23 / 167
第一部 ライセンス取得編
第23話 講習二日目
しおりを挟む
今朝はベッドで目を覚ました。
昨日はライセンス講習から帰った後、ホテルを別の場所に変えて、ツィンの部屋を取った。
お陰で、ベッドでゆっくり寝ることができた。
チハルには不評だったが、流石にあのホテルに泊まり続けるのは憚られた。
「チハル、おはよう」
「おはようございます、キャプテン」
「今日は、一人で行くから、チハルは自由にしてくれ」
「了解した」
「あと、この部屋を七泊分取って、ここを定宿にしよう」
「前のホテルの方が良かった」
「――ああいう所はたまに行くからいいんだよ」
「わかった。また、連れて行って欲しい」
「機会があったらな」
「約束」
約束はしたが、機会は二度とないだろう。
「それと迎えも必要ないからな」
「了解した」
また、男爵令嬢に絡まれると困る。
「さて、少し早いけどもう出るか」
「行ってらっしゃい」
俺は道に迷っても間に合いように、早めにホテルを出て、講習会場に向かった。
それなのになぜだか、到着したのは時間ギリギリだった。
どこで曲がる場所を間違えたのだろう。今考えても見当がつかない。
それでも早めに出たのでなんとか間に合った。
俺は滑り込みで教室に入る。
席に座ろうとして、昨日座った席を見ると、そこにはカイトが既に座っていた。
教室を見渡したが、昨日カイトが座っていた席しか空いていない。
「おい、カイト、ずるいぞ、そこは俺が昨日座っていた席じゃないか」
「昨日は昨日、今日は今日。早いもの順だ。文句を言われる筋合いはない」
「くそう。途中で道に迷わなければ……」
「セイヤ君おはよう。残念だったわね」
「ステファ、おはよう。まあ、仕方がないよ」
「そうそう。諦めろ」
「明日は早く来て取り返してやる」
「まあ、頑張れよ。明日があればな」
カイトの奴め、人のこと煽りやがって、いい性格をしている。
俺は、仕方なく、昨日カイトが座っていた、一番後ろの左端の席に座った。
当然、右隣は男爵令嬢だ。
一応挨拶をしておいた方がいいか。
「おはようございます。隣の席に失礼しますね」
「朝から席を取り合うなんて子供なのね」
はぁー。お前が言うな!
二日目の講習は、船の構造や、非常事態への対処などだった。
宇宙船もシャトルポッドも広義で言えば魔道具の一種だ。
ただ、俺の知っている魔道具と違うのは、魔導核と呼ばれる魔力を蓄積しておける特殊な装置を有していることだ。
普通の魔道具にも、直接魔力を込めるのでなく、蓄積された魔力を利用する魔道具はある。
魔導ライトなどがそうであるが、それらに使われているには魔石である。
それでは、その二つのどこが違うかといえば、魔力を蓄積する方法と、その圧倒的な出力の違いである。
例えるなら、電池と原子力発電所を比べているようなものである。
因みに、俺の魔力は、原子力発電所に匹敵するから、その魔力で電池に充電しようと思ったら、それは電池が破裂するよな。
つまり、その二つは、同じように見えて、全く別物である。
そして、魔導核の膨大な魔力を利用できるように取り出すのが、魔導ジェネレーターになる。
この講習を聞いて、ふと思いついたのだが、魔導ジェネレーターを使えば、俺の魔力でも普通の魔道具や魔法が使えるようになるのではないだろうか。
超小型の魔導ジェネレーターがないか調べてみよう。なければ作れないか研究だな。
話は逸れたが、魔導ジェネレーターによって取り出された魔力によって、宇宙船やシャトルポッドを動かしているわけであるが、シャトルポッドと違って、宇宙船にはワープエンジンがある。
当然だが、このワープエンジンは大量に魔力を消費する。
ハルクで見た魔道核の列を考えれば、その消費量を想像することは難しくない。
だが、ここで俺は思い当たってしまった。
宇宙船の魔道核に魔力を充填できる俺って、本当に人間か?
他にできる人がいるだろうか?
だが、ハルク1000Dにはキャプテンシートに充填用の装置が付いていた。
充填できる人もいないのに、そんな装置は付けないだろう。
となれば、宇宙には普通にいるのかもしれない。
俺は疑問を解決するため講師に聞いてみた。
「すみません。質問いいですか」
「はい、どうぞ」
「魔道核に人が魔力を込めることは可能でしょうか?」
「その件は午後に緊急事態の対処として話そうと思いましたが、魔道核に魔力を込めること自体は可能です。
ただ、どの程度充填できるかは、その人の魔力によって変わってきます。
魔力の低い方でも、シャトルポッドの生命維持装置を動かし続ける位はできますし。
魔力の高い方なら、十分間充填すれば、一分間シャトルポッドを動かすこと位はできるでしょう」
十分間充填して一分間。それも、シャトルポッドを動かせる程度なのか。
「そうなると宇宙船は無理ですよね?」
「宇宙船の生命維持装置を動かし続けるのは無理ですね。そうなった場合は、シャトルポッドに退避する必要があります」
「宇宙船を動かすなんてことは……」
「そうですね。何十年間か充填し続ければ動くかもしれませんね。
実際、遭難した旅客船を、乗客乗員数千名で協力して動かして助かった事例があります」
「わかりました。ありがとうございます」
俺がとんでもないことがよく理解できた。
昨日はライセンス講習から帰った後、ホテルを別の場所に変えて、ツィンの部屋を取った。
お陰で、ベッドでゆっくり寝ることができた。
チハルには不評だったが、流石にあのホテルに泊まり続けるのは憚られた。
「チハル、おはよう」
「おはようございます、キャプテン」
「今日は、一人で行くから、チハルは自由にしてくれ」
「了解した」
「あと、この部屋を七泊分取って、ここを定宿にしよう」
「前のホテルの方が良かった」
「――ああいう所はたまに行くからいいんだよ」
「わかった。また、連れて行って欲しい」
「機会があったらな」
「約束」
約束はしたが、機会は二度とないだろう。
「それと迎えも必要ないからな」
「了解した」
また、男爵令嬢に絡まれると困る。
「さて、少し早いけどもう出るか」
「行ってらっしゃい」
俺は道に迷っても間に合いように、早めにホテルを出て、講習会場に向かった。
それなのになぜだか、到着したのは時間ギリギリだった。
どこで曲がる場所を間違えたのだろう。今考えても見当がつかない。
それでも早めに出たのでなんとか間に合った。
俺は滑り込みで教室に入る。
席に座ろうとして、昨日座った席を見ると、そこにはカイトが既に座っていた。
教室を見渡したが、昨日カイトが座っていた席しか空いていない。
「おい、カイト、ずるいぞ、そこは俺が昨日座っていた席じゃないか」
「昨日は昨日、今日は今日。早いもの順だ。文句を言われる筋合いはない」
「くそう。途中で道に迷わなければ……」
「セイヤ君おはよう。残念だったわね」
「ステファ、おはよう。まあ、仕方がないよ」
「そうそう。諦めろ」
「明日は早く来て取り返してやる」
「まあ、頑張れよ。明日があればな」
カイトの奴め、人のこと煽りやがって、いい性格をしている。
俺は、仕方なく、昨日カイトが座っていた、一番後ろの左端の席に座った。
当然、右隣は男爵令嬢だ。
一応挨拶をしておいた方がいいか。
「おはようございます。隣の席に失礼しますね」
「朝から席を取り合うなんて子供なのね」
はぁー。お前が言うな!
二日目の講習は、船の構造や、非常事態への対処などだった。
宇宙船もシャトルポッドも広義で言えば魔道具の一種だ。
ただ、俺の知っている魔道具と違うのは、魔導核と呼ばれる魔力を蓄積しておける特殊な装置を有していることだ。
普通の魔道具にも、直接魔力を込めるのでなく、蓄積された魔力を利用する魔道具はある。
魔導ライトなどがそうであるが、それらに使われているには魔石である。
それでは、その二つのどこが違うかといえば、魔力を蓄積する方法と、その圧倒的な出力の違いである。
例えるなら、電池と原子力発電所を比べているようなものである。
因みに、俺の魔力は、原子力発電所に匹敵するから、その魔力で電池に充電しようと思ったら、それは電池が破裂するよな。
つまり、その二つは、同じように見えて、全く別物である。
そして、魔導核の膨大な魔力を利用できるように取り出すのが、魔導ジェネレーターになる。
この講習を聞いて、ふと思いついたのだが、魔導ジェネレーターを使えば、俺の魔力でも普通の魔道具や魔法が使えるようになるのではないだろうか。
超小型の魔導ジェネレーターがないか調べてみよう。なければ作れないか研究だな。
話は逸れたが、魔導ジェネレーターによって取り出された魔力によって、宇宙船やシャトルポッドを動かしているわけであるが、シャトルポッドと違って、宇宙船にはワープエンジンがある。
当然だが、このワープエンジンは大量に魔力を消費する。
ハルクで見た魔道核の列を考えれば、その消費量を想像することは難しくない。
だが、ここで俺は思い当たってしまった。
宇宙船の魔道核に魔力を充填できる俺って、本当に人間か?
他にできる人がいるだろうか?
だが、ハルク1000Dにはキャプテンシートに充填用の装置が付いていた。
充填できる人もいないのに、そんな装置は付けないだろう。
となれば、宇宙には普通にいるのかもしれない。
俺は疑問を解決するため講師に聞いてみた。
「すみません。質問いいですか」
「はい、どうぞ」
「魔道核に人が魔力を込めることは可能でしょうか?」
「その件は午後に緊急事態の対処として話そうと思いましたが、魔道核に魔力を込めること自体は可能です。
ただ、どの程度充填できるかは、その人の魔力によって変わってきます。
魔力の低い方でも、シャトルポッドの生命維持装置を動かし続ける位はできますし。
魔力の高い方なら、十分間充填すれば、一分間シャトルポッドを動かすこと位はできるでしょう」
十分間充填して一分間。それも、シャトルポッドを動かせる程度なのか。
「そうなると宇宙船は無理ですよね?」
「宇宙船の生命維持装置を動かし続けるのは無理ですね。そうなった場合は、シャトルポッドに退避する必要があります」
「宇宙船を動かすなんてことは……」
「そうですね。何十年間か充填し続ければ動くかもしれませんね。
実際、遭難した旅客船を、乗客乗員数千名で協力して動かして助かった事例があります」
「わかりました。ありがとうございます」
俺がとんでもないことがよく理解できた。
0
お気に入りに追加
37
あなたにおすすめの小説
転生してテイマーになった僕の異世界冒険譚
ノデミチ
ファンタジー
田中六朗、18歳。
原因不明の発熱が続き、ほぼ寝たきりの生活。結果死亡。
気が付けば異世界。10歳の少年に!
女神が現れ話を聞くと、六朗は本来、この異世界ルーセリアに生まれるはずが、間違えて地球に生まれてしまったとの事。莫大な魔力を持ったが為に、地球では使う事が出来ず魔力過多で燃え尽きてしまったらしい。
お詫びの転生ということで、病気にならないチートな身体と莫大な魔力を授かり、「この世界では思う存分人生を楽しんでください」と。
寝たきりだった六朗は、ライトノベルやゲームが大好き。今、自分がその世界にいる!
勇者? 王様? 何になる? ライトノベルで好きだった「魔物使い=モンスターテイマー」をやってみよう!
六朗=ロックと名乗り、チートな身体と莫大な魔力で異世界を自由に生きる!
カクヨムでも公開しました。
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福無双。〜メシ作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜
西園寺わかば🌱
ファンタジー
伯爵家の当主と側室の子であるリアムは転生者である。
転生した時に、目立たないから大丈夫と貰ったスキルが、転生して直後、ひょんなことから1番知られてはいけない人にバレてしまう。
- 週間最高ランキング:総合297位
- ゲス要素があります。
- この話はフィクションです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
雪月夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)
音爽(ネソウ)
ファンタジー
記憶持ち転生者は元定食屋の息子。
魔法ありファンタジー異世界に転生した。彼は将軍を父に持つエリートの公爵家の嫡男に生まれかわる。
だが授かった職業スキルが「パンツもぐもぐ」という謎ゴミスキルだった。そんな彼に聖騎士の弟以外家族は冷たい。
見習い騎士にさえなれそうもない長男レオニードは廃嫡後は冒険者として生き抜く決意をする。
「ゴミスキルでも美味しい物を狩れれば満足だ」そんな彼は前世の料理で敵味方の胃袋を掴んで魅了しまくるグルメギャグ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる