127 / 167
第三部 女神編
第127話 その頃ステファは、セレスト
しおりを挟む
セイヤがドラゴンの角を得るために、ドラゴンパーク星を探しに帝国へ行くというので、セイヤの代わりに、リリスさんにそのことを伝えに行くことになった。
私はシャトルポッドに乗り込むとハルクを出発し、リリスさんのいる大公の屋敷に向かう。
シャトルポッドなら、ほんの数分で到着できる。
大公の屋敷の庭に着陸すると、リリスさんがアリアさんを連れて慌ててやって来た。
「ステファさん? セイヤ様はどうされたのですか。まさか、セイヤ様に何かあったのですか!」
「セイヤはハルクにいるけど、別に元気だよ」
「そうですか、それはよかったです。それで、ステファさんは、なぜ一人でここに? ドラゴンは見つかったのですか?」
「見つかるには見つかったんだけど、それがいろいろあって……」
私は、リリスさんに事情を説明して、これからドラゴンを探しに帝国に行くと伝えた。
「そうですか、これから帝国に行くのですね。でしたら私も付いていきます」
「セイヤは、大公が禁止しているので連れて行けないと言っているわよ」
「それは……。でしたら今からお父様に許可を取って来ますから、少し待っていてもらえますか」
「わかったわ。でも早くしてよ」
「すぐに行って来ますから」
そう言って、リリスさんはアリアさんと屋敷の中に走っていった。
私は、シャトルポッドの前で立ったまま少し待つことにした。
しかし、本当にこの星はのどかである。
シリウスではこんな平和に過ごすことはできない。
そんなことを考えながら待つこと十分。
やはり説得は難しいようだ。リリスさんに申し訳ないが諦めてもらおう。
そう思った時だった。
バァアーン!
耳をつんざくような爆発音とともに、屋敷の壁が吹き飛んだ。
一体何が! 爆弾でも爆発したのか?
何事かと警戒していると、壊れた壁の隙間からリリスさんが、何事もなかったかのように現れた。
少し遅れて、アリアさんもやってくる。こちらは、普段と違って、取り乱しているようで、少し顔色が悪い。
「ステファさん、お待たせしました。許可が取れたので行きましょう」
「壁が吹き飛んだけど、大丈夫なの?」
「気にしないでください。お父様が、余りにも聞き分けがないので、少し怒りが爆発してしまっただけですから」
怒りが爆発したって、本当に爆発したように見えるけど、どういうことだろう。
私が困惑していると、アリアさんが説明してくれた。
「お嬢様が怒りに任せて『ギガド』を使用したんです」
「ギガド?」
「ギガドは、呪文の詠唱の代わりに、怒りによって魔力を爆発させて対象を吹き飛ばす『爆怒』の上級魔法です」
「つまり、リリスさんが魔法で壁を吹き飛ばしたということ?」
「お恥ずかしい限りですわ。オホホホホ」
リリスさんが恥ずかしそうに笑った。
なぜか、アリアさんが一歩退いて、リリスさんとの距離をとった。
私は、リリスさんを怒らせることだけはするまいと心に誓ったのだった。
「それではステファさん、セイヤ様の所に行きましょう」
「え、そ、そうね」
私たち三人はシャトルポッドに乗り込むと、セイヤの待っている筈の座標を目指した。
しかし、目的の場所に着いてもセイヤの乗るハルクが見当たらない。
座標を間違えただろうかとデルタに確認する。
「デルタ、ハルクはどこにあるの?」
『本船は既に帝国に向けて出発しました』
「出発した?私を置いていったの」
『シャトルポッドが出て、すぐに発進しました。既にワープ速度で航行中です』
「ステファさん、それって、このシャトルポッドでは追いつけないってことですか?」
「そうよ。セイヤのやつ、初めから私も置いていくつもりだったのよ!」
「そんな。また、置いてきぼりなんて……」
私は、頭にきたが、リリスさんは悲しそうだ。
ここで、私は先程の壁の爆発を思い出した。今は悲しんでいるが、これが、私と同じ怒りに変わったら大変だ。
シャトルポッドの中でギガドを使われたら、シールドがあっても無事では済まないだろう。
私は怒りを鎮めて、リリスさんに提案した。
「とりあえず、地上に下りてから対応を考えましょうよ」
「そうですね。なんとかしてセイヤ様に追いつかないと」
リリスさんはセイヤを追いかける気でいるようだ。
そうなるとワープできる宇宙船が必要になるわけだが、すぐに思いつくのはヨーコが乗って来たハルムになる。私もそれに同乗して来たわけであるが、セイヤを追いかけるために出してもらえるだろうか?
