転生幼女が魔法無双で素材を集めて物作り&ほのぼの天気予報ライフ 「あたし『お天気キャスター』になるの! 願ったのは『大魔術師』じゃないの!」

なつきコイン

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二年目、六歳

第101話 杖なの。

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 レイニィ達は世界樹の天辺にある十六本の木から、杖の材料となる枝を採取し終えた。

「やっと取り終わったの」
「レイニィ様は二本目以降うわの空だったじゃないですか」

「あははは、ごめんなさいなの」
「しかし、本当に色々だな。どうせなら、これ全部を一本の杖にまとめられればいいんだろうけど――」

「本当なの。そうしたら最強の杖になるの」
「天使のスノウィならできるんじゃないか?」

 アイスはレイニィと軽口を叩きながら、軽い気持ちでスノウィに振ってみた。

「そんなことできる訳ないでしょう」
「いや、スノウィ。天使の力があればできるかもしれない。試しにやってみたらいいわ」

 スノウィは無理だと思ったが、エルダに可能性があるから試してみろと言われてしまう。

「そうですか、エルダ様がそう言うならやってみますが……」
「スノウィ頑張ってなの!」

「レイニィ様、わかりました。頑張ります!」

 スノウィは乗り気ではなかったが、レイニィに応援されて、本気を出すことにした。

 レイニィは、一旦神の封筒にしまってあった十六種類の枝を、一本づつ取り出し揃えてスノウィの前に並べた。

「それではいきます!」

 準備ができるとスノウィは気合を入れる。

『十六新木合体!』

 十六本の枝が光に包まれて一つになっていく。そして一本の杖に形を変える。

「おお!」
「やりましたレイニィ様!」
「凄いの。流石スノウィなの」
「本当にできるとは、天使の力はすごいな」

「レイニィ様、これをどうぞ」
「ありがとうスノウィ」

 スノウィは出来上がった杖を手に取るとレイニィに渡す。

 レイニィは世界最強の杖を手に入れたのだった。

 目的を達成したレイニィ達は、登る時に使った昇降機に乗り地上に降りた。

 降りたところには牧師が待っていて、降り立ったレイニィに祈りを捧げていた。

「おお、神が天使を連れて御降臨あそばされました!」
「降臨って、戻ってきただけなの」

「あれ、牧師さんには天使だとわかっちゃうんですね?」
「スノウィ、天使の輪と羽が出てれば誰でもわかるぞ」

「あれ、いつの間に?!」

 スノウィは、下りの昇降機の制動力に耐えるため、勝手に天使モードになっていた。
 負荷がかかると自動で天使の力が発動するようだ。

 その後、牧師のもてなしを受けた後、レイニィは教会を後にした。

 フリージィが用意していた宿に戻ると、フリージィは仕事でいなかったが、部屋はいつ戻ってもいいように用意されていたので、そこで休むことにした。

 夕方になるとフリージィが戻ってきた。

「レイニィ様、随分と早いお戻りでしたね。目的は達成されましたか?」
「無事、杖を手に入れたの。これも世界樹の島まで連れて来てくれたフリージィのお陰なの」

 レイニィはお礼を言って、杖をフリージィに見せる。

「そんな、畏れ入ります。レイニィ様のためなら、例え地の果てであろうとお連れします。ところで、これは何の木ですか。見たことがないのですが」
「これは、世界樹の天辺にあった十六本の木を合体させた物なの」

「世界樹の天辺まで行かれたのですか? ということは、これは新木の杖なのですか――。正に神であるレイニィ様に相応しい杖なのですね」

 普通の人が行けない世界樹の天辺に生えている木は「新木」と呼ばれ、大変貴重な物で、普通には流通しておらず、幻の木とか伝説の木などと呼ばれている。

 そんなこともあり、フリージィの信仰心がまた一段上がったのだった。

 その後、レイニィ達はフリージィの用事が済むまでの十日間、ゆっくり観光することとなった。

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