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第一部 ライセンス取得編
第25話 その頃リリスは、ブータニア大公領
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私は、もう一つの謎の球体を探すため、急いで領地の屋敷に戻ってきました。
まずは、お父様に話を聞いてみましょう。
「お父様、リリスです。今戻りました。少しよろしいでしょうか」
「おお、リリスよく戻ったな」
「お帰りなさい、リリス」
「ただいまお母様」
都合が良いことに、お父様だけでなくお母様も一緒にいらっしゃいました。
「それで、やっと、あの引き篭り王子と別れる気になったのだな。安心しなさい。すぐにもっとお前に相応しい相手を見つけてあげるから」
「なにを言っているのですお父様。私はセイヤ様と別れる気などありません。それに、こんな太った私など、まともに相手をしてくださるのは、優しいセイヤ様位なものです」
「あら、太っていてもリリスは可愛いわよ。それに、少し痩せたのではなくて?」
「そうですか?セイヤ様のことが心配で食事が喉を通らないせいですかね?」
「それは良くないわね。心配でも、ちゃんと食事は取らなければ駄目よ。ただ、リリスの場合はもう少し痩せた方がいいかしら」
「そうだな。そうすれば、あんな残念王子以外にも婚約してくれる者が現れるはずだ」
「いえ、たとえ痩せても、私はセイヤ様以外に嫁ぐ気はありません」
「だが、行方不明になって見つからないそうじゃないか」
「ですから、セイヤ様を見つけるために戻ってきたのです」
「領内には御布令を出したけど、何も情報はなかったわよ」
「そうですか……。実はセイヤ様は天界に行った可能性があるのです」
「天界だと! それはまた、荒唐無稽な」
「あなた、そうとも言い切れませんよ。私たちの祖先は天界から来たといわれているのですから」
「それは教会が言っていることだろう。今は王族だって信じているか疑わしい」
「ですが、セイヤ様は、神様が天界から降りて来た時に使ったといわれる物に乗って飛んでいったのです。飛んでいったところを見ていたましたからわかりますが、あれは天に向けて一直線に飛んで行きましたわ」
「そうか、なら余計にセイヤ殿下のことは諦めて、他の相手を探した方がいいんじゃないのか」
お父様はいつになく真剣です。
「いえ、私は絶対に諦めません。たとえセイヤ様が戻られなくても、私の気持ちは変わりません」
「そうはいうがな。天界に行ってしまわれたならどうしようもないだろう」
「私も天界に行きます!」
「どうやって行く気なんだ。方法があるのか?」
「セイヤ様が乗っていった物と同じ物を見つけます。他にもあるはずなんです」
「それはどういった物なの?」
「二メートル位の金属製の球体です。心当たりはありませんか?」
「二メートル位の球体ね……」
「そうですね……」
「セイヤ様の乗っていった物は、王宮の宝物庫にしまってありました」
「宝物庫か。家の宝物庫にその大きさの物はないな」
「納屋に丸い物があったような気が……」
「本当ですか、お母様。行って見て来ます」
「お嬢様、お待ちください」
私が急に走り出したものだから、今まで黙って控えていたアリアが慌てて声をかけて追いかけて来ます。
私は構わず、納屋まで走って行きました。
「お嬢様、急に走り出されては困ります」
「ごめんなさい。でも、気が急いてしまって」
「お気持ちはわかりますが、お嬢様の安全に関わります」
「気をつけるようにするわ。それで、納屋ってここよね?」
私は木造の小屋の前に立っていた。私はここに入ったことがない。
「そうです。今扉を開けますね」
三メートル位ありそうな大きな扉をアリアが開けていきます。
「中にあるのは庭を整備するための道具のようね」
そこには、ほうきやスコップ、熊手といった物が並んでいたました。
そして、二メートルはないが丸い物が……。
ですが、丸くはあったけど、球体ではなく円筒形でした。
「これは何?」
「庭を鎮圧して平らにするローラーですね。ここを持って転がします」
「空を飛んだりは?」
