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第一幕 悪役公爵令嬢(闇魔法使い8歳)王宮書庫殺人事件
エピローグ
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子爵一家殺害事件があってから一年が経った。
私は十歳になり、準備期間が終わり本番である学園入学まであと二年だ。
事件の結果を受けて、お父様から、公爵家の養子として学園に通う許しがもらえた。
取り敢えず、私に害をなそうとする勢力は一掃できただろうという判断だ。
今更、実は生きていましたと公表するのも面倒なので、養子ということは続けることとなった。まあ、王宮の関係者はほとんど本当のことを知っているけど。
それと、許しが出たのは、いざという時にサラを召喚できるようなったのも大きい。
ジャックキラーとの戦闘を見れば、メイドとしてだけでなく、護衛としても十分に役に立つことがわかった。
私とリヒトは相変わらず別荘で過ごしているが、闇の門が使えるため王宮にいるニコラスとも月に一度は交流している。
このままいけば、婚約者になるのも時間の問題だろう。
学園入学と婚約者の問題が解決して一見順調そうであるが、問題がないわけではない。
国王陛下から闇の魔導書を渡されて、これで闇魔法を全て覚えて準備万端かと思ったが、魔導書には僕《しもべ》と話せるようになる魔法は載っていなかった。
台本では黒猫と喋っているのに、困った事態である。
そして、最大の問題がヒロインだ。
ヨミの眠りで一命は取り留めたものの、子爵家が取り潰しになってしまったのだ。
なぜ取り潰しになったかというと、子爵家がヒロインを遺して全員死亡してしまったからではない。
逆に、取り潰しの原因は生き残ったヒロインにあった。それは、ヒロインの言動が反逆罪に当たると判断されたからだ。
よせばいいのに、取り調べの最中に、自分はヒロインだとあの時と同じ態度を取ったのだ。
いやぁー、この世界、王族への不敬は反逆罪で、死刑もあるらしい。元近衛隊長が言ったことも決して大袈裟ではなかった。
まあ、ヒロインのというか、ララエルのせいだと思うが、そのせいでイザベラ様は亡くなり、戦争になりかけていたのだから、決して罰が重すぎるわけではないのかも知れない。
今回も、本来なら死刑のところ、ヒロインが未成年ということで、思想矯正施設、じゃなく、人格更生施設、もとい、修道院送りとなった。
ヒロインは死刑を免れたが、亡くなった子爵には保護監督責任があったとして、当然のように子爵家は取り潰しとなった。しかも、除籍である。子爵家など、はなからなかったことにされた。
つまり、ヒロインはたとえ更生して修道院を出ることができたとしても、伯爵位を継ぐことはできず、元貴族だと名乗ってもいけないことになった。それは、貴族が通う学園には入学できないということだ。
しかも、ヒロインは光の魔法属性を無くしてしまった。
これは多分私の闇の魔力のせいだと思うが、生きるか死ぬかの瀬戸際で、そんなことまで気にしていられる状態ではなかった。
光の魔法属性が無くなってしまっては、新たに、他の貴族の養子になることは無理だろう。
もう、ヒロインが学園には入学するのは絶望的だ。
大変困った事態ではあるが、私が解決できるような問題ではない。
ララエルが天界に帰ったのだ、この状況をプロデューサーに知らせて、どうにか対処してくれることだろう。
マネージャーとして、それくらいのことはやって欲しいものである。
「お嬢様、お荷物が届いています」
「サラ、ありがとう、どなたから?」
「それが、知らない名前で、プロデューサーという方なのですが」
「ああ、それなら心当たりがあるわ。荷物を頂戴」
「こちらになります」
私はサラから小包を受け取ると、早速その封を解いた。
「これは……」
中に入っていたのは新たな台本だった。
私は、パラパラとその中身を確認する。
「え? え、えー!」
「どうしました、お嬢様」
送られてきた台本の中身は、学園の地下迷宮に挑戦する、戦闘あり、殺してあり、誘拐あり、陰謀ありのサスペンスものだった。
準備期間の今までも十分にハードだったのに、これからもこれが続くのか?
