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第一幕 悪役公爵令嬢(闇魔法使い8歳)王宮書庫殺人事件

105. 連絡

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 ジャンクキラーの捜査にユキとサラを王都に派遣して二週間がたった。

 その間、何度か連絡があったが、モリス刑事がジャンクキラーだという証拠はつかめていなかった。
 なんと、バークレイ教授がジャンクキラーに殺された日、モリス刑事には完璧なアリバイがあったのだ。

 ユキとサラには引き続き監視と周辺調査をお願いしたが、一向に尻尾を出さない。

 台本の情報が間違っていたのだろうか?

 連絡を受けた情報を精査しながら考え事をしているとララエルが部屋にやって来た。
「お嬢様、ユキさんから電話が入っています」

 ユキとサラがいない間、身の回りのことは他のメイドにお願いしようと思っていたが、意外なことにララエルが二人分の仕事を全てこなしてくれた。
 今までの、あのダラダラした態度はなんだったのだろう。まるで別人のようだ。

 ララエル曰く「サラさんの仕事を奪わないようにしていただけです」とのことだが、どこまで本当のことだか疑わしい。
 だいたい「できるマネージャーは、気遣いも一級品なんです」と言っていたが、できるマネージャーは担当する相手を間違わないと思うぞ。

「わかったわ、今行くわ」
 いつもの定時連絡の時間ではないから、何か動きがあったのかもしれない。
 電話があるのはお父様が執務に使っている部屋だ。足早にそこに向かう。

 部屋に着くとそこにはお父様とリヒトがいた。二人で何か相談していたようだ。
 いつもなら、お父様がいない時間を見計らって連絡をしてくるのに、それだけ急ぎということだろう。

「失礼しますわ」

 私は一言断ってから電話に出る。

「もしもし」
『お嬢様ですか?』

「ユキ、いつもの時間じゃないけど、どうしたの?」
『それが、少し気になる噂を聞きまして、早めにお知らせした方がよろしいかと思いまして』

「そうなの、それでどんな噂なの?」
『実は、ニコラス様とロザリー様が自室軟禁されているという噂なのですが……」

「ニコラス様とロザリー様が!」
「ニコラスとロザリー様がどうしたって?」

 私が大声を上げたため、リヒトが反応して尋ねてきた。

「自室軟禁されたのみたいなの」
「軟禁だと」
 ニコラスはロザリー様に聞いてみると言っていたが、トラブルになったと思って間違い無いだろう。

「それで、どんな感じなの?」
『それが、なにぶん王宮の中のことなので、詳しい話はわかっていません』

「そう、詳しい話はわからないのね。何かわかったらまた知らせて」
『かしこまりました』
 私はニコラスが心配ながらも、これ以上はユキから聞けることはないと判断し電話を切った。

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