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第一章
第7話 エンディング鑑定1年目 6歳
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洗礼を受けて1年、私は6歳になった。
この1年間、鑑定に必要なMPが溜まるのを待つ間、地道にエンジェルポイントを集めていた。
しかし成果は余り芳しくない。
とりあえず、顔を合わせただけで怯えられることは少なくなり、人との会話も成立するようになってきた。
しかし、屋敷の中で手伝いをしようとすれば、「お嬢様がそんなことをしてはいけません」と使用人たちに止められ、街に出ても幼女に出来る仕事など無いに等しい。
そんな中で、数少ないエンジェルポイント獲得の機会が教会での奉仕活動である。
教会の掃除や孤児院での小さい子の世話、時々は怖がられることも有るけど、それでも、少しずつであるが着実にポイントが増えていった。
それにしても、魔眼の効果は抑えられているはずなのに、なぜ怖がられるのだろう。見た目が怖いのか、そうなのか、目だけに。
冗談はさておき、他に問題がないわけではなかった。いや、むしろ大きな問題があった。
いたのである。そう、攻略対象者の一人『ラン=マホン』が。
この頃の彼は孤児の一人に過ぎなかった。そう、洗礼の時に会った男の子である。ゲーム上は枢機卿の孫となっているから、何れかの時点で養子にでもなるのだろう。もしかするとそれが、学院入学時に私が掴んでいる秘密なのかもしれない。
兎に角、この子の性格が悪すぎる。陰険、根暗、S気質。それでいて大人には媚を売る。猫被りである。
神と話しが出来ると言い張るから、せっせと溜めている貴重なMPを消費して鑑定してみた。その結果、彼が攻略対象キャラだと判明、魔法も『神託』を覚えていた。しかもこれ、支援系魔法なのだって。支援をする魔法でなく、支援を受ける魔法ってそれ有りなのかな。それに防御支援も覚えているみたいで、それで初めて会った時も魔眼に怯えず普通にしていたみたい。
この信託だけれど、色々厄介そうである。こちらが転生者だってことがばれていた。神様、勝手に個人情報を広めないで下さい。
ということで、彼とはできる限り関わらないことにした。
エンジェルポイントはさておき、MPは順調に自然回復した。
シリーとも相談した結果、余りMPを溜め込み過ぎるのも、周囲に影響が出る可能性が有るかもしれないので、一年ごとにエンディングの鑑定を行うことにした。
うん、分かっていた、悪役令嬢の最後なんてこんなもんだよね。
1年間溜め込んだMPで、エンディング時に私が置かれている状態を、鑑定することが8回できた。
どれも悲惨な状態で、もう開き直って諦めたくなる。8分の7で死亡である。生き残って場合も真っ暗闇の中に監禁状態、これ駄目だよね。
転生するときシリーに、刺されて死なないようにしてもらったはずだが、死亡理由に刺殺が2件有った。シリーに確かめたところ、神同士の加護がぶつかった場合、与えた神の階級が高い方が勝つそうで、この世界を作った神はシリーより階級が上らしく、イベント強制力の方が強いようだ。
その際シリーが「本当なら私の方が……」とぶつくさ言っていたが聞かなかったことにしておいた。シリー使えない娘。
こうなってくると残りも期待薄である。エンジェルポイントは兎も角、まず生き延びることを考える必要がありそうだ。
今回鑑定したのは、第一王子、第二王子、騎士団長の息子、枢機卿の孫、それぞれのエンディング二パターンずつ。
第一王子ハッピーエンド、ヒロインが第一王子と結ばれた場合。悪役令嬢は第二王子と一緒にギロチン台だった。つまり死亡。
第一王子バッドエンド、ヒロインが第一王子と結ばれなかった場合。悪役令嬢は何故か第一王子の妃となっていてハッピーエンドかと思いきや、精神に異常をきたし自殺、よほど強いストレスを受けたのだろう。これも死亡。
第二王子ハッピーエンド。悪役令嬢は縛り首にされていた。理由はヒロインへの殺人未遂。死亡。
第二王子バッドエンド。悪役令嬢は第二王子の妃となるも、側室の嫉妬により刺されて死亡。
騎士団長の息子ハッピーエンド。悪役令嬢は騎士団長の息子に切られて死亡。
騎士団長の息子バッドエンド。悪役令嬢は騎士団長の息子と迷宮に潜り、魔物に襲われ死亡。
枢機卿の孫ハッピーエンド。悪役令嬢の能力を恐れた教会により、どこか地下奥深く光の届かないところに監禁される。
枢機卿の孫バッドエンド。悪役令嬢は狂信的信者となったヒロインに刺されて死亡。
鑑定結果は散々だったが、その一方で、ヒロイン探しは思ったより順調だ。
父に聞いてみたら、ランドレースの家名も持つ娘が見つかった。王都に有るランドレース商会の会頭の孫娘だそうだ。まだヒロインであるかの確定は取れてないが、王都に行く機会が有れば鑑定で確認してみる予定だ。
父に、何でそんなことを聞くのか不審がられたが、予め用意していた言い訳「孤児院の子供たちが、ランドレースという名の女の子を見ると幸せになれると噂していた」でごまかした。ただ、あれは納得していない様子であった。今のところ追及されてはいないので、このまま見逃してくれることを願うばかりであった。
