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第一部 初仕事編
第61話 誘拐
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今日も、リリスとアリアはシャトルポッドのライセンス講習のため別行動だ。
俺は、チハルと聖女を伴ってギルドに来ていた。
カウンターチェアに三人で座り、俺はコーヒー、チハルと聖女はオレンジフロートをバニーガール姿のアンジェラさんに注文する。
「何ですかあの格好は、ギルドとはいかがわしいお店なのですか?」
「違う違う、ギルドの他に酒場も副業でやってるんだ。彼女はそのウェートレスも兼ねてるんだ」
「酒場のウェートレスですか。成る程……」
聖女はアンジェラさんの格好をそれで納得したようだ。
「お待たせ、コヒーとオレンジフロート二つね」
「ありがとうございます」
「それで、これが今回買い取ったレアメタルの明細ね。品質も良かったから高く売れたわよ」
「そうですか!」
全部で、二千五百万G、これをもう一度繰り返せば借金を返せることになる。
いや、待てよ。ステファの取り分があった。いくらステファに払えばいいだろう。
「その明細をもらうためにわざわざ来たのですか? わ・ざ・わ・ざ!」
「いや、それだけじゃないんだけどね……」
何やら聖女が俺を見る目が厳しい。
別に、アンジェラさんのバニーガール姿見たさに来たわけではないんだよ。
「アンジェラさん、俺たちチハルも含めて六人で今回の仕事をしたんですが、一人当たりいくらづつ分ければいいですかね?」
何か聖女の所為で、取って付けたような質問になってしまったが、そんなことないんだよ。
「セイヤ様、私たちは何もしていませんでした。レイメタルを取ってきたのは、セイヤ様とチハルさんとステファさんの三人じゃないですか」
「ああ、そうだな。でも、留守番も必要だよね」
「そうですかね……」
「今の話を聞く限り、利益の二十から二十五パーセントずつを取りに行った三人に分けて、残りを留守番の三人で分けるのが妥当かな。まあ、事業主であるセイヤさん次第なんだけどね」
「そうですか」
配分率はそれでいいとしても、問題は配分する元だ。
普通なら、魔力の充填代やら費用がかかる。魔力代だけで一日およそ百万Gかかるから、それだけで、ドックからなら、片道七日で一日作業したとしたら千五百万Gになる。セレストからなら、二千万Gを超えることになる。
それを差し引くと、利益は、五百から千万Gといったところだ。
それの配分は二十から二十五パーセントで、百万から二百五十万Gだな。
だが、俺の場合魔力代がかからない。
二千五百万G丸々利益だと考えて問題ない。
そうなると、五百万Gから六百二十五万Gか。
うーむ。どうしたもんだろう……。ステファに相談だな。
しかし、こうなると早く貨物船を修理した方がいいかな。積み込める量が段違いだからな。ハルクの四十倍は詰めるだろうから、一回で十億G分運べることになる。
「キャプテン、大変!」
「そうだな、お金の計算は大変だ」
「そうじゃない、一大事。デルタから連絡が入った」
「デルタから?」
「念のため、デルタが航行監視システムでリリスが乗ったシャトルポッドを追っていた」
「リリスに何かあったのか!」
「シャトルポッドごと連れ去られた」
「何だって?!」
「お姉さまが攫われたというの!」
もしかすると、レアメタルの穴場情報が欲しい連中の仕業だろうか?
まさか、こんな大胆な手を使ってくるとは、想定外だった。
俺は慌てて、船に戻ろうとしたが、アンジェラさんに止められた。
「ちょっと待って! こちらでも確認するわ。事実なら救助隊を出すことも考えるわ」
「救助隊ですか、助かります」
アンジェラさんはあちこちに連絡を取ってくれた。
しかし、連絡を取っているうちに段々と険しい表情になっていく。
「御免なさい。結論から言えば、ギルドから救助隊は出せないわ」
「なぜですか!」
「それなんだけど、攫った相手は帝国軍らしいの。何か心当たりがある?」
「帝国軍ですか……」
レアメタル関係ではなかったのか……。帝国軍となると、ステファの関係か?
「相手が軍で、これが正規の軍事行動だとすると、ギルドとしては迂闊には手を出せないの。航宙管理局が正式に抗議しているから、そちらで動きがあるかもしれないけど、そちらもすぐにとはいかないようね」
「そうですか。わかりました。自分で何とかします」
先ずはステファと連絡を取るべきか。ドックに来てからステファとは別行動だったが、今どこにいるんだ?。
そのタイミングで、カードにメッセージが届いた。ステファからかと思ったが違った。
『指定座標に来い』
これは誘拐犯からのメッセージだよな。ステファのことには触れてないが、ステファは関係ないのか?
差出人は、コーディリア・ブリエル? 誰だっけ?
ああ、あの男爵令嬢か!
