114 / 118
第一幕 悪役公爵令嬢(闇魔法使い8歳)王宮書庫殺人事件
113. 治療
しおりを挟む
元近衛隊長によってララエルとヒロインが串刺しにされてしまった。
私は慌ててノアールから降りると、倒れ込んでいる二人に駆け寄った。
まだ息がある。ヨミの眠りを使えば助けられるだろう。
「マリー様、二人を助けるのはおやめください」
元近衛隊長は私を止めようとするが、そんなことに従うわけにはいかない。逆に元近衛隊長に言い返す。
「法律に則った方法を取るべきだと言ったはずだわ。手を出さないで! これは国王陛下の孫としての命令よ」
国王陛下の孫にどれだけの効力があるかわからないが、使えるものは、名ばかりの権力でも使うことにした。
幸い、効力があったのか、元近衛隊長は黙り込んで、私の邪魔をすることはなかった。
「ララエル、今助けますわ」
「お嬢様、私は大丈夫ですから、ヒロインに集中してください」
ヒロインの意識は既にないが、ララエルはまだ話せるらしい。ララエルの傷も深いはずだが、本当に大丈夫なのか?
「私は本当に大丈夫ですから、ヒロインに早く」
考え込んでいる場合ではなかった。
「ええ、わかったわ」
私はヒロインに手を当て、ヨミの眠りを使う。
だが、私の闇の魔力がヒロインの光の魔力によって打ち消されてしまう。
そうだった。魔法の属性には相性があるのだった。
闇と光は最悪のようだ。
「闇の魔力が光の魔力で消されてしまうわ」
「そうですか。私が手助けします。片方の手を私の方に」
私がララエルに手を差し出すと、ララエルはそれを握り返した。
「大丈夫なの?」
「大丈夫ですから、ヒロインの治療を続けてください」
私は言われるとおりにヒロインにヨミの眠りをかける。
やはり闇の魔力が光の魔力で打ち消されてしまう。
「いきますよ」
ララエルの手から魔力とは違う力が流れ込んでくる。
「私の神力がわかりますか? それを闇の魔力に混ぜ込んで使ってください」
「やってみるわ」
ララエルに言われたとおりにイメージし、ヨミの眠りを使用する。
今度は、ヒロインの光の魔力を私の闇の魔力が侵食していく。
この調子でいけばうまくいくだろう。
ヒロインのピンクゴールドの髪が徐々に黒く染まっていく。
そして、なぜが私の白髪は白金色に輝き始めた。
側から見たら後光が差しているようだろう。
「ゲホ! ゴホ!」
ララエルが咳き込んだ。深手を負っているのにこんなことを続けて本当に大丈夫なのだろうか?
心なしか、ララエルが透けて見える。
「ララエル、体が透けて見えるけど、本当に大丈夫なの」
「心配しないで、大丈夫ですから。後少し頑張って」
私はヒロインに集中する。
「なぜ、そこまでして助ける必要があるのです。そいつは、マリー様を陥れたのですよ。さっきだって暴言を吐いていました。法律的にも不敬罪で死刑にできます」
元騎士団長が話しかけてきた。ヒロインに集中しているので、邪魔しないで欲しいのだが、無視するわけにもいかないか。
「それでも、死なせるわけにはいかないのよ」
ヒロインなんだから。
私は慌ててノアールから降りると、倒れ込んでいる二人に駆け寄った。
まだ息がある。ヨミの眠りを使えば助けられるだろう。
「マリー様、二人を助けるのはおやめください」
元近衛隊長は私を止めようとするが、そんなことに従うわけにはいかない。逆に元近衛隊長に言い返す。
「法律に則った方法を取るべきだと言ったはずだわ。手を出さないで! これは国王陛下の孫としての命令よ」
国王陛下の孫にどれだけの効力があるかわからないが、使えるものは、名ばかりの権力でも使うことにした。
幸い、効力があったのか、元近衛隊長は黙り込んで、私の邪魔をすることはなかった。
「ララエル、今助けますわ」
「お嬢様、私は大丈夫ですから、ヒロインに集中してください」
ヒロインの意識は既にないが、ララエルはまだ話せるらしい。ララエルの傷も深いはずだが、本当に大丈夫なのか?