「リリスさん、下りる場所だけど、セレストの王宮にしようと思うのよ」
「私は構いませんが、なぜですか?」
「ヨーコちゃんに宇宙船を出せないか、お願いしてみようと思うのよ」
「そうですね。それがいいですね」
リリスさんも納得したので、シャトルポッドをセレストの王宮に下ろすことにした。
私はシャトルポッドに乗り込むとハルクを出発し、リリスさんのいる大公の屋敷に向かう。
シャトルポッドなら、ほんの数分で到着できる。
大公の屋敷の庭に着陸すると、リリスさんがアリアさんを連れて慌ててやって来た。
「ステファさん? セイヤ様はどうされたのですか。まさか、セイヤ様に何かあったのですか!」
「セイヤはハルクにいるけど、別に元気だよ」
「そうですか、それはよかったです。それで、ステファさんは、なぜ一人でここに? ドラゴンは見つかったのですか?」
「見つかるには見つかったんだけど、それがいろいろあって……」
私は、リリスさんに事情を説明して、これからドラゴンを探しに帝国に行くと伝えた。
「そうですか、これから帝国に行くのですね。でしたら私も付いていきます」
「セイヤは、大公が禁止しているので連れて行けないと言っているわよ」
「それは……。でしたら今からお父様に許可を取って来ますから、少し待っていてもらえますか」
「わかったわ。でも早くしてよ」
「すぐに行って来ますから」
そう言って、リリスさんはアリアさんと屋敷の中に走っていった。
私は、シャトルポッドの前で立ったまま少し待つことにした。
しかし、本当にこの星はのどかである。
シリウスではこんな平和に過ごすことはできない。
そんなことを考えながら待つこと十分。
やはり説得は難しいようだ。リリスさんに申し訳ないが諦めてもらおう。
そう思った時だった。
バァアーン!
耳をつんざくような爆発音とともに、屋敷の壁が吹き飛んだ。
一体何が! 爆弾でも爆発したのか?
何事かと警戒していると、壊れた壁の隙間からリリスさんが、何事もなかったかのように現れた。
少し遅れて、アリアさんもやってくる。こちらは、普段と違って、取り乱しているようで、少し顔色が悪い。
「ステファさん、お待たせしました。許可が取れたので行きましょう」
「壁が吹き飛んだけど、大丈夫なの?」
「気にしないでください。お父様が、余りにも聞き分けがないので、少し怒りが爆発してしまっただけですから」
怒りが爆発したって、本当に爆発したように見えるけど、どういうことだろう。
私が困惑していると、アリアさんが説明してくれた。
「お嬢様が怒りに任せて『ギガド』を使用したんです」
「ギガド?」
「ギガドは、呪文の詠唱の代わりに、怒りによって魔力を爆発させて対象を吹き飛ばす『爆怒』の上級魔法です」
「つまり、リリスさんが魔法で壁を吹き飛ばしたということ?」
「お恥ずかしい限りですわ。オホホホホ」
リリスさんが恥ずかしそうに笑った。
なぜか、アリアさんが一歩退いて、リリスさんとの距離をとった。
私は、リリスさんを怒らせることだけはするまいと心に誓ったのだった。
「それではステファさん、セイヤ様の所に行きましょう」
「え、そ、そうね」
私たち三人はシャトルポッドに乗り込むと、セイヤの待っている筈の座標を目指した。
しかし、目的の場所に着いてもセイヤの乗るハルクが見当たらない。
座標を間違えただろうかとデルタに確認する。
「デルタ、ハルクはどこにあるの?」
『本船は既に帝国に向けて出発しました』
「出発した?私を置いていったの」
『シャトルポッドが出て、すぐに発進しました。既にワープ速度で航行中です』
「ステファさん、それって、このシャトルポッドでは追いつけないってことですか?」
「そうよ。セイヤのやつ、初めから私も置いていくつもりだったのよ!」
「そんな。また、置いてきぼりなんて……」
私は、頭にきたが、リリスさんは悲しそうだ。
ここで、私は先程の壁の爆発を思い出した。今は悲しんでいるが、これが、私と同じ怒りに変わったら大変だ。
シャトルポッドの中でギガドを使われたら、シールドがあっても無事では済まないだろう。
私は怒りを鎮めて、リリスさんに提案した。
「とりあえず、地上に下りてから対応を考えましょうよ」
「そうですね。なんとかしてセイヤ様に追いつかないと」
リリスさんはセイヤを追いかける気でいるようだ。
そうなるとワープできる宇宙船が必要になるわけだが、すぐに思いつくのはヨーコが乗って来たハルムになる。私もそれに同乗して来たわけであるが、セイヤを追いかけるために出してもらえるだろうか?
「リリスさん、下りる場所だけど、セレストの王宮にしようと思うのよ」
「私は構いませんが、なぜですか?」
「ヨーコちゃんに宇宙船を出せないか、お願いしてみようと思うのよ」
「そうですね。それがいいですね」
リリスさんも納得したので、シャトルポッドをセレストの王宮に下ろすことにした。
0
お気に入りに追加
37
あなたにおすすめの小説

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
雪月夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました
taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件
『穢らわしい娼婦の子供』
『ロクに魔法も使えない出来損ない』
『皇帝になれない無能皇子』
皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。
だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。
毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき……
『なんだあの威力の魔法は…?』
『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』
『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』
『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』
そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。
うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。
攫われた転生王子は下町でスローライフを満喫中!?
伽羅
ファンタジー
転生したのに、どうやら捨てられたらしい。しかも気がついたら籠に入れられ川に流されている。
このままじゃ死んじゃう!っと思ったら運良く拾われて下町でスローライフを満喫中。
自分が王子と知らないまま、色々ともの作りをしながら新しい人生を楽しく生きている…。
そんな主人公や王宮を取り巻く不穏な空気とは…。
このまま下町でスローライフを送れるのか?
チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!
芽狐@書籍発売中
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️
ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。
嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる!
転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。
新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか??
更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる