムと友人になってほしい。」
そこでしばしの沈黙。見ればリィーネさんは頭の上にハテナマークが浮かんでいるような表情になっており、先ほどまでの真剣な表情がやや崩れていた。
「それは・・・別に構わないが。いったいどういうことだ?」
「そうだな・・・これは説明するのがなかなか難しい。だから先に条件を飲むかどうかを聞いてから話そうと思う。」
ディランも少し迷うというか困った表情をする。
リィーネさんはそんなディランと私たちを交互に見て少し怪訝は表情になった。
「事情を説明せずに条件を飲めというのは無理があるのではないかな。」
「詳細も書かずによこした手紙に応じて我々は来たんだ。そちらも誠意を見せる必要があるのでは?」
「それはまた違う話だと思うが・・・まあいい。悪かったと思っていることは事実だしな。」
一つため息をついてから少しの間私たちを見つめてきた。それに対して私たちは満面の笑みで迎えると、リィーネさんは少し顔を赤らめて咳払いをしつつ、そっとディランに視線を戻した。
「良いだろう。どんな秘密があるかはわからないが、害意はなさそうだしな。」
「ありがとう。では話を続けてくれませんか?」
条件を飲んだと見てすぐにまたメガネと帽子をつけてヴァンを演じる。
「そうはいっても、もう君の中では見当がついているのだろう?」
「ですが、まだ詳細は窺っておりませんので。」
「そうだな。ではしばらくかかるが、今の現状から話していこうと思う。」
そうして私たちはイレーヌの現状、そして今後の動向についてリィーネさんが知っている限りすべてを聞くことになった。
「・・・やはり、あなた方が私たちに依頼することは・・・。」
「そうだ。これは君たちにとってかなりリスクの大きいことだ。万が一黒幕がレゼシア王国の貴族だった場合、そのつながりによっては君たちはかなり辛い立場に立たされることになるかもしれない。」
「だが、指をくわえてみてりゃルーナとレナの故郷が戦火に包まれるかもしれねえ。」
「それに子供の誘拐はすでに起きている。どちらにしろ見て見ぬふりはできない。」
「たとえ誰であっても容赦しないよ!」
「・・・ライム。お前はどう思う?」
ふぇ!?
ここで私たちに振りますが!?
ええっと?つまりはエルフじゃ潜入できないから代わりにエレアナで調べて親玉を探し出すってことだよね。
ただ、もしその親玉が王国の貴族だった場合ディラン達が今後動きにくくなると・・・なんで?
(たぶんディランのお兄さんたちが関わっている可能性も出てくるからじゃないかな。直接はないかもしれないけど、友好を結んでいた人だった場合、ディランが動きにくくなるように手をまわしてくるかもしれないし、逆に担ぎ上げたいってひとたちならすぐにディランの功績を称えて王に据えるための動きを始めるかもしれない。民衆からの評判もいいディランだったら本当になりかねないし。)
(え?でもそれっていいことなんじゃないの?)
(ディランがずっと冒険者を続けているのは自由なのが好きだからってことだと思うし、そんな勝手気ままに見える王子をよく思わない人もいると思うし、どちらにしてもディランに得はないんじゃないかな。)
(ふむ。だったら私たちからいえることはこれしかないかな?)
