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第三部 暗黒魔星編
第164話 その頃カイトは、ヒアデス続き
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プレアデスとホットラインで繋がったスクリーンに向かって、執事のアインがステファに尋ねた。
「ステファニア様にお聞きしたいのは、シリウスの衛星についてです」
『衛星についてですか?』
「破壊されてしまったというのは本当でしょうか?」
『ええ、そうね』
「それに使用された兵器を、カイト様が持ち込んだというのも事実でしょか?」
『持ち込んだ……、そういえなくもないわね』
オメガユニットのことなら、確かにシリウスまで運んでいったのは俺だ。
「スバル殿下、ステファニア様はこうおっしゃっていますよ。プレアデスは衛星を破壊できるほどの兵器を隠し持っているのでしょう。どうか、ヒアデスを救うと思って、その兵器をお貸しください」
『そう言われてもな。無い物は、無いとしか言えんぞ』
「カイト様がヒアデスの国王になられるのですよ。孫を助けてやろうと思わないのですか」
『それは、孫のためなら何でもしてやりたいし、ヒアデスを助けることは、やぶさかではないのだが……。何度も言うが、衛星を破壊するような兵器はプレアデスにはない!』
成る程、理由はわからないが、強力な兵器が必要で、それを手に入れるために俺を国王にしようと思ったわけか。
何か訳ありだと思ったが、そんな理由だったか。
だが、これだと俺はお役目ごめんか?
折角婚約者ができたと思ったのに……、短い夢だった。
「ですが、カイト様が持ち込んだのは間違いないのですよ。プレアデス以外に、どこから持ってくるというのですか?」
「アイン、ちょっといいか?」
アインはとんでもない誤解をしているようだ。ここらで正しておいた方がいいだろう。
「何でございましょう?」
「オメガユニットのことを言っているなら、あれは、セイヤに頼まれて運んだだけだぞ。持ち主はセイヤだ」
「どちらのセイヤ様ですか?」
「セレスト皇王のセイヤだ」
「では、プレアデスは全く関係ないと?」
「オメガユニットについては全く関係ないな」
俺が全否定しると、アインは顔色を青ざめさせた。
しかし、オメガユニットのことは知っているのに、セイヤのことを知らないとは、どういうことだ?
セイヤのことは、情報統制されているのか?
それなら、オメガユニットのことも情報統制されていそうなものだが……。
もしかして、あれか? アイドルラッピングされたジェミニスIIで牽引していたから、目立ち過ぎたか……。
そこから、俺の身元も割れた可能性が高いな。これは、早めに塗り変えたほうがいいな。
「そうだったのですか。私はてっきりプレアデスから持ち出した物だとばかり……。スバル殿下、大変申し訳ございませんでした」
『わかってくれればよい。そちらも、危機が迫って焦っていたのであろう』
「お察しいただき、ありがとうございます」
「ちょっと待て! その、危機が迫って、って何だ?! 聞いてないぞ!」
ふざけるな!! 人を国王にしようとしておいて、危機が迫っているって、聞き捨てならないだろう。まず、そこから説明しろよな!!
「それは、これからお話ししようと思っていたのですが……」
アインによると、ヒアデスは今、崩壊の危機に瀕していた。
その原因が暗黒魔星である。
宇宙をさ迷うこの星が近づいてくることにより、一年以内にヒアデスを構成する十個の星が、通常の軌道を外れそれぞれ別の方向に軌道を変えてしまうと予測されていた。
構成する星が散り散りになってしまえば、ヒアデスを維持することはできなくなってしまう。
アルデバランに助けを求めたが、返事は自分たちでどうにかしろというものだった。
連邦政府に話しても、返ってきた返事は同じだった。
連邦政府としては、ヒアデスを構成する十個の星がばらばらに軌道を変えても、困ることはなかった。むしろ、この機会にヒアデス王家を潰してしまおうと考えているようだ。
そんなわけで、自分たちでどうにかするしかなく、そのための情報を集めた結果、俺に行き着いたようだ。
「そういうことなら、セイヤに頼むしかないな」
「セイヤ様はどうにかしてくださるでしょうか?」
「それはわからんな。とにかく、一度セイヤに連絡してみるよ」
俺は、セイヤに連絡しようとカードを探す。だが、カードが見当たらない。
あれ?どこに仕舞っただろう?
