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第一幕 悪役公爵令嬢(闇魔法使い8歳)王宮書庫殺人事件
45. 王宮へ
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前日、お祖父様とお祖母様への家族サービスで疲れていても、闇魔法を使えば翌朝にはスッキリ。今日は朝から、メイドに頼んで念入りにおしゃれにしてもらう。
これから王宮に向かうのだ、国王陛下たちに失礼があってはいけない。
それに、私は役のために王子の婚約者にならなければいけない。
第一印象は大切である。
しっかりとおめかしをして、お父様と、馬車で王宮に向かう。
今回の王宮訪問は、公爵家の跡取りが生まれたことを報告する公式行事であるため、車ではなく馬車を使うことになる。
全ての貴族がそうしているわけではなく、我が家が、フラスコット王国の中でも、自治領的な位置づけのイングラスを治める公爵家だから特別だ。
イングラスとフラスコットは元々別の国だったが、戦争の結果、イングラスはフラスコット王国に併合され一つの国になった。
一緒になって数十年経つが、イングラスが大陸と海を隔てた島であることもあり、いまだに使っている言葉が違ったり、生活においても政治においても独自色が強い。
そのため、お互いにお互いのことをよく思わない人たちもいる。
もちろん、友好的に手を携えてやっていこうという者が大多数なのだが、非友好的な者も少数ではない。
さて、はたして、どんな王子が待っていることやら。
そういえば、王子の名前を聞いていなかった。
「お父様、王子様はなんて名前ですの」
「王太子殿下の子供たちか? 一番上がニコラスで、二番目がハインリッヒ、三番目が王女でトワだな。三人ともマリーと同じ歳だ」
「え?」
「ああ、三つ子じゃないぞ、三人とも母親が違うんだ」
私が驚いたのはそこじゃない。
王子が二人いるなんて聞いてない。
台本に出てくる王子は一人だけだ!
台本には婚約者の王子とその妹の王女しか出てこない。
台本には名前は書かれておらず、ただ王子と書かれているだけだ。呼びかける場合も王子殿下だ。
さて、私はどちらの王子に粉をかければいいのだろう。
それとも、私が婚約した王子が舞台に上がることになるのだろうか?
その場合、もう一人の王子はどうなるのだ?
王宮に向かう馬車の中で、私は困惑するばかりだった。
「マリー、そんなに緊張しなくても大丈夫だからな。国王陛下から見れば、お前は孫だし、王子たちと、さほど立場は変わらない」
「そうですわね」
別に緊張しているわけではなかったのだが、お父様に声をかけられて、少し落ち着いたので、素直に頷いておく。
しかし、王子が二人いるとは、困った事態になった。
とりあえず、台本に書かれているのがどちらかわかるまでは、二人とも付かず離れずでいることにしよう。
これから王宮に向かうのだ、国王陛下たちに失礼があってはいけない。
それに、私は役のために王子の婚約者にならなければいけない。
第一印象は大切である。
しっかりとおめかしをして、お父様と、馬車で王宮に向かう。
今回の王宮訪問は、公爵家の跡取りが生まれたことを報告する公式行事であるため、車ではなく馬車を使うことになる。
全ての貴族がそうしているわけではなく、我が家が、フラスコット王国の中でも、自治領的な位置づけのイングラスを治める公爵家だから特別だ。
イングラスとフラスコットは元々別の国だったが、戦争の結果、イングラスはフラスコット王国に併合され一つの国になった。
一緒になって数十年経つが、イングラスが大陸と海を隔てた島であることもあり、いまだに使っている言葉が違ったり、生活においても政治においても独自色が強い。
そのため、お互いにお互いのことをよく思わない人たちもいる。
もちろん、友好的に手を携えてやっていこうという者が大多数なのだが、非友好的な者も少数ではない。
さて、はたして、どんな王子が待っていることやら。
そういえば、王子の名前を聞いていなかった。
「お父様、王子様はなんて名前ですの」
「王太子殿下の子供たちか? 一番上がニコラスで、二番目がハインリッヒ、三番目が王女でトワだな。三人ともマリーと同じ歳だ」
「え?」
「ああ、三つ子じゃないぞ、三人とも母親が違うんだ」
私が驚いたのはそこじゃない。
王子が二人いるなんて聞いてない。
台本に出てくる王子は一人だけだ!
台本には婚約者の王子とその妹の王女しか出てこない。
台本には名前は書かれておらず、ただ王子と書かれているだけだ。呼びかける場合も王子殿下だ。
さて、私はどちらの王子に粉をかければいいのだろう。
それとも、私が婚約した王子が舞台に上がることになるのだろうか?
その場合、もう一人の王子はどうなるのだ?
王宮に向かう馬車の中で、私は困惑するばかりだった。
「マリー、そんなに緊張しなくても大丈夫だからな。国王陛下から見れば、お前は孫だし、王子たちと、さほど立場は変わらない」
「そうですわね」
別に緊張しているわけではなかったのだが、お父様に声をかけられて、少し落ち着いたので、素直に頷いておく。
しかし、王子が二人いるとは、困った事態になった。
とりあえず、台本に書かれているのがどちらかわかるまでは、二人とも付かず離れずでいることにしよう。
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