21 / 167
第一部 ライセンス取得編
第21話 その頃チハルは、バイト中
しおりを挟む
私の名前はチハル。宇宙船ハルクシリーズ専用のアシスタントアンドロイドだ。
今日は、新しくできたキャプテンを宇宙船のライセンス講習会場まで送った後、今まで勤めていたアルバイト先のピットに来ていた。
「おはようございます」
「おはよう。あれ、チハルちゃんは新しいご主人様ができて、アルバイトを辞めたんじゃないの?」
「ご主人様違う、キャプテン」
「ああ、そのキャプテンはどうしたの?」
「キャプテンはライセンス講習中、暇なので手伝いに来た」
「そうなの。チハルちゃんは、計算が早くて正確だから助かるわ」
私は日常的に行ってきた伝票の集計を始める。
「それで、新しいキャプテンはどう?」
「キャプテンは優しい」
「そう。それはよかったわね」
「昨日はジョジョの店で焼く肉を食べた」
「そうなの。それはキャプテンは大盤振舞いしたわね。美味しかった?」
「肉がとろけるようだった。あれは、肉であって肉でない。普段食べている肉とは明らかに別物」
「そう、それほどだったの。私も一度でいいから食べてみたいわ」
「絶対に行くべき、後悔はしない」
「ところで昨日はどこに泊まったの?」
「お勧めのホテルに泊まった」
「お勧めって、私が勧めた所?」
「そう。夢のような世界だった」
「キャプテンは随分と手が早いのね。でも、夢のような世界だったのならよかったわね」
「よかった。また行きたい」
「そう、もういけるようになったの。キャプテンはテクニシャンなのね」
「おい、誰か来てるのか? ってチハルが来てたのか。何を話してたんだ」
話し声が煩かっただろうか、奥からドノバンさんがやって来た。
「女の子同士の秘密の話よね」
「誰が女の子だって?」
「私が女の子ですが何か?」
「いや、なんでもない。それよりチハルはなんでここにいるんだ?」
「キャプテンがライセンス講習中、暇なので来た」
「そうか、返品されたのでなければいいんだ」
「キャプテンは返品しない」
「そうよね。やり捨てなんてあり得ないわよね。もしそんなことになったら私に言いなさい。とっちめてやるから」
「心配ない。そんなことにはならない」
「まあ、あいつなら大丈夫だろうがな。常識がないみたいだから、チハルがよく面倒をみるんだぞ」
「わかってる」
「チハルちゃんは、しっかりしてるものね」
話しながらも私は計算を進める。
「終わった」
「相変わらず早いわね」
「なんだ、仕事もしてくれたのか。助かるよ。暇な時はいつでも来てくれ」
そう言って、私の頭を撫でると、ドノバンさんは奥に戻って行った。
「さて、チハルちゃんのおかげで、今日の仕事は終わったし、今日も一緒にデイトレする?」
「する」
私は仕事を早く終わらせて空いた時間に、アルバイトで稼いだお金でデイトレードを行っていた。株式投資による資産運用だ。
私は数秒のうちにスキャルピングを繰り返し、確実に利益を上げていく。
「相変わらず、チハルちゃんの判断は的確ね。感情的に流されないのがいいのかしら?」
「損切りを素早くするのが大負けしないコツ」
「それはわかってるんだけどね。なかなかできないのよ」
「流れに乗れば負けはない!」
「その流れを掴むのが難しいのよ」
既に、デイトレードを始めて三ヶ月近くなるが、利益が上がるたびに、一度の投資額を増やしていき、今では、一度に数億Gの投資を行っている。
負けた時の損失も大きいが、勝った時の利益も大きい。
今では総資産は百億Gを超えている。
「でも、そんだけ稼げれば、アシスタントをやる必要はないんじゃない?」
「そんなことない。キャプテンのアシスタントをすることが私の幸せ」
「まあ、なんて健気な娘なのかしら」
結局今日も数億Gの利益を上げ、アルバイトを終えた。
「キャプテンを迎えに行く」
「お疲れ様。今夜も頑張ってね」
「ん。頑張る。それじゃあ」
私はアルバイト先のピットを出て、ライセンス講習会場に向かった。
今日は、新しくできたキャプテンを宇宙船のライセンス講習会場まで送った後、今まで勤めていたアルバイト先のピットに来ていた。
「おはようございます」
「おはよう。あれ、チハルちゃんは新しいご主人様ができて、アルバイトを辞めたんじゃないの?」
「ご主人様違う、キャプテン」
「ああ、そのキャプテンはどうしたの?」
「キャプテンはライセンス講習中、暇なので手伝いに来た」
「そうなの。チハルちゃんは、計算が早くて正確だから助かるわ」
私は日常的に行ってきた伝票の集計を始める。
「それで、新しいキャプテンはどう?」
「キャプテンは優しい」
「そう。それはよかったわね」
「昨日はジョジョの店で焼く肉を食べた」
「そうなの。それはキャプテンは大盤振舞いしたわね。美味しかった?」
「肉がとろけるようだった。あれは、肉であって肉でない。普段食べている肉とは明らかに別物」
「そう、それほどだったの。私も一度でいいから食べてみたいわ」
「絶対に行くべき、後悔はしない」
「ところで昨日はどこに泊まったの?」
「お勧めのホテルに泊まった」
「お勧めって、私が勧めた所?」
「そう。夢のような世界だった」
「キャプテンは随分と手が早いのね。でも、夢のような世界だったのならよかったわね」
「よかった。また行きたい」
「そう、もういけるようになったの。キャプテンはテクニシャンなのね」
「おい、誰か来てるのか? ってチハルが来てたのか。何を話してたんだ」
話し声が煩かっただろうか、奥からドノバンさんがやって来た。
「女の子同士の秘密の話よね」
「誰が女の子だって?」
「私が女の子ですが何か?」
「いや、なんでもない。それよりチハルはなんでここにいるんだ?」
「キャプテンがライセンス講習中、暇なので来た」
「そうか、返品されたのでなければいいんだ」
「キャプテンは返品しない」
「そうよね。やり捨てなんてあり得ないわよね。もしそんなことになったら私に言いなさい。とっちめてやるから」
「心配ない。そんなことにはならない」
「まあ、あいつなら大丈夫だろうがな。常識がないみたいだから、チハルがよく面倒をみるんだぞ」
「わかってる」
「チハルちゃんは、しっかりしてるものね」
話しながらも私は計算を進める。
「終わった」
「相変わらず早いわね」
「なんだ、仕事もしてくれたのか。助かるよ。暇な時はいつでも来てくれ」
そう言って、私の頭を撫でると、ドノバンさんは奥に戻って行った。
「さて、チハルちゃんのおかげで、今日の仕事は終わったし、今日も一緒にデイトレする?」
「する」
私は仕事を早く終わらせて空いた時間に、アルバイトで稼いだお金でデイトレードを行っていた。株式投資による資産運用だ。
私は数秒のうちにスキャルピングを繰り返し、確実に利益を上げていく。
「相変わらず、チハルちゃんの判断は的確ね。感情的に流されないのがいいのかしら?」
「損切りを素早くするのが大負けしないコツ」
「それはわかってるんだけどね。なかなかできないのよ」
「流れに乗れば負けはない!」
「その流れを掴むのが難しいのよ」
既に、デイトレードを始めて三ヶ月近くなるが、利益が上がるたびに、一度の投資額を増やしていき、今では、一度に数億Gの投資を行っている。
負けた時の損失も大きいが、勝った時の利益も大きい。
今では総資産は百億Gを超えている。
「でも、そんだけ稼げれば、アシスタントをやる必要はないんじゃない?」
「そんなことない。キャプテンのアシスタントをすることが私の幸せ」
「まあ、なんて健気な娘なのかしら」
結局今日も数億Gの利益を上げ、アルバイトを終えた。
「キャプテンを迎えに行く」
「お疲れ様。今夜も頑張ってね」
「ん。頑張る。それじゃあ」
私はアルバイト先のピットを出て、ライセンス講習会場に向かった。
0
お気に入りに追加
37
あなたにおすすめの小説
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。