「しませんね」
残念ながら違ったようです。
その後、領内を隈なく探しましたが、目的の球体は見つけることはできませんでした。
まずは、お父様に話を聞いてみましょう。
「お父様、リリスです。今戻りました。少しよろしいでしょうか」
「おお、リリスよく戻ったな」
「お帰りなさい、リリス」
「ただいまお母様」
都合が良いことに、お父様だけでなくお母様も一緒にいらっしゃいました。
「それで、やっと、あの引き篭り王子と別れる気になったのだな。安心しなさい。すぐにもっとお前に相応しい相手を見つけてあげるから」
「なにを言っているのですお父様。私はセイヤ様と別れる気などありません。それに、こんな太った私など、まともに相手をしてくださるのは、優しいセイヤ様位なものです」
「あら、太っていてもリリスは可愛いわよ。それに、少し痩せたのではなくて?」
「そうですか?セイヤ様のことが心配で食事が喉を通らないせいですかね?」
「それは良くないわね。心配でも、ちゃんと食事は取らなければ駄目よ。ただ、リリスの場合はもう少し痩せた方がいいかしら」
「そうだな。そうすれば、あんな残念王子以外にも婚約してくれる者が現れるはずだ」
「いえ、たとえ痩せても、私はセイヤ様以外に嫁ぐ気はありません」
「だが、行方不明になって見つからないそうじゃないか」
「ですから、セイヤ様を見つけるために戻ってきたのです」
「領内には御布令を出したけど、何も情報はなかったわよ」
「そうですか……。実はセイヤ様は天界に行った可能性があるのです」
「天界だと! それはまた、荒唐無稽な」
「あなた、そうとも言い切れませんよ。私たちの祖先は天界から来たといわれているのですから」
「それは教会が言っていることだろう。今は王族だって信じているか疑わしい」
「ですが、セイヤ様は、神様が天界から降りて来た時に使ったといわれる物に乗って飛んでいったのです。飛んでいったところを見ていたましたからわかりますが、あれは天に向けて一直線に飛んで行きましたわ」
「そうか、なら余計にセイヤ殿下のことは諦めて、他の相手を探した方がいいんじゃないのか」
お父様はいつになく真剣です。
「いえ、私は絶対に諦めません。たとえセイヤ様が戻られなくても、私の気持ちは変わりません」
「そうはいうがな。天界に行ってしまわれたならどうしようもないだろう」
「私も天界に行きます!」
「どうやって行く気なんだ。方法があるのか?」
「セイヤ様が乗っていった物と同じ物を見つけます。他にもあるはずなんです」
「それはどういった物なの?」
「二メートル位の金属製の球体です。心当たりはありませんか?」
「二メートル位の球体ね……」
「そうですね……」
「セイヤ様の乗っていった物は、王宮の宝物庫にしまってありました」
「宝物庫か。家の宝物庫にその大きさの物はないな」
「納屋に丸い物があったような気が……」
「本当ですか、お母様。行って見て来ます」
「お嬢様、お待ちください」
私が急に走り出したものだから、今まで黙って控えていたアリアが慌てて声をかけて追いかけて来ます。
私は構わず、納屋まで走って行きました。
「お嬢様、急に走り出されては困ります」
「ごめんなさい。でも、気が急いてしまって」
「お気持ちはわかりますが、お嬢様の安全に関わります」
「気をつけるようにするわ。それで、納屋ってここよね?」
私は木造の小屋の前に立っていた。私はここに入ったことがない。
「そうです。今扉を開けますね」
三メートル位ありそうな大きな扉をアリアが開けていきます。
「中にあるのは庭を整備するための道具のようね」
そこには、ほうきやスコップ、熊手といった物が並んでいたました。
そして、二メートルはないが丸い物が……。
ですが、丸くはあったけど、球体ではなく円筒形でした。
「これは何?」
「庭を鎮圧して平らにするローラーですね。ここを持って転がします」
「空を飛んだりは?」
「しませんね」
残念ながら違ったようです。
その後、領内を隈なく探しましたが、目的の球体は見つけることはできませんでした。
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