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第二章
第70話 リココは特別
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そうだ、元家庭教師で新任講師のニコラスが、エルフ原理主義同盟に連れ去られたままだった。
ということで、面倒臭い父と王女のことは弟のレオンに任せて、サッサと助けに行こう。
「シリー、今度はニコラスを助けにいくわよ。転移をお願い」
「畏まりました。どちらに転移しますか」
「転移先はそうね。取り敢えず乗っていた馬車の所までお願い」
「エリー。俺も連れて行け」
「はい、はい、わかりましたから。抱き付かないでくださいね」
「では、ケニー様も一緒に」
『転移』
私たちは、創世の迷宮に行くために乗っていた馬車の前に転移した。
「あ、王女が乗っていた馬車と、帝国の襲撃者が乗っていた馬と馬車をこのままにするのはまずいわね」
「公爵家の屋敷に転移いたしますか」
「うーん。流石にこの数の馬車と馬を転移すると目立つわね。というか、これ全部私の所有物?」
馬車だけで、王女が乗っていたものを合わせると六台もある。それの五倍以上いる馬たち。
「お嬢様の所有物が所有しているものですね。好きな場所に転移できますが、どうしますか」
「そうね、でも適当な場所も思いつかないわ。取り敢えず収納しておきましょう。悪いけどリココを連れてきてくれる」
「畏まりました」
シリーがリココを迎えに転移していった。
「馬車は収納すればいいとして、馬はどうするんだ」
「え、馬も収納しておくつもりだけれど?」
「何言ってるんだ、生き物は収納できないだろう」
ケニーは、お前知らないのかよ、といった口振りだ。ふふーん。まあ、見てなさい。
「お待たせしました。イライザお嬢様」
「リココ、行ったり来たり悪いわね。早速だけれど、ここの馬車と馬を収納しておいてもらえるかしら。あ、この馬車は今から使うから残しておいてね」
「わかりました。では」
『収納』
馬車と馬が一気に消え去る。
「ありがとう、リココ。後は屋敷でゆっくり休んでいて頂戴」
「私もご一緒しますが」
「いいのよ。攫われたばかりで、まだ気持ちが落ちつかないでしょ」
「では、お言葉に甘えさせていただきます」
「そうしておいて。シリー、度々悪いけどリココを屋敷に戻して」
「畏まりました」
ここで私は、茫然自失なケニーにドヤ顔を向ける。
「うちのリココは特別なのよ」
ケニーが我にかえる。
「ちょっと待て、馬のこともそうだが、何故、手で触れもしないのに収納できる。おかしいだろう」
普通、収納魔法は手で触れた物を収納する。リココは思っただけで収納が可能だ。これはリココの収納が、実はただの魔法でなく、女神の加護によるものだからだ。普通は収納できない生物を収納できるのもそのためだ。
リココの収納は、収納中は時間が止まっているので、生物を収納したも中で餓死するようなこともない。
私の指環に付与してある収納は、リココの収納の劣化版だ。女神の加護の部分が完全にはコピーできていない。馬車みたいな大きなものは収納できないし、収納量も無限ではない。もちろん、生物も収納できない。
「だから言ったでしょ。うちのリココは特別なのよ」
ということで、面倒臭い父と王女のことは弟のレオンに任せて、サッサと助けに行こう。
「シリー、今度はニコラスを助けにいくわよ。転移をお願い」
「畏まりました。どちらに転移しますか」
「転移先はそうね。取り敢えず乗っていた馬車の所までお願い」
「エリー。俺も連れて行け」
「はい、はい、わかりましたから。抱き付かないでくださいね」
「では、ケニー様も一緒に」
『転移』
私たちは、創世の迷宮に行くために乗っていた馬車の前に転移した。
「あ、王女が乗っていた馬車と、帝国の襲撃者が乗っていた馬と馬車をこのままにするのはまずいわね」
「公爵家の屋敷に転移いたしますか」
「うーん。流石にこの数の馬車と馬を転移すると目立つわね。というか、これ全部私の所有物?」
馬車だけで、王女が乗っていたものを合わせると六台もある。それの五倍以上いる馬たち。
「お嬢様の所有物が所有しているものですね。好きな場所に転移できますが、どうしますか」
「そうね、でも適当な場所も思いつかないわ。取り敢えず収納しておきましょう。悪いけどリココを連れてきてくれる」
「畏まりました」
シリーがリココを迎えに転移していった。
「馬車は収納すればいいとして、馬はどうするんだ」
「え、馬も収納しておくつもりだけれど?」
「何言ってるんだ、生き物は収納できないだろう」
ケニーは、お前知らないのかよ、といった口振りだ。ふふーん。まあ、見てなさい。
「お待たせしました。イライザお嬢様」
「リココ、行ったり来たり悪いわね。早速だけれど、ここの馬車と馬を収納しておいてもらえるかしら。あ、この馬車は今から使うから残しておいてね」
「わかりました。では」
『収納』
馬車と馬が一気に消え去る。
「ありがとう、リココ。後は屋敷でゆっくり休んでいて頂戴」
「私もご一緒しますが」
「いいのよ。攫われたばかりで、まだ気持ちが落ちつかないでしょ」
「では、お言葉に甘えさせていただきます」
「そうしておいて。シリー、度々悪いけどリココを屋敷に戻して」
「畏まりました」
ここで私は、茫然自失なケニーにドヤ顔を向ける。
「うちのリココは特別なのよ」
ケニーが我にかえる。
「ちょっと待て、馬のこともそうだが、何故、手で触れもしないのに収納できる。おかしいだろう」
普通、収納魔法は手で触れた物を収納する。リココは思っただけで収納が可能だ。これはリココの収納が、実はただの魔法でなく、女神の加護によるものだからだ。普通は収納できない生物を収納できるのもそのためだ。
リココの収納は、収納中は時間が止まっているので、生物を収納したも中で餓死するようなこともない。
私の指環に付与してある収納は、リココの収納の劣化版だ。女神の加護の部分が完全にはコピーできていない。馬車みたいな大きなものは収納できないし、収納量も無限ではない。もちろん、生物も収納できない。
「だから言ったでしょ。うちのリココは特別なのよ」
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