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第一幕 悪役公爵令嬢(闇魔法使い8歳)王宮書庫殺人事件
100. ニコラスの決意
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霊安室でニコラスに、ハインリッヒのことをリヒト兄様と呼んでいる理由を聞かれた。
他にもっと重要な話があると思うのだが……。
「それは、二人とも別人として、公爵の養子ということにしたからですわ」
「というわけで、兄妹の振りをしているわけだ」
「つまり、真犯人が捕まれば、二人は兄妹の振りをする必要もないし、王宮に戻ってきてくれるんだね」
「そんな簡単な話ではないのですが、少なくとも、真犯人が捕まれば、王都の学園に通っていいとお父様は言っていますわ」
「なら、ボクが真犯人を捕まえるよ。そうしたら、マリーと一緒に学園に通えるんだよね」
「それは、そうなのですが……」
現状、私たちは王宮に行けないし、ニコラスが代わりに真犯人を探してくれるのは助かるが……。
「真犯人の疑いがあるのが誰だかわかっているのか!」
「それはわかってないけど、これから調べるよ」
「女騎士は、私が国を乗っ取ると信じていたわ。そして言ったの『イングラスの公爵令嬢の言葉など信じられません。王太子妃様は、そのことを大変に危惧されていました』と」
「王太子妃って、お母様方が疑わしいの!」
「そういうことだ」
「でも、女騎士が『王太子妃が言っていた』と騙されていただけかもしれないじゃないか」
「お父様は、犯人はイザベラ様だと王宮で説明を受けたわ」
「イザベラ様! そんな、まさか……。でも、それなら、もう解決してるんじゃ」
「母上は無実だ、他に真犯人が必ずいるはずだ」
「でも、王宮ではそう判断したんでしょ」
「そうなのですわ。でもね、王宮の話も変なのですわ。お父様は、イザベラ様が私を殺そうとした理由は、私がニコラス様の婚約者になると、王位継承権争いでニコラス様が有利になるからだと説明されたらしいわ」
「マリー様がボクの婚約者……」
「その時点で、ニコラスの方が、ちょっと、有力だったというだけだ」
「それなのに殺そうとするなんておかしいわ。それに、女騎士が私に言ったこととも食い違いますわ」
「女騎士は、マリー様が国を乗っ取ると言ったんだよね」
「王位継承権争いの話しは出なかったわ。少しおかしいでしょ」
「え、でも、そうなると、王宮で公爵様は嘘の説明を受けたの?」
「現段階ではその可能性がある程度ね。でも、私の命がかかっているから慎重にならざるをえないわ」
「ボク、お母様に聞いてみる」
「それで、本当のことがわかると思うのか?」
「ハインリッヒがイザベラ様を信じているように、ボクはお母様を信じているんだ」
「フン! 勝手にしろ。だがな、マリーと俺が生きているとはばらすなよ」
「そうだね、どこから話が漏れるかわからないから、気をつけるよ」
余り期待してはいけないが、ロザリー様の証言が取れるなら僥倖だろう。ニコラスには頑張ってもらいたいものだ。
「ボク、必ず真犯人を捕まえて、マリー様が学園に通えるようにするからね」
「無理して犯人に刺されるなよ」
そうだ、その危険性もあるのか。無理はさせられないわね。
今更やめろと言っても聞かないだろうし。
「無理せず、頑張ってね」
私はそうニコラスに声をかけるしかなかった。
他にもっと重要な話があると思うのだが……。
「それは、二人とも別人として、公爵の養子ということにしたからですわ」
「というわけで、兄妹の振りをしているわけだ」
「つまり、真犯人が捕まれば、二人は兄妹の振りをする必要もないし、王宮に戻ってきてくれるんだね」
「そんな簡単な話ではないのですが、少なくとも、真犯人が捕まれば、王都の学園に通っていいとお父様は言っていますわ」
「なら、ボクが真犯人を捕まえるよ。そうしたら、マリーと一緒に学園に通えるんだよね」
「それは、そうなのですが……」
現状、私たちは王宮に行けないし、ニコラスが代わりに真犯人を探してくれるのは助かるが……。
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「それはわかってないけど、これから調べるよ」
「女騎士は、私が国を乗っ取ると信じていたわ。そして言ったの『イングラスの公爵令嬢の言葉など信じられません。王太子妃様は、そのことを大変に危惧されていました』と」
「王太子妃って、お母様方が疑わしいの!」
「そういうことだ」
「でも、女騎士が『王太子妃が言っていた』と騙されていただけかもしれないじゃないか」
「お父様は、犯人はイザベラ様だと王宮で説明を受けたわ」
「イザベラ様! そんな、まさか……。でも、それなら、もう解決してるんじゃ」
「母上は無実だ、他に真犯人が必ずいるはずだ」
「でも、王宮ではそう判断したんでしょ」
「そうなのですわ。でもね、王宮の話も変なのですわ。お父様は、イザベラ様が私を殺そうとした理由は、私がニコラス様の婚約者になると、王位継承権争いでニコラス様が有利になるからだと説明されたらしいわ」
「マリー様がボクの婚約者……」
「その時点で、ニコラスの方が、ちょっと、有力だったというだけだ」
「それなのに殺そうとするなんておかしいわ。それに、女騎士が私に言ったこととも食い違いますわ」
「女騎士は、マリー様が国を乗っ取ると言ったんだよね」
「王位継承権争いの話しは出なかったわ。少しおかしいでしょ」
「え、でも、そうなると、王宮で公爵様は嘘の説明を受けたの?」
「現段階ではその可能性がある程度ね。でも、私の命がかかっているから慎重にならざるをえないわ」
「ボク、お母様に聞いてみる」
「それで、本当のことがわかると思うのか?」
「ハインリッヒがイザベラ様を信じているように、ボクはお母様を信じているんだ」
「フン! 勝手にしろ。だがな、マリーと俺が生きているとはばらすなよ」
「そうだね、どこから話が漏れるかわからないから、気をつけるよ」
余り期待してはいけないが、ロザリー様の証言が取れるなら僥倖だろう。ニコラスには頑張ってもらいたいものだ。
「ボク、必ず真犯人を捕まえて、マリー様が学園に通えるようにするからね」
「無理して犯人に刺されるなよ」
そうだ、その危険性もあるのか。無理はさせられないわね。
今更やめろと言っても聞かないだろうし。
「無理せず、頑張ってね」
私はそうニコラスに声をかけるしかなかった。
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