転生幼女が魔法無双で素材を集めて物作り&ほのぼの天気予報ライフ 「あたし『お天気キャスター』になるの! 願ったのは『大魔術師』じゃないの!」

なつきコイン

文字の大きさ
上 下
70 / 104
二年目、六歳

第70話 パーティーなの。

しおりを挟む
 城塞都市セットに着いたレイニィ達を待っていたのは、領主による歓迎会であった。
 一旦部屋に案内され、そこに荷物を置いたレイニィはホールに案内された。
 そこには立食によるパーティーの用意がされていた。

「ようこそ城塞都市セットに、我が領主のヘイズ キャッスル セットだ。僅かばかりではあるが、ゆっくり楽しんでくれ」

 ヘイズはガタイのいい大男であった。

「わざわざ、こんな豪華な歓迎会で出迎えていただき感謝申し上げます。国主の娘のサニィ キャピタル シャインですわ」
「港町ライズのレイニィ ポート ライズなの。歓迎に感謝なの」

「サニィ嬢にレイニィ嬢、失礼だがおいくつかな?」
「私は八歳になりますわ」
「あたしは六歳になったの」

「そうか。我の娘も今年五歳になってな。よかったら仲良くしてもらえるとありがたい。あーと。あそこにいるのが娘だ。ウォーミィ。ちょっと来てくれ」

 呼ばれてやって来たのは、少し肌の浅黒い母娘であった。

「あなた、大声で人を呼ぶなんて、こんな会場ではみっともないですよ」
「お前は呼んでないんだがな。まあいい。妻のリリスだ。それで、こっちが娘のウォーミィだ」

「リリスです。主人がガサツ者ですみませんね。ほら、ウォーミィ自己紹介なさい」
「ウォーミィです」
「サニィですわ」
「レイニィなの」

「ガサツ者は酷いではないか。まあでもそうだな。後は子供達同士で仲良くしてくれ。ガサツ者は引っ込むとしよう。お前もいくぞ」
「それでは、サニィさん。レイニィさん。ウォーミィのことよろしくね」
「え!お父さま、お母さま」

 子供達三人を残して、大人の二人は他の人の所に行ってしまった。

「ウォーミィもリリス様も肌が黒いのね?」
「健康的で魅力的なの」
「ありがとうございます。お母さまは砂漠の民だったんです。砂漠の民は肌が浅黒いんですよ」

「あれ、砂漠の民とは敵対しているのではないの?」
「砂漠の民といっても、一つではないんです。様々な部族がいて、友好的な部族もいれば、敵対的な部族もいるんです。お母さまは友好的な部族の族長の娘で、交渉に来たお父さまが一目惚れしたそうです」
「なるほど、砂漠の民にも色々いるなんて知らなかったの」

「ウォーミィは五歳になったところのなのよね。職(ジョブ)はもう授かったのかしら?
 私はね。将来、女王様になりたいの。レイニィは大魔術師だって。あなたは何になりたいの?」
「私はお父さまの様な、守護者(ガーディアン)になりたいです」

「そうなの。守護者か。ならウォーミィを護衛として私が雇ってあげる。臣下第二号よ。私のことはサニィお姉様と呼んでいいわよ」
「臣下? サニィお姉様?」

「わたしが臣下第一号なの」
「レイニィお姉様が?」

「わたしは別にお姉様と付けなくていいの」
「そうですか?」

「ところでウォーミィ、ライチョウの巣ってどこにあるかしら?」
「ライチョウの巣ですか。ライチョウでしたら北の絶壁の上にいるらしいですから、巣もそこにあると思いますが――」

「そこへ行けるかしら?」
「それは無理です。あの絶壁は大人でも登るのは難しいですから」

「そうなの……」

 サニィはそのまま考え込んでしまった。

「サニィお姉様はライチョウの巣が見たいの?」
「ええ、まあ――」

「だったら、私たち三人でパーティーを組んで行くのがいいの」
「パーティー? 三人でパーティーをするの?」

「今やっているパーティーではなくて、一緒に冒険する仲間のことをパーティーと呼ぶの」
「冒険をする仲間ですか?」

「相変わらずレイニィは博識ね」
「それで、私たち三人でパーティーを組めば、剣を習っているサニィお姉様が前衛の攻撃役。守護者のウォーミィさんが守りの盾役。そして、わたしが魔法を使った遠距離攻撃と支援役で、丁度バランスがいいの」

「なるほど、それはいいわね。それで冒険に行くのね!」
「守りの盾役ですか……」

 今度はウォーミィが考え込んでしまった。

「それでは明日、このパーティーでライチョウの巣を見つけに行きましょう」
「でも、絶壁を登るのは無理だと思いますよ」
「それについては、わたしに考えがあるの」

 レイニィは不敵な笑みを浮かべるのであった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ハズレ召喚として追放されたボクは、拡大縮小カメラアプリで異世界無双

さこゼロ
ファンタジー
突然、異世界に転生召喚された4人の少年少女たち。儀式を行った者たちに言われるがまま、手に持っていたスマホのアプリを起動させる。 ある者は聖騎士の剣と盾、 ある者は聖女のローブ、 それぞれのスマホからアイテムが出現する。 そんな中、ひとりの少年のスマホには、画面にカメラアプリが起動しただけ。 ハズレ者として追放されたこの少年は、これからどうなるのでしょうか… if分岐の続編として、 「帰還した勇者を護るため、今度は私が転移します!」を公開しています(^^)

異世界王女に転生したけど、貧乏生活から脱出できるのか

片上尚
ファンタジー
海の事故で命を落とした山田陽子は、女神ロミア様に頼まれて魔法がある世界のとある国、ファルメディアの第三王女アリスティアに転生! 悠々自適の贅沢王女生活やイケメン王子との結婚、もしくは現代知識で無双チートを夢見て目覚めてみると、待っていたのは3食草粥生活でした… アリスティアは現代知識を使って自国を豊かにできるのか? 痩せっぽっちの王女様奮闘記。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~

土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。 しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。 そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。 両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。 女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~

ピエール
ファンタジー
おばあちゃん。 異世界転生しちゃいました。 そういえば、孫が「転生するとチートが貰えるんだよ!」と言ってたけど チート無いみたいだけど? おばあちゃんよく分かんないわぁ。 頭は老人 体は子供 乙女ゲームの世界に紛れ込んだ おばあちゃん。 当然、おばあちゃんはここが乙女ゲームの世界だなんて知りません。 訳が分からないながら、一生懸命歩んで行きます。 おばあちゃん奮闘記です。 果たして、おばあちゃんは断罪イベントを回避できるか? [第1章おばあちゃん編]は文章が拙い為読みづらいかもしれません。 第二章 学園編 始まりました。 いよいよゲームスタートです! [1章]はおばあちゃんの語りと生い立ちが多く、あまり話に動きがありません。 話が動き出す[2章]から読んでも意味が分かると思います。 おばあちゃんの転生後の生活に興味が出てきたら一章を読んでみて下さい。(伏線がありますので) 初投稿です 不慣れですが宜しくお願いします。 最初の頃、不慣れで長文が書けませんでした。 申し訳ございません。 少しづつ修正して纏めていこうと思います。

処理中です...