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第一幕 悪役公爵令嬢(闇魔法使い8歳)王宮書庫殺人事件
54. 敵意
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学園の図書館で魔導書を見せてもらおうと思ったら、そこにいたバークレイ教授に絡まれることになった。
睨みつけながら、何者かと問われたのだが、それは、名を名乗れということだろうか?
「マリー ロートブルクと申します」
「ロートブルク! イングラスの闇の魔王の子孫か、なぜこんなところにいる!」
なぜか私は、バークレイ教授から剥き出しの敵意を向けられる。
咄嗟に、メイドのサラが私を庇うように動き、バークレイ教授を牽制する。
イングラスとフラスコット王国は昔戦争をしていたため、今でも、イングラスに友好的でない者がいるのは知っていたが、こうまであからさまな敵意を向けられたのは初めてだ。
「バークレイ教授! 彼女は学園の見学に来ただけです」
「敵国の娘が見学だと! スパイに決まっているじゃないのか!」
コーネリア先生が改めて、私のことをバークレイ教授に説明するが、聞く耳は持たないようだ。
「イングラスは敵国などではありません」
「アバンテール君、君は歴史を学んでいるのではないのか? イングラスの闇の魔王がどれだけ我々の仲間を殺したと思っている」
イングラスの闇の魔王。台本にも出て来ていたが、私の祖先は戦争中フラスコット王国でそう呼ばれていたようだ。たくさんのフラスコット王国兵を死に追いやっている。
仲間を殺したと言っているところをみると、バークレイ教授も従軍していたのかもしれない。
「それはそうですが、フラスコット王国側もそれ以上にイングラスの人々を殺しています」
「そんなの当り前じゃないか。報復なのだ、イングラス人が何人死のうと関係ない。いや、むしろもっと死ぬべきだったのだ」
えぇー! イングラス人が何人死のうと関係ない、もっと死ぬべきだったって、こんな考えの人が教授をやっていて、この学園大丈夫なのか?
ちょっと学園に通うのが怖くなってきたのだけど。
結局、この後、図書館の館長が出て来てバークレイ教授を宥めてくれた。
「ごめんなさいね。こんな騒ぎになったしまって」
「いえ、コーネリア先生のせいではありませんから」
こんな騒ぎになったせいで、魔導書を見ることはできなかった。それは凄く残念だがしかたがない。
それよりも、バークレイ教授のような考えを持つ者が他にもいるだろうと思うと気が重い。
だが、私が演じなければならないのは悪役令嬢だ。人から恨まれることも多いだろう。
そういった意味で、今日は良い経験ができたと思うことにしよう。
「今日は本当にありがとうございました」
「いえ、いえ。これに懲りずに、また会えることを楽しみにしているわ」
「はい、それではまた」
私はコーネリア先生に頭を下げてから、学園を後にしたのだった。
睨みつけながら、何者かと問われたのだが、それは、名を名乗れということだろうか?
「マリー ロートブルクと申します」
「ロートブルク! イングラスの闇の魔王の子孫か、なぜこんなところにいる!」
なぜか私は、バークレイ教授から剥き出しの敵意を向けられる。
咄嗟に、メイドのサラが私を庇うように動き、バークレイ教授を牽制する。
イングラスとフラスコット王国は昔戦争をしていたため、今でも、イングラスに友好的でない者がいるのは知っていたが、こうまであからさまな敵意を向けられたのは初めてだ。
「バークレイ教授! 彼女は学園の見学に来ただけです」
「敵国の娘が見学だと! スパイに決まっているじゃないのか!」
コーネリア先生が改めて、私のことをバークレイ教授に説明するが、聞く耳は持たないようだ。
「イングラスは敵国などではありません」
「アバンテール君、君は歴史を学んでいるのではないのか? イングラスの闇の魔王がどれだけ我々の仲間を殺したと思っている」
イングラスの闇の魔王。台本にも出て来ていたが、私の祖先は戦争中フラスコット王国でそう呼ばれていたようだ。たくさんのフラスコット王国兵を死に追いやっている。
仲間を殺したと言っているところをみると、バークレイ教授も従軍していたのかもしれない。
「それはそうですが、フラスコット王国側もそれ以上にイングラスの人々を殺しています」
「そんなの当り前じゃないか。報復なのだ、イングラス人が何人死のうと関係ない。いや、むしろもっと死ぬべきだったのだ」
えぇー! イングラス人が何人死のうと関係ない、もっと死ぬべきだったって、こんな考えの人が教授をやっていて、この学園大丈夫なのか?
ちょっと学園に通うのが怖くなってきたのだけど。
結局、この後、図書館の館長が出て来てバークレイ教授を宥めてくれた。
「ごめんなさいね。こんな騒ぎになったしまって」
「いえ、コーネリア先生のせいではありませんから」
こんな騒ぎになったせいで、魔導書を見ることはできなかった。それは凄く残念だがしかたがない。
それよりも、バークレイ教授のような考えを持つ者が他にもいるだろうと思うと気が重い。
だが、私が演じなければならないのは悪役令嬢だ。人から恨まれることも多いだろう。
そういった意味で、今日は良い経験ができたと思うことにしよう。
「今日は本当にありがとうございました」
「いえ、いえ。これに懲りずに、また会えることを楽しみにしているわ」
「はい、それではまた」
私はコーネリア先生に頭を下げてから、学園を後にしたのだった。
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