この1年間、鑑定に必要なMPが溜まるのを待つ間、地道にエンジェルポイントを集めていた。
しかし成果は余り芳しくない。
とりあえず、顔を合わせただけで怯えられることは少なくなり、人との会話も成立するようになってきた。
しかし、屋敷の中で手伝いをしようとすれば、「お嬢様がそんなことをしてはいけません」と使用人たちに止められ、街に出ても幼女に出来る仕事など無いに等しい。
そんな中で、数少ないエンジェルポイント獲得の機会が教会での奉仕活動である。
教会の掃除や孤児院での小さい子の世話、時々は怖がられることも有るけど、それでも、少しずつであるが着実にポイントが増えていった。
それにしても、魔眼の効果は抑えられているはずなのに、なぜ怖がられるのだろう。見た目が怖いのか、そうなのか、目だけに。
冗談はさておき、他に問題がないわけではなかった。いや、むしろ大きな問題があった。
いたのである。そう、攻略対象者の一人『ラン=マホン』が。
この頃の彼は孤児の一人に過ぎなかった。そう、洗礼の時に会った男の子である。ゲーム上は枢機卿の孫となっているから、何れかの時点で養子にでもなるのだろう。もしかするとそれが、学院入学時に私が掴んでいる秘密なのかもしれない。
兎に角、この子の性格が悪すぎる。陰険、根暗、S気質。それでいて大人には媚を売る。猫被りである。
神と話しが出来ると言い張るから、せっせと溜めている貴重なMPを消費して鑑定してみた。その結果、彼が攻略対象キャラだと判明、魔法も『神託』を覚えていた。しかもこれ、支援系魔法なのだって。支援をする魔法でなく、支援を受ける魔法ってそれ有りなのかな。それに防御支援も覚えているみたいで、それで初めて会った時も魔眼に怯えず普通にしていたみたい。
この信託だけれど、色々厄介そうである。こちらが転生者だってことがばれていた。神様、勝手に個人情報を広めないで下さい。
ということで、彼とはできる限り関わらないことにした。
エンジェルポイントはさておき、MPは順調に自然回復した。
シリーとも相談した結果、余りMPを溜め込み過ぎるのも、周囲に影響が出る可能性が有るかもしれないので、一年ごとにエンディングの鑑定を行うことにした。
うん、分かっていた、悪役令嬢の最後なんてこんなもんだよね。
1年間溜め込んだMPで、エンディング時に私が置かれている状態を、鑑定することが8回できた。
どれも悲惨な状態で、もう開き直って諦めたくなる。8分の7で死亡である。生き残って場合も真っ暗闇の中に監禁状態、これ駄目だよね。
転生するときシリーに、刺されて死なないようにしてもらったはずだが、死亡理由に刺殺が2件有った。シリーに確かめたところ、神同士の加護がぶつかった場合、与えた神の階級が高い方が勝つそうで、この世界を作った神はシリーより階級が上らしく、イベント強制力の方が強いようだ。
その際シリーが「本当なら私の方が……」とぶつくさ言っていたが聞かなかったことにしておいた。シリー使えない娘。
こうなってくると残りも期待薄である。エンジェルポイントは兎も角、まず生き延びることを考える必要がありそうだ。
今回鑑定したのは、第一王子、第二王子、騎士団長の息子、枢機卿の孫、それぞれのエンディング二パターンずつ。
第一王子ハッピーエンド、ヒロインが第一王子と結ばれた場合。悪役令嬢は第二王子と一緒にギロチン台だった。つまり死亡。
第一王子バッドエンド、ヒロインが第一王子と結ばれなかった場合。悪役令嬢は何故か第一王子の妃となっていてハッピーエンドかと思いきや、精神に異常をきたし自殺、よほど強いストレスを受けたのだろう。これも死亡。
第二王子ハッピーエンド。悪役令嬢は縛り首にされていた。理由はヒロインへの殺人未遂。死亡。
第二王子バッドエンド。悪役令嬢は第二王子の妃となるも、側室の嫉妬により刺されて死亡。
騎士団長の息子ハッピーエンド。悪役令嬢は騎士団長の息子に切られて死亡。
騎士団長の息子バッドエンド。悪役令嬢は騎士団長の息子と迷宮に潜り、魔物に襲われ死亡。
枢機卿の孫ハッピーエンド。悪役令嬢の能力を恐れた教会により、どこか地下奥深く光の届かないところに監禁される。
枢機卿の孫バッドエンド。悪役令嬢は狂信的信者となったヒロインに刺されて死亡。
鑑定結果は散々だったが、その一方で、ヒロイン探しは思ったより順調だ。
父に聞いてみたら、ランドレースの家名も持つ娘が見つかった。王都に有るランドレース商会の会頭の孫娘だそうだ。まだヒロインであるかの確定は取れてないが、王都に行く機会が有れば鑑定で確認してみる予定だ。
父に、何でそんなことを聞くのか不審がられたが、予め用意していた言い訳「孤児院の子供たちが、ランドレースという名の女の子を見ると幸せになれると噂していた」でごまかした。ただ、あれは納得していない様子であった。今のところ追及されてはいないので、このまま見逃してくれることを願うばかりであった。
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