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第一幕 悪役公爵令嬢(闇魔法使い8歳)王宮書庫殺人事件
29. 御呪い(おまじない)
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体調を崩しているというサラを見舞うため、彼女の部屋にやって来た。
だが、お見舞いは口実で、サラで闇魔法の実験をすることが本当の目的だ。
「サラ、大丈夫?」
「お嬢様、わざわざお見舞いに来ていただきありがとうございます。寒気がしたので念のため休んでいるだけですから大丈夫です」
「そう、それならよかったわ。ただ、やっぱり心配だから、私が元気になる御呪いをかけてあげるわ」
「お嬢様が、私に、ですか!」
「嫌ならやめるけど」
「いえ、ありがたき幸せです」
一応これで術をかける承諾は取れたわね。
本当は御呪いではなく、闇魔法だけど、そんなに変わらないわよね。
サラになら闇魔法のことを話してもいいかと思ったが、なぜかユキがこの場を離れず、私を監視している。
たぶん、感染リスクを心配してだろうが、この状況ではサラと秘密の話などできない。
「それじゃあ、手を出して」
「はい」
サラは素直に手を差し出した。
「お嬢様、サラの手に触れるのは感染リスクが高いです」
「後で消毒すれば大丈夫よ」
「ですが……」
「触っただけではうつらないわ」
ユキは難色を示したが、私の意志が固いのを見ると、渋々、サラの手に触れることを承諾してくれた。
私は、サラの手を握ると、御呪いをかけるふりをして、闇魔法をサラにかけた。
次第にサラの瞼が閉じていく。
そして、サラの瞼が完全に閉じたところで手を放す。
「寝たようね」
「そうですね。お嬢様の御呪いが効いたのでしょう」
「だといいけど。それじゃあ部屋に戻るわ」
「サラのためにわざわざありがとうございました」
どうやら、闇魔法は無事にかかったようだ。ちゃんと効果があればいいけど。
翌朝、朝早くからサラが元気いっぱいに私を起こしに来た。
「おはようございますお嬢様!」
「サラ……。元気になったのね、よかったわ」
「はい、これもお嬢様の御呪いのお陰です」
「そう、それは良かったけど、いつもより起こすのが早くない?」
「いやー。いつもは朝起きるのが大変なのに、今朝はスッキリ起きられたものですから。仕事がはかどってしまって」
だからって、私を早く起こさなくてもいいでしょうに!
でも、これで人間にも効果があるのははっきりしたわね。
あと、二三回サラにかけて様子を見て、問題なければ、お父様にかけることにしよう。
だが、お見舞いは口実で、サラで闇魔法の実験をすることが本当の目的だ。
「サラ、大丈夫?」
「お嬢様、わざわざお見舞いに来ていただきありがとうございます。寒気がしたので念のため休んでいるだけですから大丈夫です」
「そう、それならよかったわ。ただ、やっぱり心配だから、私が元気になる御呪いをかけてあげるわ」
「お嬢様が、私に、ですか!」
「嫌ならやめるけど」
「いえ、ありがたき幸せです」
一応これで術をかける承諾は取れたわね。
本当は御呪いではなく、闇魔法だけど、そんなに変わらないわよね。
サラになら闇魔法のことを話してもいいかと思ったが、なぜかユキがこの場を離れず、私を監視している。
たぶん、感染リスクを心配してだろうが、この状況ではサラと秘密の話などできない。
「それじゃあ、手を出して」
「はい」
サラは素直に手を差し出した。
「お嬢様、サラの手に触れるのは感染リスクが高いです」
「後で消毒すれば大丈夫よ」
「ですが……」
「触っただけではうつらないわ」
ユキは難色を示したが、私の意志が固いのを見ると、渋々、サラの手に触れることを承諾してくれた。
私は、サラの手を握ると、御呪いをかけるふりをして、闇魔法をサラにかけた。
次第にサラの瞼が閉じていく。
そして、サラの瞼が完全に閉じたところで手を放す。
「寝たようね」
「そうですね。お嬢様の御呪いが効いたのでしょう」
「だといいけど。それじゃあ部屋に戻るわ」
「サラのためにわざわざありがとうございました」
どうやら、闇魔法は無事にかかったようだ。ちゃんと効果があればいいけど。
翌朝、朝早くからサラが元気いっぱいに私を起こしに来た。
「おはようございますお嬢様!」
「サラ……。元気になったのね、よかったわ」
「はい、これもお嬢様の御呪いのお陰です」
「そう、それは良かったけど、いつもより起こすのが早くない?」
「いやー。いつもは朝起きるのが大変なのに、今朝はスッキリ起きられたものですから。仕事がはかどってしまって」
だからって、私を早く起こさなくてもいいでしょうに!
でも、これで人間にも効果があるのははっきりしたわね。
あと、二三回サラにかけて様子を見て、問題なければ、お父様にかけることにしよう。
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