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第一幕 悪役公爵令嬢(闇魔法使い8歳)王宮書庫殺人事件
66. 弟
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「お帰りなさい、ロベルト、マリー」
「ただいま帰りましたわ、お母様。ロバートもただいま」
屋敷に着くとお母様と弟のロバートが出迎えてくれた。
とはいっても、生まれてまだ三ヶ月に満たないロバートはお母様に抱っこされているだけだが。
「リリヤ、長いこと留守にしてすまなかったな」
「いえ、王宮への報告は必要なことですから……。ですが少し寂しかったです」
お父様はロバートごとお母様にハグをする。夫婦仲が良いのはいいですが、お父様の大きなお腹でロバートが潰されないか心配になる。
「国王陛下はお元気だったでしょうか?」
「ああ、まだまだ王太子に王位を譲るのは先になりそうだな」
「そうですか、陛下がお元気なのはなりよりですが、お兄様は早く王位を譲り受けたいでしょうね」
うちの場合は、お母様が嫁いでくる時に、お祖父様からお父様に爵位を譲ったそうだ。
「マリー、王都は楽しかった?」
「ええ、楽しかったですわ。トワたちとも仲良くなれましたわ」
「そう、それはよかったわね」
「ロバートも大きくなったら、きっと仲良くなれるとおもうわ」
「そうね。それは楽しみね」
「ロバートが王都に行けるようになるまでには、まだ何年もかかるだろうがな」
お父様はロバートをあやしながらそう言った。
そうだ、ロバートと私は七歳離れている。ロバートが今の私と同じ歳で王都に行くとしても七年後になる。
しかも、私の場合、ちょっと特殊で早かった。中身はもう二十歳過ぎだからね。
普通ならもっと成長して分別がつくようになる、学園に入学前に訪れるのが一般的だ。
そうなるとあと十年以上先になる。
それはともかく、七歳歳の差があると、どうやっても同じ時期に学園に通うことはできない。
台本では、養子の兄と学園に通うことになっていたが、ロバートが生まれたことにより、養子を取ることはないだろうし、かといってロバートでは歳の差が離れ過ぎているため、同じ舞台には立てない。
その原因を作ってしまったのは私だ。私が、夫婦仲を取り持ってしまったからだ。
台本的にはまずかったが、自分の行動に後悔はしていない。
夫婦仲は良い方がいいし、弟は可愛い。
心配なのは、台本どおりに整えようと、弟を排除しようとする力が働くことだ。
取り巻きA予定のカナリも、なんだかんだあったが、台本どおりになっている。
実際、そんな力があるかどうかはわからないが、病気、事故、それに暗殺、この世界では子供が死ぬことは珍しい事ではない。
こちらの世界に来てから既に二年以上、その間一緒に暮らしてきたお父様とお母様は勿論、弟のロバートももう本当の家族と変わらない。
ロバートを危険に晒さないよう、私にできることがあるかどうかわからないが、常に注意はしておく必要があるだろう。
「ただいま帰りましたわ、お母様。ロバートもただいま」
屋敷に着くとお母様と弟のロバートが出迎えてくれた。
とはいっても、生まれてまだ三ヶ月に満たないロバートはお母様に抱っこされているだけだが。
「リリヤ、長いこと留守にしてすまなかったな」
「いえ、王宮への報告は必要なことですから……。ですが少し寂しかったです」
お父様はロバートごとお母様にハグをする。夫婦仲が良いのはいいですが、お父様の大きなお腹でロバートが潰されないか心配になる。
「国王陛下はお元気だったでしょうか?」
「ああ、まだまだ王太子に王位を譲るのは先になりそうだな」
「そうですか、陛下がお元気なのはなりよりですが、お兄様は早く王位を譲り受けたいでしょうね」
うちの場合は、お母様が嫁いでくる時に、お祖父様からお父様に爵位を譲ったそうだ。
「マリー、王都は楽しかった?」
「ええ、楽しかったですわ。トワたちとも仲良くなれましたわ」
「そう、それはよかったわね」
「ロバートも大きくなったら、きっと仲良くなれるとおもうわ」
「そうね。それは楽しみね」
「ロバートが王都に行けるようになるまでには、まだ何年もかかるだろうがな」
お父様はロバートをあやしながらそう言った。
そうだ、ロバートと私は七歳離れている。ロバートが今の私と同じ歳で王都に行くとしても七年後になる。
しかも、私の場合、ちょっと特殊で早かった。中身はもう二十歳過ぎだからね。
普通ならもっと成長して分別がつくようになる、学園に入学前に訪れるのが一般的だ。
そうなるとあと十年以上先になる。
それはともかく、七歳歳の差があると、どうやっても同じ時期に学園に通うことはできない。
台本では、養子の兄と学園に通うことになっていたが、ロバートが生まれたことにより、養子を取ることはないだろうし、かといってロバートでは歳の差が離れ過ぎているため、同じ舞台には立てない。
その原因を作ってしまったのは私だ。私が、夫婦仲を取り持ってしまったからだ。
台本的にはまずかったが、自分の行動に後悔はしていない。
夫婦仲は良い方がいいし、弟は可愛い。
心配なのは、台本どおりに整えようと、弟を排除しようとする力が働くことだ。
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実際、そんな力があるかどうかはわからないが、病気、事故、それに暗殺、この世界では子供が死ぬことは珍しい事ではない。
こちらの世界に来てから既に二年以上、その間一緒に暮らしてきたお父様とお母様は勿論、弟のロバートももう本当の家族と変わらない。
ロバートを危険に晒さないよう、私にできることがあるかどうかわからないが、常に注意はしておく必要があるだろう。
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