街角で悪役令嬢役にスカウトされた件 【OKしたけど、異世界でサスペンスだとは聞いてない!】

なつきコイン

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第一幕 悪役公爵令嬢(闇魔法使い8歳)王宮書庫殺人事件

47. 庭園

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 お父様は、まだ、国王陛下と皇太子殿下と話があるそうなので、私は、子供たちと庭園に出ることになった。皇太子妃方も少し離れて一緒についてくる。

 庭園の丸テーブルにお菓子とジュースが用意されていて、四人でそれを囲むことになる。
 私の右隣がニコラス、左隣がトワ、正面がハインリッヒだ。

「マリーちゃん、私のことはトワと呼んでね」
「わかりましたわ、トワ様」

 椅子に座るなり、ニコニコしながら、トワが話しかけてきた。

「様付けなんて、よそよそしいわ。従姉妹同士なんだから、そんなのいらないわよ。そうだ、お互い呼び捨てにしましょう。その方が友達らしいわ」
「友達ですか?」

「そうよ、マリーは私と友達になりたくないの?」
「いえ、そんなことはありません。友達になれて嬉しいですわ、トワ」

「やった! これで、初めての友達ゲットだわ」

 トワには友達がいなかったのか。
 よく考えたら、私も、こちらに来てから友達になったのは、この前会ったカナリ一人だけだ。

「友達は命令してなるもんじゃないだろう」
「ハインリッヒ、命令なんかしてません! ねー。マリー」

「そうですわ。命令されたわけではありませんわ。よろしければ、ハインリッヒとも友達になって差し上げますわよ」
「なんだと、お前なんかと友達になんかなりたかない。第一、オレのことを馴れ馴れしく、名前で呼ぶな」

 しまった。友達になったトワに、酷いことを言ったので、ついつい、高飛車な態度に出てしまった。仲良くならなければいけないのに、反省、反省。

「申し訳ございません。王子殿下」
「わかればいいんだ、わかれば」

「ぼ、ボクはニックって呼んで欲しいのだけど……」

 ニコラスが小さな声で、すごく控えめに話しかけてきた。

「王子殿下のことを、愛称で呼ぶのは流石に……」
「ボクもマリーと友達になりないんだけど……」

「友達ですか……。わかりましたわ。でしたらニコラス様とお呼びしますわ」

 どうも、他の二人に比べて、ニコラスは気弱な性格らしい。

「これでハインリッヒだけ仲間はずれね」
「フン! オレはお前たちと馴れ合うつもりはない」

「またまた、そんなに強がらなくてもいいのよ」
「強がってなんかない。大体、トワは妹のくせに生意気なんだ」

「私のことを妹というなら、もっと兄らしくしてもらいたいわね」
「なんだと」

 トワとハインリッヒが睨み合いを始めてしまった。ニコラスは、そんな二人に、ただ、おどおどするばかりだ。

「トワ、このお菓子美味しそうね」
「マリー。――そうね、こんなの放っておいて、お菓子をいただきましょう」

「チッ。後で覚えておけよ」

 どうも、ハインリッヒはガラが悪いな。

 王子といっても、七歳だと、こんなものか。
 同じ七歳でも、トワの方がしっかりしているのは、女の子の方が成長が早いからだろうか?

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