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第一幕 悪役公爵令嬢(闇魔法使い8歳)王宮書庫殺人事件
64. 飛行船
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領地に戻る挨拶で王宮に行った時に、書庫の場所は確認できた。だが、書庫には鍵が掛けられていて中に入ることはできなかった。
今回は諦めるとしても、次回、王都に来る時までには王宮の書庫に入る方法を考えておこう。
まだ先はある、焦る必要はない。
領地に帰る日になり、お祖父様たちに別れを告げ、王都の屋敷を出て車で駅に向かう。と、思ったら、向かったのは駅とは違う方向だった。
来る時と同様に列車と船を乗り継いで、帰るのではないのだろうか? それともどこか寄り道をするだけだろうか?
「お父様、駅に向かうのではないのですか?」
「帰りは列車でなく他の乗り物で帰ることにしたんだ」
「他の乗り物ですか? 何に乗って帰るのです?」
「それは着いてからのお楽しみだ」
このまま車で帰るというわけではなさそうだが、どこへ向かっているのだろう?
車で一時間ほど走って到着したのは、王都郊外にある飛行場だった。
「お父様、ここは飛行場ですよね。まさか飛行機で帰るわけではありませんよね」
この世界にも飛行機はすでにあるが、まだ発明されたばかりで、お客を乗せられるような旅客機は存在しない。あるのは、短座か複座の複葉機くらいなものだ。
「飛行機でなく、乗って行くのはあれだよ」
お父様が指し示す方には、巨大な飛行船が浮いていた。
「飛行船に乗れるの! やった!」
日本にいた時でも飛行船に乗ったことはない。少し、いや、かなりテンションが上がってしまい大きな声を出してしまった。
「喜んでくれてよかった。わざわざ、飛行船にした甲斐があったよ」
しかし、なぜ急に飛行船? 単なるサプライズならいいのだが、列車や船を使えない理由ができたのなら問題だ。列車や船での襲撃を避けるため、手出しができない飛行船にした、というのは考え過ぎだろうか。
私自身、学園でのことで、少し神経質になっているのかもしれない。
車を飛行船に横付けし、私たちは飛行船のゴンドラに乗り込む。
中はまるでサロンのようだ。寝室なども個室で用意されている。
これはゆっくりくつろいで空の旅を楽しめそうだ。
離陸時にエレベータに乗っているような感覚があったが、水平飛行に移ってしまえば船に乗っているより乗り心地がいいかもしれない。
エンジンでプロペラを回して推進力を得ているので、完全に風任せという訳ではないが、それでも、風の影響を大きく受けるので、到着までの時間は、風向きしだいとなる。
ただ、今の時期は南東からの風が吹くことが多いので、王都から領都に帰るにはちょうど追い風となる。
お陰で、五日後にはお母様と弟が待つ屋敷に帰り着くことができた。
行くときに飛行船を使わず、帰りに使用したのは、風向きのためだったのだろうか?
それならば、警備のためではないかという私の考えは、取り越し苦労だったことになるのだが……。
今回は諦めるとしても、次回、王都に来る時までには王宮の書庫に入る方法を考えておこう。
まだ先はある、焦る必要はない。
領地に帰る日になり、お祖父様たちに別れを告げ、王都の屋敷を出て車で駅に向かう。と、思ったら、向かったのは駅とは違う方向だった。
来る時と同様に列車と船を乗り継いで、帰るのではないのだろうか? それともどこか寄り道をするだけだろうか?
「お父様、駅に向かうのではないのですか?」
「帰りは列車でなく他の乗り物で帰ることにしたんだ」
「他の乗り物ですか? 何に乗って帰るのです?」
「それは着いてからのお楽しみだ」
このまま車で帰るというわけではなさそうだが、どこへ向かっているのだろう?
車で一時間ほど走って到着したのは、王都郊外にある飛行場だった。
「お父様、ここは飛行場ですよね。まさか飛行機で帰るわけではありませんよね」
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「飛行機でなく、乗って行くのはあれだよ」
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「飛行船に乗れるの! やった!」
日本にいた時でも飛行船に乗ったことはない。少し、いや、かなりテンションが上がってしまい大きな声を出してしまった。
「喜んでくれてよかった。わざわざ、飛行船にした甲斐があったよ」
しかし、なぜ急に飛行船? 単なるサプライズならいいのだが、列車や船を使えない理由ができたのなら問題だ。列車や船での襲撃を避けるため、手出しができない飛行船にした、というのは考え過ぎだろうか。
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ただ、今の時期は南東からの風が吹くことが多いので、王都から領都に帰るにはちょうど追い風となる。
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