84 / 118
第一幕 悪役公爵令嬢(闇魔法使い8歳)王宮書庫殺人事件
83. お別れ
しおりを挟む
リヒトと二人で隠れていた棺の蓋が開けられ、私はリヒトの上に寝た状態で、死んだふりをすることとなった。
「それでは、ニコラス様、トワ様、マリーにお別れを」
お父様がニコラスとトワを棺のそばに呼ぶ。
私は、息を止めて二人の言葉が終わるのを待つ。
「マリー様、死んだなんて今でも信じられない」
「本当に、死んでるようには見えないわね」
まあ、本当は生きてるからね。
「生き返って元気な声を聞かせてよ」
「もっと、たくさん遊びたかったわ」
「一緒にピクニックに行ってみたかった」
「私は、街に一緒に行きたかったわ」
「それから、ボートに乗って」
「私はお祭りにも行きたかった」
ニコラスは自然豊かなところが、トワは賑やかなところが好きみたいだ。
私も、二人とそんなところに行ってみたかったが、生きていても今の状況ではとてもかないそうにない。早く問題が解決して、二人と自由に外出できるようになればいいのだが。
ところで、二人の言葉はまだ続くのだろうか?
そろそろ、これくらいにしてくれないと、こっちは息を止めてるんだから、このままじゃ、本当に幽体離脱してしまうわ。
「お二人共、それくらいでよろしいでしょうか」
「公爵様……。マリー様、名残惜しいけどこれでお別れだね」
「さようならマリー」
「それでは、棺の蓋を閉めさせていただきます」
お父様の指示で棺の蓋が閉められる。
ふー。助かった。お父様、ナイスタイミング。これ以上は息を止めていられなかったわ。
「大丈夫だったか?」
からだの下からリヒトの声がする。
「ええ、なんとか」
「なら、早く退いてくれ! 重いんだよ」
「重いだなんて失礼な!」
レディに対して言ってはならないことを言われ、思わず腹を立ててしまう。
「棺の中から音が聞こえませんか?」
「ニコラス様、気のせいですよ」
「そうかな……」
まずい、まずい、リヒトとの口喧嘩が外に聞こえてしまったようだ。
私とリヒトは棺の中で硬直する。
お願い、気のせいだと思って!
「マリーはもう死んだのよ。いつまでも引きずっていては駄目よ」
「そうだよね……。わかったよ、トワ」
助かったー。トワ、ナイスフォロー。
こうして無事に二人にばれることなく、私たちは飛行船に棺ごと運び込まれたのだった。
「それでは、ニコラス様、トワ様、マリーにお別れを」
お父様がニコラスとトワを棺のそばに呼ぶ。
私は、息を止めて二人の言葉が終わるのを待つ。
「マリー様、死んだなんて今でも信じられない」
「本当に、死んでるようには見えないわね」
まあ、本当は生きてるからね。
「生き返って元気な声を聞かせてよ」
「もっと、たくさん遊びたかったわ」
「一緒にピクニックに行ってみたかった」
「私は、街に一緒に行きたかったわ」
「それから、ボートに乗って」
「私はお祭りにも行きたかった」
ニコラスは自然豊かなところが、トワは賑やかなところが好きみたいだ。
私も、二人とそんなところに行ってみたかったが、生きていても今の状況ではとてもかないそうにない。早く問題が解決して、二人と自由に外出できるようになればいいのだが。
ところで、二人の言葉はまだ続くのだろうか?
そろそろ、これくらいにしてくれないと、こっちは息を止めてるんだから、このままじゃ、本当に幽体離脱してしまうわ。
「お二人共、それくらいでよろしいでしょうか」
「公爵様……。マリー様、名残惜しいけどこれでお別れだね」
「さようならマリー」
「それでは、棺の蓋を閉めさせていただきます」
お父様の指示で棺の蓋が閉められる。
ふー。助かった。お父様、ナイスタイミング。これ以上は息を止めていられなかったわ。
「大丈夫だったか?」
からだの下からリヒトの声がする。
「ええ、なんとか」
「なら、早く退いてくれ! 重いんだよ」
「重いだなんて失礼な!」
レディに対して言ってはならないことを言われ、思わず腹を立ててしまう。
「棺の中から音が聞こえませんか?」
「ニコラス様、気のせいですよ」
「そうかな……」
まずい、まずい、リヒトとの口喧嘩が外に聞こえてしまったようだ。
私とリヒトは棺の中で硬直する。
お願い、気のせいだと思って!
「マリーはもう死んだのよ。いつまでも引きずっていては駄目よ」
「そうだよね……。わかったよ、トワ」
助かったー。トワ、ナイスフォロー。
こうして無事に二人にばれることなく、私たちは飛行船に棺ごと運び込まれたのだった。
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
なりゆきで、君の体を調教中
星野しずく
恋愛
教師を目指す真が、ひょんなことからメイド喫茶で働く現役女子高生の優菜の特異体質を治す羽目に。毎夜行われるマッサージに悶える優菜と、自分の理性と戦う真面目な真の葛藤の日々が続く。やがて二人の心境には、徐々に変化が訪れ…。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
性欲排泄欲処理系メイド 〜三大欲求、全部満たします〜
mm
ファンタジー
私はメイドのさおり。今日からある男性のメイドをすることになったんだけど…業務内容は「全般のお世話」。トイレもお風呂も、性欲も!?
※スカトロ表現多数あり
※作者が描きたいことを書いてるだけなので同じような内容が続くことがあります
悪役令嬢が死んだ後
ぐう
恋愛
王立学園で殺人事件が起きた。
被害者は公爵令嬢 加害者は男爵令嬢
男爵令嬢は王立学園で多くの高位貴族令息を侍らせていたと言う。
公爵令嬢は婚約者の第二王子に常に邪険にされていた。
殺害理由はなんなのか?
視察に訪れていた第一王子の目の前で事件は起きた。第一王子が事件を調査する目的は?
*一話に流血・残虐な表現が有ります。話はわかる様になっていますのでお嫌いな方は二話からお読み下さい。
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた
杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。
なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。
婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。
勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。
「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」
その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺!
◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。
婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。
◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。
◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます!
10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる