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第一幕 悪役公爵令嬢(闇魔法使い8歳)王宮書庫殺人事件
46. 謁見
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王宮は王都を東西に流れる川の中州を利用して造れていた。
そのため、四方を川に囲まれていて、王宮に出入りするためには六つある門のどこかを通らなければならなかった。
門でなく橋ではないのかと思うだろうが、六つある門の内で橋があるのは四つ、残りの二つは川から船で入るための『水の門』と、地下トンネルを使って、王都の北に抜ける『土の門』だ。
今回、私たちが使ったのは、王宮の南正面にある『光の門』である。通常は王族か国賓のみが利用する門で、国内の貴族は利用することはないのだが、私たちは準王族扱いということなのだろう。
ちなみに、普通貴族が使うのは『光の門』の東側にある『火の門』か、西側にある『風の門』だ。
王宮に仕える者や出入りの業者は、王宮北側にある橋の『通用門』を使う。
火、風、水、土、光、とくれば『闇の門』と呼ばれそうなものだが、そうは呼ばれていない。
一説には、『闇の門』は他にあるとも言われているそうだ。王宮七不思議の一つみたいな感じだ。
まあ、そんなわけで、私たちは光の門を通り王宮に着いた。
そして、宮殿に入り通されたのは謁見の間だった。
中央に国王陛下が座り、その脇に、王太子とその奥方たちと子供たちが立っていた。
「ロートブルク公爵、壮健なようで何よりだ」
「陛下におかれましても、ますます、ご健勝のご様子、お慶び申し上げます」
「それにしても、ちと、太り過ぎではないか?」
「いえいえ、これくらいが丁度いいと、リリヤが申しておりますので」
「そうか、リリヤがな……。相変わらずか。では仕方がないか」
国王陛下はお母様がデブ専なのを知っているようだ。
まあ、自分の娘のことだし、太っていた頃のお父様との結婚を許可したのだから、知っていて当然か。
「その、リリヤですが、先月、無事、男の子を出産しました。名はロバートといいます」
「その連絡は受けている。それで、リリヤとロバートは元気なのだろうな?」
「はい、無事、出産後、今は、ロバートの面倒をみながら、体力回復に努めています。ロバートも元気で問題ありません」
「そうか、母子共に健康なら、めでたいことだ。ロバートは儂の孫でもあるからな、手をかけて育ててやってくれ」
「ありがとうございます。公爵家の跡取りとして、しっかりと育てていく所存であります」
「うむ、そうしてくれ」
これは、国王陛下の孫だけど、王位継承には関わらせませんよ、と宣言し、それが了承されたということだろうか?
「それで、隣にいるのは娘のマリーか?」
「左様でございます。マリー、自己紹介を」
お父様に言われて、私は淑女の礼をとる。
「ロートブルク公爵とリリヤの娘、マリーと申しますわ」
「顔を合わせるのは始めてだな。儂が、フラスコット王国の国王パトリック エンデバーだ。もっとも、マリーは儂の孫だからな。リックおじいちゃんと呼んでいいのだぞ」
「そんな、国王陛下をおじいちゃん呼びなんて畏れ多いですわ」
「マリーは硬いの。まあ、外孫では仕方ないか。マリー、隣にいるのが、王太子のジルベールだ。ジルおじさんと呼ぶがいい」
「マリーちゃん、はじめまして。父上が言ったように、ジルと呼んでくれて構わないよ」
「王太子殿下、お初にお目にかかります。マリーですわ」
王太子は私がジルおじさんと呼ばなかったため、少し苦笑いをした。
「家族を紹介しておこう、近くから、ロザリーとニコラス、イザベラとハインリッヒ、ノアとトワだ」
「マリーです。皆さんよろしくお願いしますわ」
お父様から聞かされていましたが、本当に三人も奥さんがいるのですね。
それに、王子が二人に王女が一人。
並び順から、ニコラスが第一王子で、ハインリヒトが第二王子だろうか?
この二人のどちらかと婚約しなければならないのだが、どちらだ?
そのため、四方を川に囲まれていて、王宮に出入りするためには六つある門のどこかを通らなければならなかった。
門でなく橋ではないのかと思うだろうが、六つある門の内で橋があるのは四つ、残りの二つは川から船で入るための『水の門』と、地下トンネルを使って、王都の北に抜ける『土の門』だ。
今回、私たちが使ったのは、王宮の南正面にある『光の門』である。通常は王族か国賓のみが利用する門で、国内の貴族は利用することはないのだが、私たちは準王族扱いということなのだろう。
ちなみに、普通貴族が使うのは『光の門』の東側にある『火の門』か、西側にある『風の門』だ。
王宮に仕える者や出入りの業者は、王宮北側にある橋の『通用門』を使う。
火、風、水、土、光、とくれば『闇の門』と呼ばれそうなものだが、そうは呼ばれていない。
一説には、『闇の門』は他にあるとも言われているそうだ。王宮七不思議の一つみたいな感じだ。
まあ、そんなわけで、私たちは光の門を通り王宮に着いた。
そして、宮殿に入り通されたのは謁見の間だった。
中央に国王陛下が座り、その脇に、王太子とその奥方たちと子供たちが立っていた。
「ロートブルク公爵、壮健なようで何よりだ」
「陛下におかれましても、ますます、ご健勝のご様子、お慶び申し上げます」
「それにしても、ちと、太り過ぎではないか?」
「いえいえ、これくらいが丁度いいと、リリヤが申しておりますので」
「そうか、リリヤがな……。相変わらずか。では仕方がないか」
国王陛下はお母様がデブ専なのを知っているようだ。
まあ、自分の娘のことだし、太っていた頃のお父様との結婚を許可したのだから、知っていて当然か。
「その、リリヤですが、先月、無事、男の子を出産しました。名はロバートといいます」
「その連絡は受けている。それで、リリヤとロバートは元気なのだろうな?」
「はい、無事、出産後、今は、ロバートの面倒をみながら、体力回復に努めています。ロバートも元気で問題ありません」
「そうか、母子共に健康なら、めでたいことだ。ロバートは儂の孫でもあるからな、手をかけて育ててやってくれ」
「ありがとうございます。公爵家の跡取りとして、しっかりと育てていく所存であります」
「うむ、そうしてくれ」
これは、国王陛下の孫だけど、王位継承には関わらせませんよ、と宣言し、それが了承されたということだろうか?
「それで、隣にいるのは娘のマリーか?」
「左様でございます。マリー、自己紹介を」
お父様に言われて、私は淑女の礼をとる。
「ロートブルク公爵とリリヤの娘、マリーと申しますわ」
「顔を合わせるのは始めてだな。儂が、フラスコット王国の国王パトリック エンデバーだ。もっとも、マリーは儂の孫だからな。リックおじいちゃんと呼んでいいのだぞ」
「そんな、国王陛下をおじいちゃん呼びなんて畏れ多いですわ」
「マリーは硬いの。まあ、外孫では仕方ないか。マリー、隣にいるのが、王太子のジルベールだ。ジルおじさんと呼ぶがいい」
「マリーちゃん、はじめまして。父上が言ったように、ジルと呼んでくれて構わないよ」
「王太子殿下、お初にお目にかかります。マリーですわ」
王太子は私がジルおじさんと呼ばなかったため、少し苦笑いをした。
「家族を紹介しておこう、近くから、ロザリーとニコラス、イザベラとハインリッヒ、ノアとトワだ」
「マリーです。皆さんよろしくお願いしますわ」
お父様から聞かされていましたが、本当に三人も奥さんがいるのですね。
それに、王子が二人に王女が一人。
並び順から、ニコラスが第一王子で、ハインリヒトが第二王子だろうか?
この二人のどちらかと婚約しなければならないのだが、どちらだ?
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