ということは、狙いは俺か……。
だが、狙われる理由がわからない。むしろ、命を助けてやったのだが。
しかし、これで闇雲に探して回る必要がなくなった。
待っててくれ、リリス。今助けに行くからな。
俺は、チハルと聖女を伴ってギルドに来ていた。
カウンターチェアに三人で座り、俺はコーヒー、チハルと聖女はオレンジフロートをバニーガール姿のアンジェラさんに注文する。
「何ですかあの格好は、ギルドとはいかがわしいお店なのですか?」
「違う違う、ギルドの他に酒場も副業でやってるんだ。彼女はそのウェートレスも兼ねてるんだ」
「酒場のウェートレスですか。成る程……」
聖女はアンジェラさんの格好をそれで納得したようだ。
「お待たせ、コヒーとオレンジフロート二つね」
「ありがとうございます」
「それで、これが今回買い取ったレアメタルの明細ね。品質も良かったから高く売れたわよ」
「そうですか!」
全部で、二千五百万G、これをもう一度繰り返せば借金を返せることになる。
いや、待てよ。ステファの取り分があった。いくらステファに払えばいいだろう。
「その明細をもらうためにわざわざ来たのですか? わ・ざ・わ・ざ!」
「いや、それだけじゃないんだけどね……」
何やら聖女が俺を見る目が厳しい。
別に、アンジェラさんのバニーガール姿見たさに来たわけではないんだよ。
「アンジェラさん、俺たちチハルも含めて六人で今回の仕事をしたんですが、一人当たりいくらづつ分ければいいですかね?」
何か聖女の所為で、取って付けたような質問になってしまったが、そんなことないんだよ。
「セイヤ様、私たちは何もしていませんでした。レイメタルを取ってきたのは、セイヤ様とチハルさんとステファさんの三人じゃないですか」
「ああ、そうだな。でも、留守番も必要だよね」
「そうですかね……」
「今の話を聞く限り、利益の二十から二十五パーセントずつを取りに行った三人に分けて、残りを留守番の三人で分けるのが妥当かな。まあ、事業主であるセイヤさん次第なんだけどね」
「そうですか」
配分率はそれでいいとしても、問題は配分する元だ。
普通なら、魔力の充填代やら費用がかかる。魔力代だけで一日およそ百万Gかかるから、それだけで、ドックからなら、片道七日で一日作業したとしたら千五百万Gになる。セレストからなら、二千万Gを超えることになる。
それを差し引くと、利益は、五百から千万Gといったところだ。
それの配分は二十から二十五パーセントで、百万から二百五十万Gだな。
だが、俺の場合魔力代がかからない。
二千五百万G丸々利益だと考えて問題ない。
そうなると、五百万Gから六百二十五万Gか。
うーむ。どうしたもんだろう……。ステファに相談だな。
しかし、こうなると早く貨物船を修理した方がいいかな。積み込める量が段違いだからな。ハルクの四十倍は詰めるだろうから、一回で十億G分運べることになる。
「キャプテン、大変!」
「そうだな、お金の計算は大変だ」
「そうじゃない、一大事。デルタから連絡が入った」
「デルタから?」
「念のため、デルタが航行監視システムでリリスが乗ったシャトルポッドを追っていた」
「リリスに何かあったのか!」
「シャトルポッドごと連れ去られた」
「何だって?!」
「お姉さまが攫われたというの!」
もしかすると、レアメタルの穴場情報が欲しい連中の仕業だろうか?
まさか、こんな大胆な手を使ってくるとは、想定外だった。
俺は慌てて、船に戻ろうとしたが、アンジェラさんに止められた。
「ちょっと待って! こちらでも確認するわ。事実なら救助隊を出すことも考えるわ」
「救助隊ですか、助かります」
アンジェラさんはあちこちに連絡を取ってくれた。
しかし、連絡を取っているうちに段々と険しい表情になっていく。
「御免なさい。結論から言えば、ギルドから救助隊は出せないわ」
「なぜですか!」
「それなんだけど、攫った相手は帝国軍らしいの。何か心当たりがある?」
「帝国軍ですか……」
レアメタル関係ではなかったのか……。帝国軍となると、ステファの関係か?
「相手が軍で、これが正規の軍事行動だとすると、ギルドとしては迂闊には手を出せないの。航宙管理局が正式に抗議しているから、そちらで動きがあるかもしれないけど、そちらもすぐにとはいかないようね」
「そうですか。わかりました。自分で何とかします」
先ずはステファと連絡を取るべきか。ドックに来てからステファとは別行動だったが、今どこにいるんだ?。
そのタイミングで、カードにメッセージが届いた。ステファからかと思ったが違った。
『指定座標に来い』
これは誘拐犯からのメッセージだよな。ステファのことには触れてないが、ステファは関係ないのか?
差出人は、コーディリア・ブリエル? 誰だっけ?
ああ、あの男爵令嬢か!
ということは、狙いは俺か……。
だが、狙われる理由がわからない。むしろ、命を助けてやったのだが。
しかし、これで闇雲に探して回る必要がなくなった。
待っててくれ、リリス。今助けに行くからな。
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