(そうだね。これしかない。)
私たちは考え終えるとディランの目を覗き込むようにして見上げ、そしてゆっくりと口を開いた。
「したいほうをえらんで!」
確かにこのまま引き下がればディランは面倒ごとに巻き込まれずに済む。モルフォル領が戦争に巻き込めれるかもしれないけれど、裏で手を回せば市民やモルフォル家は無事に済むかもしれない。
けれど、ディランが一番したいことが、もう心の中で決まっているはずなのだ。なら、私たちはしたい方へ、行きたい方へ支援する。
その意図を汲んでかくれたのかどうかはわからないけれど、ディランは私たちの言葉に一つ頷き、再びリィーネに向き直る。
「俺も身内だからと言って甘やかすつもりはないからな。いや、そもそもそんなものは身内ですらない。リィーネ。この依頼、引き受けさせてもらう。」
私たちが孤児院の中にある使われていない部屋に通されて楽にしたところを見計らって、リィーネさんはそう話を切り出した。
「謝りたいこと・・・ですか?」
「そうだ。」
リィーネさんはそう言うと、非常に言いにくそうな苦々しい表情になり、一瞬口ごもる。
ただ、それは本当に一瞬の事で、すぐに元のキリッとした表情に戻して口を開いた。
「君たちに送ったあの手紙には、重要なことをほとんど書かなかったね。それは、詳細を書いてしまえば、君たちが来ない可能性があると考えて、あえて書かなかったのだ。」
「・・・それは、つまり王族であるディランや貴族のポートたちには頼みにくいこと。そういうことですか?」
「端的に言えばそうなる。」
リィーネさんはヴァンの瞳をまっすぐ見据え、ヴァンもリィーネさんから目をそらさない。まるでお互いの腹の内を探るような、そんな時間がしばし流れた。
「駆け引き無しで要点を言おう。今この国の子供たちがレゼシア王国の貴族連中に狙われている。いや、もう手を出されている。」
リィーネさんの言葉に、ディランは目を細め、レナとルーナは驚きの表情になる。ポートは何かを察していたのかあまり表情は変わらなかった。
「そうか。だから孤児院の周りがこんなにもピリピリしてたんだな。」
ポートは部屋にある唯一の窓からちらりと外を見る。
「やはりわかるか。まだまだ訓練が足りないな。」
「いや。かすかにそんな感じがするってだけで、どこにどれだけいるのかはわからねえけどな。よっぽどの精鋭をつけてるみたいだな。」
ポートは少し表情を緩めてそう言うと、しかし単なる孤児院にこれだけの精鋭をつけられるということに舌を巻く。
「この孤児院は特に街から離れているからな。外から来た連中が狙うには都合がいい。だからこの孤児院に一番腕の立つ者たちを何人かひそませているんだ。」
リィーネさんは正直にそのことを告げる。ポートもその言葉から嘘は感じなかったらしく、むしろ正直に言ってしまっていいのかと心配になるほどだった。
「君たちの事は信用しているからな。国防面での情報漏洩はないと思っているよ。」
「・・・それで。レゼシア王国の貴族が子供の誘拐を引き起こしているという根拠は?」
ヴァンが話を戻すと、リィーネもまた真剣な表情でそれに合わせる。
「捕らえた複数の侵入者から話を聞いた。事が大きいためにある程度の薬品や魔法を行使した尋問だったため、彼ら自身が嘘を言っているわけではないだろう。」
ヴァンはこのリィーネの返答を聞いて、何かに感づいたかのように納得の表情になる。
「なるほど。あなたが何を依頼したいのかはおおよそ理解しました。」
「話が早くて助かるよ。」
ヴァンはそう言うと、しばらく目を伏せて考え込み、1分くらいたつ頃には考えをまとめてしまった。
「条件がいくつかあります。それを飲んでくださるならば、この話の続きを聞きましょう。」
リィーネは無言で話の続きを促すと、ヴァンではなくディランとしてとでもいうかのように、おもむろにメガネと帽子を目の前の机の上に置く。
「まず一つ目。俺がこの件に関わっているということをどうか内密にしていただきたい。」
「それもうしているのでは?」
「再度、この場で。そしてエルフ王の名にかけて誓っていただきたい。これは下手をすれば内政干渉とも反逆行為ともとれるとても危険な内容だ。どちらに傾いてもこちらの被害は計り知れないだろう。」
「・・・わかった。王には私が後で話をつけるとしよう。」
「では次に、私たちにも捕らえた者たちと話をさせてもらいたい。」
「こちらの尋問結果を信用できないと?」
「そうではないが、もしかしたら私たちが気付けることもあるかもしれないからな。」
「ならば明日尋問官に話をつけて侵入者に会えるようにしよう。」
「最後に・・・リィーネはどう動くつもりなんだ?」
「この話がどう転ぶとしても、私は動くつもりでいる。真偽はともかくとして、すぐにでも動かねばならぬ事態であるからな。」
「そうか・・・リィーネ。最後の条件・・・というよりも、これは願いだな。どうか、ライムと友人になってほしい。」
そこでしばしの沈黙。見ればリィーネさんは頭の上にハテナマークが浮かんでいるような表情になっており、先ほどまでの真剣な表情がやや崩れていた。
「それは・・・別に構わないが。いったいどういうことだ?」
「そうだな・・・これは説明するのがなかなか難しい。だから先に条件を飲むかどうかを聞いてから話そうと思う。」
ディランも少し迷うというか困った表情をする。
リィーネさんはそんなディランと私たちを交互に見て少し怪訝は表情になった。
「事情を説明せずに条件を飲めというのは無理があるのではないかな。」
「詳細も書かずによこした手紙に応じて我々は来たんだ。そちらも誠意を見せる必要があるのでは?」
「それはまた違う話だと思うが・・・まあいい。悪かったと思っていることは事実だしな。」
一つため息をついてから少しの間私たちを見つめてきた。それに対して私たちは満面の笑みで迎えると、リィーネさんは少し顔を赤らめて咳払いをしつつ、そっとディランに視線を戻した。
「良いだろう。どんな秘密があるかはわからないが、害意はなさそうだしな。」
「ありがとう。では話を続けてくれませんか?」
条件を飲んだと見てすぐにまたメガネと帽子をつけてヴァンを演じる。
「そうはいっても、もう君の中では見当がついているのだろう?」
「ですが、まだ詳細は窺っておりませんので。」
「そうだな。ではしばらくかかるが、今の現状から話していこうと思う。」
そうして私たちはイレーヌの現状、そして今後の動向についてリィーネさんが知っている限りすべてを聞くことになった。
「・・・やはり、あなた方が私たちに依頼することは・・・。」
「そうだ。これは君たちにとってかなりリスクの大きいことだ。万が一黒幕がレゼシア王国の貴族だった場合、そのつながりによっては君たちはかなり辛い立場に立たされることになるかもしれない。」
「だが、指をくわえてみてりゃルーナとレナの故郷が戦火に包まれるかもしれねえ。」
「それに子供の誘拐はすでに起きている。どちらにしろ見て見ぬふりはできない。」
「たとえ誰であっても容赦しないよ!」
「・・・ライム。お前はどう思う?」
ふぇ!?
ここで私たちに振りますが!?
ええっと?つまりはエルフじゃ潜入できないから代わりにエレアナで調べて親玉を探し出すってことだよね。
ただ、もしその親玉が王国の貴族だった場合ディラン達が今後動きにくくなると・・・なんで?
(たぶんディランのお兄さんたちが関わっている可能性も出てくるからじゃないかな。直接はないかもしれないけど、友好を結んでいた人だった場合、ディランが動きにくくなるように手をまわしてくるかもしれないし、逆に担ぎ上げたいってひとたちならすぐにディランの功績を称えて王に据えるための動きを始めるかもしれない。民衆からの評判もいいディランだったら本当になりかねないし。)
(え?でもそれっていいことなんじゃないの?)
(ディランがずっと冒険者を続けているのは自由なのが好きだからってことだと思うし、そんな勝手気ままに見える王子をよく思わない人もいると思うし、どちらにしてもディランに得はないんじゃないかな。)
(ふむ。だったら私たちからいえることはこれしかないかな?)
(そうだね。これしかない。)
私たちは考え終えるとディランの目を覗き込むようにして見上げ、そしてゆっくりと口を開いた。
「したいほうをえらんで!」
確かにこのまま引き下がればディランは面倒ごとに巻き込まれずに済む。モルフォル領が戦争に巻き込めれるかもしれないけれど、裏で手を回せば市民やモルフォル家は無事に済むかもしれない。
けれど、ディランが一番したいことが、もう心の中で決まっているはずなのだ。なら、私たちはしたい方へ、行きたい方へ支援する。
その意図を汲んでかくれたのかどうかはわからないけれど、ディランは私たちの言葉に一つ頷き、再びリィーネに向き直る。
「俺も身内だからと言って甘やかすつもりはないからな。いや、そもそもそんなものは身内ですらない。リィーネ。この依頼、引き受けさせてもらう。」
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