「カイト様、カードでしたらこちらに」
メイドのアマテルがカードを差し出す。
そういえば、カードも含めて持ち物をアマテルに預けていたのだった。
俺は、アマテルからカードを受け取る。
え? これって……。
「連絡がこんなに入ってるじゃないか!」
「すみません! 気が付きませんで……」
アマテルが頭を下げた。
俺も、日頃連絡などこないから気にしていなかったけど……。
これは、外部と連絡を取らないように、わざと知らせなかったんだろうな。
外部と連絡を取られて、途中で逃げられるとまずいと思ったのだろう。
「アマテル! ……まあ、いいか。今度から気を付けてくれ」
「はい、気を付けます」
俺は、文句を言ってやろうかと思ったが、止めた。今更、文句を言っても、今度があるか、わからないからな。
セイヤが来れば、俺は用済みだろう。また、ジェミニスIIで個人事業主としてやっていけばいいさ。
婚約者も、七人もいるなら一人ぐらいもらえないかと思わなくもないが、姫様との釣り合いが取れるとはとても思えない。
まあ、兎に角、セイヤにヘルプの要請をして、何事もそれからだな。
「ステファニア様にお聞きしたいのは、シリウスの衛星についてです」
『衛星についてですか?』
「破壊されてしまったというのは本当でしょうか?」
『ええ、そうね』
「それに使用された兵器を、カイト様が持ち込んだというのも事実でしょか?」
『持ち込んだ……、そういえなくもないわね』
オメガユニットのことなら、確かにシリウスまで運んでいったのは俺だ。
「スバル殿下、ステファニア様はこうおっしゃっていますよ。プレアデスは衛星を破壊できるほどの兵器を隠し持っているのでしょう。どうか、ヒアデスを救うと思って、その兵器をお貸しください」
『そう言われてもな。無い物は、無いとしか言えんぞ』
「カイト様がヒアデスの国王になられるのですよ。孫を助けてやろうと思わないのですか」
『それは、孫のためなら何でもしてやりたいし、ヒアデスを助けることは、やぶさかではないのだが……。何度も言うが、衛星を破壊するような兵器はプレアデスにはない!』
成る程、理由はわからないが、強力な兵器が必要で、それを手に入れるために俺を国王にしようと思ったわけか。
何か訳ありだと思ったが、そんな理由だったか。
だが、これだと俺はお役目ごめんか?
折角婚約者ができたと思ったのに……、短い夢だった。
「ですが、カイト様が持ち込んだのは間違いないのですよ。プレアデス以外に、どこから持ってくるというのですか?」
「アイン、ちょっといいか?」
アインはとんでもない誤解をしているようだ。ここらで正しておいた方がいいだろう。
「何でございましょう?」
「オメガユニットのことを言っているなら、あれは、セイヤに頼まれて運んだだけだぞ。持ち主はセイヤだ」
「どちらのセイヤ様ですか?」
「セレスト皇王のセイヤだ」
「では、プレアデスは全く関係ないと?」
「オメガユニットについては全く関係ないな」
俺が全否定しると、アインは顔色を青ざめさせた。
しかし、オメガユニットのことは知っているのに、セイヤのことを知らないとは、どういうことだ?
セイヤのことは、情報統制されているのか?
それなら、オメガユニットのことも情報統制されていそうなものだが……。
もしかして、あれか? アイドルラッピングされたジェミニスIIで牽引していたから、目立ち過ぎたか……。
そこから、俺の身元も割れた可能性が高いな。これは、早めに塗り変えたほうがいいな。
「そうだったのですか。私はてっきりプレアデスから持ち出した物だとばかり……。スバル殿下、大変申し訳ございませんでした」
『わかってくれればよい。そちらも、危機が迫って焦っていたのであろう』
「お察しいただき、ありがとうございます」
「ちょっと待て! その、危機が迫って、って何だ?! 聞いてないぞ!」
ふざけるな!! 人を国王にしようとしておいて、危機が迫っているって、聞き捨てならないだろう。まず、そこから説明しろよな!!
「それは、これからお話ししようと思っていたのですが……」
アインによると、ヒアデスは今、崩壊の危機に瀕していた。
その原因が暗黒魔星である。
宇宙をさ迷うこの星が近づいてくることにより、一年以内にヒアデスを構成する十個の星が、通常の軌道を外れそれぞれ別の方向に軌道を変えてしまうと予測されていた。
構成する星が散り散りになってしまえば、ヒアデスを維持することはできなくなってしまう。
アルデバランに助けを求めたが、返事は自分たちでどうにかしろというものだった。
連邦政府に話しても、返ってきた返事は同じだった。
連邦政府としては、ヒアデスを構成する十個の星がばらばらに軌道を変えても、困ることはなかった。むしろ、この機会にヒアデス王家を潰してしまおうと考えているようだ。
そんなわけで、自分たちでどうにかするしかなく、そのための情報を集めた結果、俺に行き着いたようだ。
「そういうことなら、セイヤに頼むしかないな」
「セイヤ様はどうにかしてくださるでしょうか?」
「それはわからんな。とにかく、一度セイヤに連絡してみるよ」
俺は、セイヤに連絡しようとカードを探す。だが、カードが見当たらない。
あれ?どこに仕舞っただろう?
「カイト様、カードでしたらこちらに」
メイドのアマテルがカードを差し出す。
そういえば、カードも含めて持ち物をアマテルに預けていたのだった。
俺は、アマテルからカードを受け取る。
え? これって……。
「連絡がこんなに入ってるじゃないか!」
「すみません! 気が付きませんで……」
アマテルが頭を下げた。
俺も、日頃連絡などこないから気にしていなかったけど……。
これは、外部と連絡を取らないように、わざと知らせなかったんだろうな。
外部と連絡を取られて、途中で逃げられるとまずいと思ったのだろう。
「アマテル! ……まあ、いいか。今度から気を付けてくれ」
「はい、気を付けます」
俺は、文句を言ってやろうかと思ったが、止めた。今更、文句を言っても、今度があるか、わからないからな。
セイヤが来れば、俺は用済みだろう。また、ジェミニスIIで個人事業主としてやっていけばいいさ。
婚約者も、七人もいるなら一人ぐらいもらえないかと思わなくもないが、姫様との釣り合いが取れるとはとても思えない。
まあ、兎に角、セイヤにヘルプの要請をして、何事もそれからだな。
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