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第一幕 悪役公爵令嬢(闇魔法使い8歳)王宮書庫殺人事件

96. 相談

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「マリーはどうしても学園に入りたいのか?」
「はい」
 私は、別荘に戻ると早速お父様に相談していた。

「そうか……。まず、二人を生きていいたことにするのは難しいだろう」
「死んだのは身代わりだったとするのはどうだろう」
 影武者か。リヒトの割にはいいことを思いついたものだ。

「それだと、イザベラ様が自殺したことの説明がつかない」
「そうだな……」
 流石に、リヒトの母親であるイザベラ様が、影武者を知らなかったというのは無理がある。

 私の闇魔法で死ななかったことを公表できればいいのだろうが、それは、それでまずいだろう。
 そんな魔法を使えることを知られれば、今でも狙われているのに、なおさら、危険な目に遭いかねない。

「学園に入学するだけなら、二人を公爵家の養子とすれば可能だろう。だが、学園に通っていれば正体がばれる」
「正体がばれなければいいのよね。認識阻害魔……じゃなくて、変装すれば問題ないわ」

「その認識阻害魔法はどのようなものなんだ」
「お父様、しっ、しっ!」
 リヒトがいるのよ。闇魔法の話をしては駄目よ。

「マリー、俺はマリーが闇魔法を使えるのを知っているぞ。その魔法で俺を助けてくれたんだろ」
「え! いつから知ってたの?」

「ここに来るのに飛行船に乗っている時だったか。公爵に教えてもらったぞ」
「お父様!」
 私はお父様を睨みつける。

「いや、すまん。どうせすぐばれると思って教えたのだ。そのことをマリーに伝えていなかったな」
「お父様、そういう大事なことは忘れないでください。おかげで、要らぬ苦労をしたではないですか」

「いや、無理に隠そうとしていたマリーはかわいかったぞ」
「リヒト兄様も、知っていて黙っていましたね!」

「まあ、その話はそれくらいにして、認識阻害魔法はどのようなものなんだ?」
「物や人を見つかり難くする魔法ですね。その魔法をかければ、闇魔法を使っていると分かって見ない限り見つかることはまずありませんわ」

「だが、それだと学園生活で困るだろう」
「顔にだけかけて置けば、どんな顔だかわからなくなりますわ」

「目の前で見ていてもか?」
「凝視されなければ大丈夫です。凝視されると違和感を覚えられて、魔法を使っていることに気付かれるかもしれませんわ」

「魔法は、どのくらい持つものなのだ?」
「だいたい一日位ですわ」

「それなら、学園に通っている間は、十分に大丈夫なわけか」
「では、学園に通ってもいいですか?」

「ああ、真犯人がわかって、危険がないと判断できたらな」
 それって、駄目ってことじゃないですか!

「それじゃあ、真犯人を探すために王都に行く許可をいただこうか」
「そんな危険なこと、許可できるわけがないでしょう」
 リヒトが食い下がったが、お父様にむげなく却下されたのだった。

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