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第二部 プロキオン星編
第99話 散開星団
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海賊から襲撃を受ける予定の散開星団はもうすぐだ。
「あれが散開星団か。あれだけ星があれば、海賊も隠れるところに事欠かないな」
「見る分には綺麗なのに、海賊の住処だなんて残念ですね……」
確かにリリスの言う通り、星々の輝きが折り重なり、幻想的な景色になっていた。
リリスが安全にこの風景を堪能できるようにするためにも、海賊たちを一掃しよう。
俺が、決意を新たにしていると、第一王女から声がかかった。
「プロキオンの境界警備艦隊に話はついた。取り敢えず星系の境界寸前に待機させ、こちらから合図を送れば、すぐに境界を越えて、海賊を殲滅するように伝えてある」
「そうですか。俺としては、それが無駄になることを願っていますが、そうもいかないようですね」
「キャプテン、散開星団の中から、識別信号不明の船が現れた」
レーダーで警戒していたチハルから報告が入る。
「早速か。気が早いな」
第一王女が呟く。それに俺も同意する。
「そうですね。予定より早いですね。チハル、数はいくつだ!」
「今のところ、確認できたのは、二十、でもまだ増えそう」
「想定される数はいくつでしたっけ?」
「この星団に潜んでいると考えられている海賊船は、全部で五十強だ」
「半分伏せているとすれば、最初に出てくるのは、二十五あたりになるわけだが、果たしてどう出て来るか……」
「キャプテン、別方向からも未確認船、その数三十強」
「最初から、総力で挟み撃ち? 想定外だな」
「そうだな。追撃に入ったところを不意打ちする作戦ではないみたいだな。私たちの考え過ぎだったか」
「予測より数が多いけど、最初は防御に徹することで、いいんですね」
俺は第一王女に確認する。
「カエデとモミジであれば、海賊船が百隻まとまって攻撃してきても問題ない」
「では、そういうことで。カエデとモミジへの指示はよろしく」
「よし、任せておけ」
軍艦である、カエデとモミジに俺が指示を出すわけにはいかないからな。第一王女に任せるのが適切だろう。
俺は、万が一に備えて、キャプテンシートに座り、第一王女の指揮の様子を眺める。
第一王女は、見た目と違って、本当に男勝りだな。こんな場面でも、落ち着いてどっしりと構えている。指揮も的確で、淀みない。
「攻撃が始まった」
海賊船が放つビームの光線が、カエデとモミジが張る広域シールドに当たり虹色に輝き弾け飛ぶ。
一隻から砲撃があった後は、六十隻近い海賊船から一斉に砲撃が始まった。
本当にシールドが保つのか心配になるが、第一王女が太鼓判を押しているのだ、大丈夫なのだろう。
海賊船は、丸あり、三角あり、四角ありで、形も、大きさも様々だ。
いかにも烏合の衆といった感じだ。
攻撃も無秩序で、一点を集中して狙うようなこともない。
しまいには、同士討ちを始める船まで現れる。
これは、作戦も何も、あったもんではないな。
「攻撃開始から十分、そろそろ敵の魔力が切れ始める」
「じゃあ、敵が逃げ始めたところで、魚雷を全弾発射」
「了解。魚雷発射準備」
「おい、魚雷全弾はないだろ。いくら何でもコストを考えろ。皇国からは依頼料以上は出さないぞ」
海賊を討伐する条件として、ギルドを通して、皇国から、俺への指名依頼としてもらった。
当然、依頼料ももらう契約だ。
「ああ、気にしないでくれ、依頼料以上に請求する気はないから」
魚雷は船内の巨大3Dプリンターで作成ができる。3Dプリンターの原材料は魔力だ。
つまり、俺の魔力を使えば、ただで魚雷は作り放題だ。