私は、天にいるであろうプロヂューサーに向かって、大声を上げずにはいられなかった。
「スカウトされた時、学園恋愛ものだと言ってたじゃない! サスペンスものだとは聞いてないんだけど!!」
第一幕 完
私は十歳になり、準備期間が終わり本番である学園入学まであと二年だ。
事件の結果を受けて、お父様から、公爵家の養子として学園に通う許しがもらえた。
取り敢えず、私に害をなそうとする勢力は一掃できただろうという判断だ。
今更、実は生きていましたと公表するのも面倒なので、養子ということは続けることとなった。まあ、王宮の関係者はほとんど本当のことを知っているけど。
それと、許しが出たのは、いざという時にサラを召喚できるようなったのも大きい。
ジャックキラーとの戦闘を見れば、メイドとしてだけでなく、護衛としても十分に役に立つことがわかった。
私とリヒトは相変わらず別荘で過ごしているが、闇の門が使えるため王宮にいるニコラスとも月に一度は交流している。
このままいけば、婚約者になるのも時間の問題だろう。
学園入学と婚約者の問題が解決して一見順調そうであるが、問題がないわけではない。
国王陛下から闇の魔導書を渡されて、これで闇魔法を全て覚えて準備万端かと思ったが、魔導書には僕《しもべ》と話せるようになる魔法は載っていなかった。
台本では黒猫と喋っているのに、困った事態である。
そして、最大の問題がヒロインだ。
ヨミの眠りで一命は取り留めたものの、子爵家が取り潰しになってしまったのだ。
なぜ取り潰しになったかというと、子爵家がヒロインを遺して全員死亡してしまったからではない。
逆に、取り潰しの原因は生き残ったヒロインにあった。それは、ヒロインの言動が反逆罪に当たると判断されたからだ。
よせばいいのに、取り調べの最中に、自分はヒロインだとあの時と同じ態度を取ったのだ。
いやぁー、この世界、王族への不敬は反逆罪で、死刑もあるらしい。元近衛隊長が言ったことも決して大袈裟ではなかった。
まあ、ヒロインのというか、ララエルのせいだと思うが、そのせいでイザベラ様は亡くなり、戦争になりかけていたのだから、決して罰が重すぎるわけではないのかも知れない。
今回も、本来なら死刑のところ、ヒロインが未成年ということで、思想矯正施設、じゃなく、人格更生施設、もとい、修道院送りとなった。
ヒロインは死刑を免れたが、亡くなった子爵には保護監督責任があったとして、当然のように子爵家は取り潰しとなった。しかも、除籍である。子爵家など、はなからなかったことにされた。
つまり、ヒロインはたとえ更生して修道院を出ることができたとしても、伯爵位を継ぐことはできず、元貴族だと名乗ってもいけないことになった。それは、貴族が通う学園には入学できないということだ。
しかも、ヒロインは光の魔法属性を無くしてしまった。
これは多分私の闇の魔力のせいだと思うが、生きるか死ぬかの瀬戸際で、そんなことまで気にしていられる状態ではなかった。
光の魔法属性が無くなってしまっては、新たに、他の貴族の養子になることは無理だろう。
もう、ヒロインが学園には入学するのは絶望的だ。
大変困った事態ではあるが、私が解決できるような問題ではない。
ララエルが天界に帰ったのだ、この状況をプロデューサーに知らせて、どうにか対処してくれることだろう。
マネージャーとして、それくらいのことはやって欲しいものである。
「お嬢様、お荷物が届いています」
「サラ、ありがとう、どなたから?」
「それが、知らない名前で、プロデューサーという方なのですが」
「ああ、それなら心当たりがあるわ。荷物を頂戴」
「こちらになります」
私はサラから小包を受け取ると、早速その封を解いた。
「これは……」
中に入っていたのは新たな台本だった。
私は、パラパラとその中身を確認する。
「え? え、えー!」
「どうしました、お嬢様」
送られてきた台本の中身は、学園の地下迷宮に挑戦する、戦闘あり、殺してあり、誘拐あり、陰謀ありのサスペンスものだった。
準備期間の今までも十分にハードだったのに、これからもこれが続くのか?
私は、天にいるであろうプロヂューサーに向かって、大声を上げずにはいられなかった。
「スカウトされた時、学園恋愛ものだと言ってたじゃない! サスペンスものだとは聞いてないんだけど!!」
第一幕 完
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