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第一幕 悪役公爵令嬢(闇魔法使い8歳)王宮書庫殺人事件

63. 再び王宮へ

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 カナリのことであれこれやっているうちに、日にちが経ち、王宮に禁書庫を探しに行く間もなく、お祖父様たちが帰ってきて、私たちは領地に帰る期日になってしまった。

「領地に帰る前に一度王宮に挨拶に行かなければならないが、マリーはどうする?」
「もちろん行きます!」

「おう、そうか」
 私が勢いよく返事をしたので、お父様が面食らっている。

 最初に訪問して以来王宮には行けなかったし、もしかして闇の魔導書があるのではと思った学園の図書館でも、いけ好かない教授のせいで魔導書を探すことができなかった。

 領地に帰る前の最後のチャンスである。上手く王宮の禁書庫を見つけて、闇の魔導書をゲットしなければ。

 翌日、お父様と連れ立って王宮へ向かう。
 サラも一緒に行くと言い出したが、貴族でないメイドのサラを王宮に連れて行く訳にはいかない。お父様が一緒だか大丈夫だとサラには留守番をお願いした。
 こんな時、貴族である侍女が付いていれば一緒に行けるのだが、カナリは元気でやっているだろうか……。

 今回は公式訪問ではないので、馬車ではなく自動車だ。使う門も『光の門』ではなく『風の門』になる。『火の門』でなく『風の門』なのは、公爵邸は王都の西に在り、『火の門』より『風の門』の方が公爵邸から近いからだ。

 王宮に着くと、一度国王陛下に領地に戻ると挨拶をした後に、私はお父様と別れ一人で王子たちがいる部屋に通された。
 二回目ということで、トワ王女とニコラス王子とは気さくに話をする。ハインリッヒ王子とはまだ打ち解けて話すことができない。相変わらず、高飛車な態度だ。

 その様子に、それぞれの思惑があるのだろう周りの大人たちは、ハラハラドキドキした様子だ。
 トワたちと遊んでいるよりも、その様子を観察している方が面白い。

 はたして、どちらの王子と婚約することになるだろうか?
 現時点ではニコラスと仲良くやれている。このままいくと、ニコラスと婚約することになるだろうか……。
 だが、台本では「王子殿下」と呼んでいた。既に、ニコラス王子のことは「ニコラス」と呼んでいる。そうなると、ハインリッヒの可能性が高いだろうか。

 まあ、学園入学までにはまだ、何年もある。婚約のことは自然に任せるとして、それよりは闇の魔導書、禁書庫の在処だ。

 禁書庫を探すのに、王子たちの部屋にいても見つからないだろう。
 私はトワにお願いして王宮の中を案内してもらうことにした。

 そして、見つけました、書庫。

 禁書庫ではなく、あったのは書庫だったが鍵が掛けられているから、ここに禁書が置かれている可能性はある。

 なんとか入れないかと思ったが、通常、王子たちは読みたい本をリクエストし、部屋に持ってきてもらって、それを読んでいる。
 自分で書庫に立ち入り、本を探すことはないようだ。
 私が闇魔法の本をリクエストするのは、まずいよな……。

 そうなると、忍び込むしかないが、書庫には鍵が掛かっている。
 闇魔法で気配を消して書庫まで行っても、鍵を開けない限り中には入れない。
 今日は諦めるしかないが、次回、王宮に来るのが何時になるかわからないが、それまでには書庫に入るための方法を考えておこう。

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