上 下
103 / 118
第一幕 悪役公爵令嬢(闇魔法使い8歳)王宮書庫殺人事件

102. 台本

しおりを挟む
〇学園・裏庭(放課後)
ヒロインと教授、人目に付きにくい場所にあるベンチに座り、楽しそうに会話をしている。
王子、校舎側から二人の前に現れる。

王子「セリーヌ、大丈夫か?」
と、ヒロインに話しかける。

ヒロイン、ベンチから立ち上がる。
ヒロイン「王子様、どうかされましたか?」
王子「いや、教授と一緒にいるところが見えたから心配したのだ」
ヒロイン「心配していただきありがとうございます」
と、王子に頭を下げる。

ヒロイン「ですが、特に問題ありませんよ」
と、困惑した表情。

王子「だが、こんな目立たないところで教授と二人きりでは上手くないだろう」

教授、ベンチから立ち上がる。
教授「殿下、なのを言いたいのかわかりませんが、私は彼女の相談を受けていただけですよ」
王子「教授、あなたは周りからの評判がよろしくないようだが」
と、教授を睨みつける。

教授「評判とは? 心当たりがありませんが」
王子「生徒の成績を恣意的に改竄しているそうではないか」
教授「恣意的改竄? 私は試験の結果だけでなく、日頃の生活態度も鑑みて成績をつけているだけですよ」
と、呆れた表情。

ヒロイン「王子様、教授は生徒たちのことをよく見てくれているのですよ」
王子「セリーヌ……」
と、教授に味方するヒロインに困惑した表情

教授「もしかすると殿下は婚約者の成績を低くつけたことに文句を言いにきたのですか?」
王子「マリーの成績を低く付けたのか?」
教授「ええ、他の生徒を虐めているような者に高い成績をつけるわけにはいきませんから」
王子「マリーが虐めをしたという証拠があったのか?」
教授「証拠? そんな物はセリーヌ嬢の様子を見ていればわかるでしょう」
王子「セリーヌには誰かから嫌がらせを受けていると相談されたが、調べてみたがマリーが犯人だという証拠は見つからなかった」
教授「そんなのは見つからないようにうまくやっているだけでしょう。まあ、殿下は自分の婚約者が虐めをしていたなんて認めたくないでしょうが」
王子「そんなことはない。マリーが犯人ならちゃんと処罰する」
と、語気を強める。

教授「犯人なら、ですか? 証拠が無ければ何もできない。そんなことでセリーヌ嬢を守れると思っているのですか」
と、こちらも語気を強める。
睨み合う二人。

ヒロイン「教授! いいんです。王子様の立場もあるのですから。それに、愛する婚約者のことを信じたい気持ちもわかります」
と、少し悲し気な表情。

王子「セリーヌ、私はマリーのことなど愛していない。むしろ私が愛しているのは……」
教授「殿下、婚約者がいる身で二股をかける気ですか?」
王子「私はそんな気では……」
ヒロイン「いいんです。私は王子様と、こうして時々お話しできるだけで幸せですから。愛して欲しいなんて贅沢は言いません」
王子「セリーヌ……」

ヒロイン「きゃぁー! わたし、なんてことを。今のは聞かなかったことにしてください」
と、赤らめた顔を隠して走り去る。

教授「殿下、私は彼女のことを娘のように大切に思っています。もし、彼女を泣かせるようなことがあれば、たとえ相手が殿下でも私は許しませんよ」
と、言い残し、歩いて去る。

王子「私だって、好きでマリーと婚約しているわけではないんだ……」
と、悔しそうに教授を見送る。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

なりゆきで、君の体を調教中

星野しずく
恋愛
教師を目指す真が、ひょんなことからメイド喫茶で働く現役女子高生の優菜の特異体質を治す羽目に。毎夜行われるマッサージに悶える優菜と、自分の理性と戦う真面目な真の葛藤の日々が続く。やがて二人の心境には、徐々に変化が訪れ…。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

悪役令嬢が死んだ後

ぐう
恋愛
王立学園で殺人事件が起きた。 被害者は公爵令嬢 加害者は男爵令嬢 男爵令嬢は王立学園で多くの高位貴族令息を侍らせていたと言う。 公爵令嬢は婚約者の第二王子に常に邪険にされていた。 殺害理由はなんなのか? 視察に訪れていた第一王子の目の前で事件は起きた。第一王子が事件を調査する目的は? *一話に流血・残虐な表現が有ります。話はわかる様になっていますのでお嫌いな方は二話からお読み下さい。

性欲排泄欲処理系メイド 〜三大欲求、全部満たします〜

mm
ファンタジー
私はメイドのさおり。今日からある男性のメイドをすることになったんだけど…業務内容は「全般のお世話」。トイレもお風呂も、性欲も!? ※スカトロ表現多数あり ※作者が描きたいことを書いてるだけなので同じような内容が続くことがあります

美しい姉と痩せこけた妹

サイコちゃん
ファンタジー
若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

【完結】ゴーストと呼ばれた地味な令嬢は逆行して悪女となって派手に返り咲く〜クロエは振り子を二度揺らす〜

あまぞらりゅう
恋愛
クロエの最愛の母が死んで半年後、父親は愛人とその娘を侯爵家に受け入れて、彼女の生活は様変わりをした。 狡猾な継母と異母妹の企みで、彼女は居場所も婚約者も……全て奪われてしまう。 孤独に追い詰められたボロボロの彼女は、ゴースト――幽霊令嬢だと嘲笑われていた。 なにもかもを失って絶望した彼女が気が付いたら、時を逆行していた。 「今度は……派手に生きるわ!」 彼女は、継母と異母妹に負けないように、もう一度人生をやり直そうと、立ち上がった。 協力者の隣国の皇子とともに、「時間」を操り、家族と婚約者への復讐劇が今、始まる――……。 ★第一章は残酷な描写があります!(該当の話は冒頭に注意書きをしています!) ★主人公が巻き返すのは第二章からです! ★主人公が虐げられる様子を見たくない方は、第1話→第32話(流し読みでOK)→第33話〜と、飛ばして読んでも一応話は通じると思います! ★他サイト様にも投稿しています! ★タイトル・あらすじは予告なく変更する可能性があります!

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

処理中です...