勿論、ビーム砲も打ち放題。
「その後は、ビーム砲を一斉射」
「了解。ビーム砲発射準備」
「おいおい、なんだその戦術は、ただの物量による力押しか。それじゃあ、勝っても赤字だぞ」
心配ない。絶対に赤字にはならない。
「敵船が撤退を始めた」
「よし、追撃だ。カエデとモミジにシールドを解くように指示頼む」
「わかった。プロキオンの境界警備艦隊にも攻撃に移るように指示を出すが、いいか」
「ああ、そうしてくれ」
「もっとも、出番があるか怪しくなってきたがな」
第一王女は一言言ってから、カエデとモミジに指示を出していく。
そこからは、ハルク無双が始まった。
最初の魚雷攻撃で、海賊船の半数近くが航行不能に陥っていた。
魚雷による飽和攻撃は、連鎖反応を起こし、辺り一面を火の海にしたのだ。いくらシールドがあっても、小型船は持ちこたえられなかった。
残った船も、シールドに回せる魔力が底をつき、ハルクのビーム砲で、次々と沈んでいく。
中には反撃してくる船もあったが、ハルクのシールドは万全だ。なにせ、魔力はまだ、たんまりとあるのだから。
あらかた片付いたところで、チハルから報告がきた。
「後方から軍艦、八」
「プロキオンの境界警備艦隊か?」
「折角来てもらったんだ、後始末は任せよう。後ろの艦に通信を繋いでくれ、私から説明する」
「通信不能。通信妨害を受けている」
「なんだって?!」
その時、ハルクのシールドが虹色に輝いた。
「後方の軍艦が発砲。シールドに命中」
「大丈夫なのか?!」
「今は、大丈夫、だが、集中攻撃を受け続けるのは危険」
「発光信号で海賊船でないと伝えて!」
「やっている。だが、返事がない」
シールドがまた虹色に輝いた。第二射があったようだ。とんだ返答である。
「後方の軍艦の識別信号を確認。近衛第二艦隊」
「プロキオンの境界警備艦隊ではないのか?」
「近衛第二艦隊は第一王子の護衛艦隊だ!」
第一王子自らお出ましで、こちらを沈める気のようだ。
「あれが散開星団か。あれだけ星があれば、海賊も隠れるところに事欠かないな」
「見る分には綺麗なのに、海賊の住処だなんて残念ですね……」
確かにリリスの言う通り、星々の輝きが折り重なり、幻想的な景色になっていた。
リリスが安全にこの風景を堪能できるようにするためにも、海賊たちを一掃しよう。
俺が、決意を新たにしていると、第一王女から声がかかった。
「プロキオンの境界警備艦隊に話はついた。取り敢えず星系の境界寸前に待機させ、こちらから合図を送れば、すぐに境界を越えて、海賊を殲滅するように伝えてある」
「そうですか。俺としては、それが無駄になることを願っていますが、そうもいかないようですね」
「キャプテン、散開星団の中から、識別信号不明の船が現れた」
レーダーで警戒していたチハルから報告が入る。
「早速か。気が早いな」
第一王女が呟く。それに俺も同意する。
「そうですね。予定より早いですね。チハル、数はいくつだ!」
「今のところ、確認できたのは、二十、でもまだ増えそう」
「想定される数はいくつでしたっけ?」
「この星団に潜んでいると考えられている海賊船は、全部で五十強だ」
「半分伏せているとすれば、最初に出てくるのは、二十五あたりになるわけだが、果たしてどう出て来るか……」
「キャプテン、別方向からも未確認船、その数三十強」
「最初から、総力で挟み撃ち? 想定外だな」
「そうだな。追撃に入ったところを不意打ちする作戦ではないみたいだな。私たちの考え過ぎだったか」
「予測より数が多いけど、最初は防御に徹することで、いいんですね」
俺は第一王女に確認する。
「カエデとモミジであれば、海賊船が百隻まとまって攻撃してきても問題ない」
「では、そういうことで。カエデとモミジへの指示はよろしく」
「よし、任せておけ」
軍艦である、カエデとモミジに俺が指示を出すわけにはいかないからな。第一王女に任せるのが適切だろう。
俺は、万が一に備えて、キャプテンシートに座り、第一王女の指揮の様子を眺める。
第一王女は、見た目と違って、本当に男勝りだな。こんな場面でも、落ち着いてどっしりと構えている。指揮も的確で、淀みない。
「攻撃が始まった」
海賊船が放つビームの光線が、カエデとモミジが張る広域シールドに当たり虹色に輝き弾け飛ぶ。
一隻から砲撃があった後は、六十隻近い海賊船から一斉に砲撃が始まった。
本当にシールドが保つのか心配になるが、第一王女が太鼓判を押しているのだ、大丈夫なのだろう。
海賊船は、丸あり、三角あり、四角ありで、形も、大きさも様々だ。
いかにも烏合の衆といった感じだ。
攻撃も無秩序で、一点を集中して狙うようなこともない。
しまいには、同士討ちを始める船まで現れる。
これは、作戦も何も、あったもんではないな。
「攻撃開始から十分、そろそろ敵の魔力が切れ始める」
「じゃあ、敵が逃げ始めたところで、魚雷を全弾発射」
「了解。魚雷発射準備」
「おい、魚雷全弾はないだろ。いくら何でもコストを考えろ。皇国からは依頼料以上は出さないぞ」
海賊を討伐する条件として、ギルドを通して、皇国から、俺への指名依頼としてもらった。
当然、依頼料ももらう契約だ。
「ああ、気にしないでくれ、依頼料以上に請求する気はないから」
魚雷は船内の巨大3Dプリンターで作成ができる。3Dプリンターの原材料は魔力だ。
つまり、俺の魔力を使えば、ただで魚雷は作り放題だ。
勿論、ビーム砲も打ち放題。
「その後は、ビーム砲を一斉射」
「了解。ビーム砲発射準備」
「おいおい、なんだその戦術は、ただの物量による力押しか。それじゃあ、勝っても赤字だぞ」
心配ない。絶対に赤字にはならない。
「敵船が撤退を始めた」
「よし、追撃だ。カエデとモミジにシールドを解くように指示頼む」
「わかった。プロキオンの境界警備艦隊にも攻撃に移るように指示を出すが、いいか」
「ああ、そうしてくれ」
「もっとも、出番があるか怪しくなってきたがな」
第一王女は一言言ってから、カエデとモミジに指示を出していく。
そこからは、ハルク無双が始まった。
最初の魚雷攻撃で、海賊船の半数近くが航行不能に陥っていた。
魚雷による飽和攻撃は、連鎖反応を起こし、辺り一面を火の海にしたのだ。いくらシールドがあっても、小型船は持ちこたえられなかった。
残った船も、シールドに回せる魔力が底をつき、ハルクのビーム砲で、次々と沈んでいく。
中には反撃してくる船もあったが、ハルクのシールドは万全だ。なにせ、魔力はまだ、たんまりとあるのだから。
あらかた片付いたところで、チハルから報告がきた。
「後方から軍艦、八」
「プロキオンの境界警備艦隊か?」
「折角来てもらったんだ、後始末は任せよう。後ろの艦に通信を繋いでくれ、私から説明する」
「通信不能。通信妨害を受けている」
「なんだって?!」
その時、ハルクのシールドが虹色に輝いた。
「後方の軍艦が発砲。シールドに命中」
「大丈夫なのか?!」
「今は、大丈夫、だが、集中攻撃を受け続けるのは危険」
「発光信号で海賊船でないと伝えて!」
「やっている。だが、返事がない」
シールドがまた虹色に輝いた。第二射があったようだ。とんだ返答である。
「後方の軍艦の識別信号を確認。近衛第二艦隊」
「プロキオンの境界警備艦隊ではないのか?」
「近衛第二艦隊は第一王子の護衛艦隊だ!」
第一王子自らお出ましで、こちらを沈める気のようだ。
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