「私は本当に大丈夫ですから、ヒロインに早く」
考え込んでいる場合ではなかった。
「ええ、わかったわ」
私はヒロインに手を当て、ヨミの眠りを使う。
だが、私の闇の魔力がヒロインの光の魔力によって打ち消されてしまう。
そうだった。魔法の属性には相性があるのだった。
闇と光は最悪のようだ。
「闇の魔力が光の魔力で消されてしまうわ」
「そうですか。私が手助けします。片方の手を私の方に」
私がララエルに手を差し出すと、ララエルはそれを握り返した。
「大丈夫なの?」
「大丈夫ですから、ヒロインの治療を続けてください」
私は言われるとおりにヒロインにヨミの眠りをかける。
やはり闇の魔力が光の魔力で打ち消されてしまう。
「いきますよ」
ララエルの手から魔力とは違う力が流れ込んでくる。
「私の神力がわかりますか? それを闇の魔力に混ぜ込んで使ってください」
「やってみるわ」
ララエルに言われたとおりにイメージし、ヨミの眠りを使用する。
今度は、ヒロインの光の魔力を私の闇の魔力が侵食していく。
この調子でいけばうまくいくだろう。
ヒロインのピンクゴールドの髪が徐々に黒く染まっていく。
そして、なぜが私の白髪は白金色に輝き始めた。
側から見たら後光が差しているようだろう。
「ゲホ! ゴホ!」
ララエルが咳き込んだ。深手を負っているのにこんなことを続けて本当に大丈夫なのだろうか?
心なしか、ララエルが透けて見える。
「ララエル、体が透けて見えるけど、本当に大丈夫なの」
「心配しないで、大丈夫ですから。後少し頑張って」
私はヒロインに集中する。
「なぜ、そこまでして助ける必要があるのです。そいつは、マリー様を陥れたのですよ。さっきだって暴言を吐いていました。法律的にも不敬罪で死刑にできます」
元騎士団長が話しかけてきた。ヒロインに集中しているので、邪魔しないで欲しいのだが、無視するわけにもいかないか。
「それでも、死なせるわけにはいかないのよ」
ヒロインなんだから。
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
なりゆきで、君の体を調教中
星野しずく
恋愛
教師を目指す真が、ひょんなことからメイド喫茶で働く現役女子高生の優菜の特異体質を治す羽目に。毎夜行われるマッサージに悶える優菜と、自分の理性と戦う真面目な真の葛藤の日々が続く。やがて二人の心境には、徐々に変化が訪れ…。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
悪役令嬢が死んだ後
ぐう
恋愛
王立学園で殺人事件が起きた。
被害者は公爵令嬢 加害者は男爵令嬢
男爵令嬢は王立学園で多くの高位貴族令息を侍らせていたと言う。
公爵令嬢は婚約者の第二王子に常に邪険にされていた。
殺害理由はなんなのか?
視察に訪れていた第一王子の目の前で事件は起きた。第一王子が事件を調査する目的は?
*一話に流血・残虐な表現が有ります。話はわかる様になっていますのでお嫌いな方は二話からお読み下さい。
性欲排泄欲処理系メイド 〜三大欲求、全部満たします〜
mm
ファンタジー
私はメイドのさおり。今日からある男性のメイドをすることになったんだけど…業務内容は「全般のお世話」。トイレもお風呂も、性欲も!?
※スカトロ表現多数あり
※作者が描きたいことを書いてるだけなので同じような内容が続くことがあります
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。
ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。
※短いお話です。
※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。
【完結】ゴーストと呼ばれた地味な令嬢は逆行して悪女となって派手に返り咲く〜クロエは振り子を二度揺らす〜
あまぞらりゅう
恋愛
クロエの最愛の母が死んで半年後、父親は愛人とその娘を侯爵家に受け入れて、彼女の生活は様変わりをした。
狡猾な継母と異母妹の企みで、彼女は居場所も婚約者も……全て奪われてしまう。
孤独に追い詰められたボロボロの彼女は、ゴースト――幽霊令嬢だと嘲笑われていた。
なにもかもを失って絶望した彼女が気が付いたら、時を逆行していた。
「今度は……派手に生きるわ!」
彼女は、継母と異母妹に負けないように、もう一度人生をやり直そうと、立ち上がった。
協力者の隣国の皇子とともに、「時間」を操り、家族と婚約者への復讐劇が今、始まる――……。
★第一章は残酷な描写があります!(該当の話は冒頭に注意書きをしています!)
★主人公が巻き返すのは第二章からです!
★主人公が虐げられる様子を見たくない方は、第1話→第32話(流し読みでOK)→第33話〜と、飛ばして読んでも一応話は通じると思います!
★他サイト様にも投稿しています!
★タイトル・あらすじは予告なく変更する可能性があります!
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる