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第一幕 悪役公爵令嬢(闇魔法使い8歳)王宮書庫殺人事件
106. 無力感
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ジャンクキラーの捜査のため王都に派遣していたユキから、ニコラスとロザリー様が軟禁されているとの連絡を受けた。
「詳しいことはわからないのか?」
緊張感のある声でリヒトが問いかけてきた。
「ええ」
私はそれだけしか答えられなかった。
何があったのだろう。酷いことになっていなければいいが……。
ニコラスに真犯人を探すようにお願いするべきではなかったかもしれない。私たちと会わずに帰っていればこんなことにはならなかっただろう。
自分で解決すべきことだったのに、ニコラスを巻き込んでしまった。
「私の方で少し調べてみよう」
「ありがとうございます、お父様」
お父様に調べてもらえば、詳しいことがわかるかもしれない。
私はお父様にお礼を述べてから部屋を出た。
ニコラスとロザリー様が軟禁されということは、ロザリー様が真犯人だと分かったのだろうか?
その場合、なぜニコラスも軟禁されたか疑問だが、連座が適用されるとなるとあり得る話だ。
可能性としては、ニコラスが真犯人を探しているのを知られて、逆に、真犯人に嵌められたことも考えられる。
いずれにせよ、ニコラスは大丈夫だろうか? 確かめたくても王宮に行くこともできない。
王宮に行きたいと言っても、お父様は許可してくれないだろう。
ここが王都の屋敷なら、そんなのは無視していけるのだが。
流石に、エディオカの別荘か王都までは遠すぎる。
黙って抜け出しても、途中で捕まってしまうだろう。
「マリーが気に病む必要はないぞ」
「リヒト兄様……」
心配して後を追ってきてくれたのだろうか?
以前に比べれば大分優しくしてくれるようになったし、少し大人になったのだろうか。
それに、この前ニコラスと会ってからは、イザベラ様の無実を証明しようと頑張っているようである。
それに比べて、私は何ができているだろうか?
「そうですわね。心配しても私には何もできわしないし、気分転換に少し遠乗りでもしてきますわ」
「それなら俺も一緒に行こう」
「リヒト兄様はお父様と話中ではなかったのですか? ララエルも連れて行きますから大丈夫ですわ」
「そうか、余り遅くなるなよ」
リヒト兄様と別れた私は、ノアールに乗ってララエルと遠乗りに出かけた。
何もできないと落ち込んでばかりいても仕方がない。少し気分を変えることも必要だ。
「そういえば、ララエルに見てもらいたい物があったわ」
私は、神社の鳥居のような遺跡のことを思い出した。
そこに書かれた文字が私には読めなかったので、ララエルなら読めるのではないかと見てもらおうと思っていたのだ。
「何ですか?」
「遺跡なんだけど、まあ、付いてきて」
私は遺跡までノアールを走らせた。
「詳しいことはわからないのか?」
緊張感のある声でリヒトが問いかけてきた。
「ええ」
私はそれだけしか答えられなかった。
何があったのだろう。酷いことになっていなければいいが……。
ニコラスに真犯人を探すようにお願いするべきではなかったかもしれない。私たちと会わずに帰っていればこんなことにはならなかっただろう。
自分で解決すべきことだったのに、ニコラスを巻き込んでしまった。
「私の方で少し調べてみよう」
「ありがとうございます、お父様」
お父様に調べてもらえば、詳しいことがわかるかもしれない。
私はお父様にお礼を述べてから部屋を出た。
ニコラスとロザリー様が軟禁されということは、ロザリー様が真犯人だと分かったのだろうか?
その場合、なぜニコラスも軟禁されたか疑問だが、連座が適用されるとなるとあり得る話だ。
可能性としては、ニコラスが真犯人を探しているのを知られて、逆に、真犯人に嵌められたことも考えられる。
いずれにせよ、ニコラスは大丈夫だろうか? 確かめたくても王宮に行くこともできない。
王宮に行きたいと言っても、お父様は許可してくれないだろう。
ここが王都の屋敷なら、そんなのは無視していけるのだが。
流石に、エディオカの別荘か王都までは遠すぎる。
黙って抜け出しても、途中で捕まってしまうだろう。
「マリーが気に病む必要はないぞ」
「リヒト兄様……」
心配して後を追ってきてくれたのだろうか?
以前に比べれば大分優しくしてくれるようになったし、少し大人になったのだろうか。
それに、この前ニコラスと会ってからは、イザベラ様の無実を証明しようと頑張っているようである。
それに比べて、私は何ができているだろうか?
「そうですわね。心配しても私には何もできわしないし、気分転換に少し遠乗りでもしてきますわ」
「それなら俺も一緒に行こう」
「リヒト兄様はお父様と話中ではなかったのですか? ララエルも連れて行きますから大丈夫ですわ」
「そうか、余り遅くなるなよ」
リヒト兄様と別れた私は、ノアールに乗ってララエルと遠乗りに出かけた。
何もできないと落ち込んでばかりいても仕方がない。少し気分を変えることも必要だ。
「そういえば、ララエルに見てもらいたい物があったわ」
私は、神社の鳥居のような遺跡のことを思い出した。
そこに書かれた文字が私には読めなかったので、ララエルなら読めるのではないかと見てもらおうと思っていたのだ。
「何ですか?」
「遺跡なんだけど、まあ、付いてきて」
私は遺跡までノアールを走らせた。
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