街角で悪役令嬢役にスカウトされた件 【OKしたけど、異世界でサスペンスだとは聞いてない!】

なつきコイン

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第一幕 悪役公爵令嬢(闇魔法使い8歳)王宮書庫殺人事件

65. 監視

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(メイド、ユキ視点)

 サラは気付かなかったようだが、お嬢様が出かけるとき必ず尾行してくる者がいた。
 プロではなく、明らかに素人だ。

「サラ、なんであれに気付かないの?」
「えー。だって、全然威圧感が無いんだもん」
 サラは強者に対しては敏感に反応するが、全く鍛えていないような一般人を察知することは苦手だ。

「あれじゃあ危険性ゼロでしょ。いちいち気にしてられないわよ」
 まあ、確かにそう見えるが、油断していると痛い目を見ることになりかねない。
 何かあっても、サラはお嬢様を守り切る自信があるのだろうが、そもそも、何かが起こらないようにすることが大事だ。お嬢様を少しの危険にもあわせてはいけない。

「でも、ストーカーかも知れないわよ」
「えっ! ストーカー? すぐに潰してくる」

「ちょっと待ちなさい。何の証拠もないのに暴力に訴えては駄目よ」
「そんなの、バレないように始末すればいいだけよ」

「まったく、いいわけないでしょ。それよりも、お嬢様の行動を察知されないように、偽情報を流して攪乱するわよ」
「えー。元から断った方が確実で早いのに」

「つべこべ言わない。これもお嬢様のためよ」
「お嬢様のためなら仕方がないか」
 やはり、サラをコントロールするにはお嬢様のためというのが一番ね。


(学園生、モブ視点)

 今日、公爵令嬢は列車で領地に帰るそうだ。これでやっと僕の監視任務も終わりになる。
 最後に教授からカメラを渡され、これで公爵令嬢の写真を撮ってくるように命令された。
 乗り込む列車はわかっているので、その時なら、近くから写真が撮れるだろうということだ。

 やはり、あの教授はロリコンストーカーで、そのうえ盗撮者だったようだ。

 僕は、盗撮などしたくなかったが、成績のためだ仕方がない。
 教授の命令どおり、カメラを持って駅に向かった。


(バークレイ教授視点)

 そろそろ、カメラに仕掛けた時限爆弾が爆発する時間だ。
 あの、能無し学生は上手くイングラスの闇の魔王の子孫に近付けただろうか?

 まあ、闇の魔王の子孫を殺せなくても構わない。
 もちろん、殺すなり、傷つけるなりできればそれに越したことはないが、例え無傷でも、自分の命を犠牲にしてでも、殺そうとしてくる者がいることを知って、恐怖に慄けばいいのだ。

 闇の魔王の子孫に恐怖を与え、しかも、能無し学生も処分できる。一石二鳥のなんと素晴らしい作戦なのだろう。
「明日の新聞の一面が楽しみだ。はっはっはっは」

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