憧れのテイマーになれたけど、何で神獣ばっかりなの⁉
陣ノ内猫子
ファンタジー
神様の使い魔を助けて死んでしまった主人公。
お詫びにと、ずっとなりたいと思っていたテイマーとなって、憧れの異世界へ行けることに。
チートな力と装備を神様からもらって、助けた使い魔を連れ、いざ異世界へGO!
ーーーーーーーーー
これはボクっ子女子が織りなす、チートな冒険物語です。
ご都合主義、あるかもしれません。
一話一話が短いです。
週一回を目標に投稿したと思います。
面白い、続きが読みたいと思って頂けたら幸いです。
誤字脱字があれば教えてください。すぐに修正します。
感想を頂けると嬉しいです。(返事ができないこともあるかもしれません)

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
雪月夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】

世界最強で始める異世界生活〜最強とは頼んだけど、災害レベルまでとは言ってない!〜
ワキヤク
ファンタジー
その日、春埼暁人は死んだ。トラックに轢かれかけた子供を庇ったのが原因だった。
そんな彼の自己犠牲精神は世界を創造し、見守る『創造神』の心を動かす。
創造神の力で剣と魔法の世界へと転生を果たした暁人。本人の『願い』と創造神の『粋な計らい』の影響で凄まじい力を手にしたが、彼の力は世界を救うどころか世界を滅ぼしかねないものだった。
普通に歩いても地割れが起き、彼が戦おうものなら瞬く間にその場所は更地と化す。
魔法もスキルも無効化吸収し、自分のものにもできる。
まさしく『最強』としての力を得た暁人だが、等の本人からすれば手に余る力だった。
制御の難しいその力のせいで、文字通り『歩く災害』となった暁人。彼は平穏な異世界生活を送ることができるのか……。
これは、やがてその世界で最強の英雄と呼ばれる男の物語。

異世界製作 〜転生しようと思ったら異世界作る側だった〜
寝占 羊
ファンタジー
死後、転生小説やアニメの皆のように、
「最弱モンスターに転生したはずが…?」
だとか、
「元々最強の力を持って転生…!」
だとか、
そんな世界を望んで転生!
と思ったら…
"異世界に転生する者"
ではなく、その者達の為の
"異世界を作製する者"
でした…?
記憶障害により、生前の事もはっきり思い出せない主人公、地大創夢(じだいそうむ)は、
その"異世界作製"の使命だけに従い、
気楽に(?)異世界を作っていきます。
うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。
[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~
k33
ファンタジー
初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?
魔境へ追放された公爵令息のチート領地開拓 〜動く屋敷でもふもふ達とスローライフ!〜
西園寺わかば
ファンタジー
公爵家に生まれたエリクは転生者である。
4歳の頃、前世の記憶が戻って以降、知識無双していた彼は気づいたら不自由極まりない生活を送るようになっていた。
そんな彼はある日、追放される。
「よっし。やっと追放だ。」
自由を手に入れたぶっ飛んび少年エリクが、ドラゴンやフェンリルたちと気ままに旅先を決めるという物語。
- この話はフィクションです。
- カクヨム様でも連載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる